NEW2026/06/03(水)Vol.543
| 2026/06/03(水) | |
| 2026年06月03日号 | |
| TOPニュース バレエ |
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| バレエパリ・オペラ座バレエ団 |
Photo: James Bort
パリ・オペラ座の精鋭11名が登場する〈エスプリ・ドゥ・ラ・ダンス〉は、まるで"ミニ・オペラ座ガラ"ともいえるような魅力に期待が高まります。舞踊評論家の新藤弘子さんに、今回のプログラムとダンサーについて、注目ポイントをピックアップして紹介していただきました。
壮麗なグラン・デフィレが物語る圧倒的な層の厚さ、長い歴史と伝統の中で培われた風格と、多彩で奥深いレパートリーの数々。パリ・オペラ座の魅力を数え上げればきりがない。だからこそ、ファンは頭を悩ませる。刻々と更新されてゆくその魅力を余さず味わいたいと思ったら、いくら時間があっても足りはしない。
〈エスプリ・ドゥ・ラ・ダンス〉は、そんなファンへの「恵みの雨」となるだろうか。公演を率いるジル・イゾアールは、パリ・オペラ座バレエ団のダンサーとして活動後、オペラ座の教師として数多くの才能を育て、近年はガラ公演のプロデューサーとしても、優れた手腕を発揮している。「親しみを感じてやまない」と語る日本での公演で、オペラ座のいまの魅力を、どんな切り口で見せてくれるのだろうか。
華麗な古典、20世紀巨匠たちの名作、オペラ座と深い縁を持つ人々の振付などで構成される多彩なプログラムと、エトワール4人、若手7人の顔ぶれを見渡してまず思うのは、オペラ座ならではの作品とダンサーの個性の巧みなマリアージュこそが、第一の見どころだということだ。
『パピヨン』は、1860年にオペラ座でマリー・タリオーニが創作・初演した全2幕のバレエへの敬意を込め、1970年代にピエール・ラコットが再振付を行ったパ・ド・ドゥ。〈バレエ・スプリーム 2025〉の『ラ・シルフィード』で表情豊かな演技を見せ、ロマンティック・バレエとの相性のよさを証明したカン・ホヒョンが、今回は蝶々に姿を変えられた娘を踊る。パートナーは、王子役の似合う端正な容姿と伸びやかな動きで、将来のエトワール候補と目されるロレンツォ・レッリ。着実に成長を重ねてきた2人に期待したい。
エトワールとして、それぞれの境地を歩むドロテ・ジルベールとギヨーム・ディオップの顔合わせは、想像しただけで胸が高鳴る。洗練された美しさはもちろん、ドラマティックな表現でも卓越する2人だけに、各演目で見事なハーモニーを奏でてくれるだろう。ヌレエフ版『ラ・バヤデール』第1幕のパ・ド・ドゥなど、一瞬で心掴まれるのは想像に難くないが、中でも興味を惹かれるのが『ランデ・ヴー』だ。パリの下町で"運命"と出会い、死を予言された青年は、世界最高の美女との逢瀬を楽しむ。死を免れた安堵と恍惚の直後に、彼を襲う驚愕の結末......。パリのエスプリの代名詞、ローラン・プティの面目躍如ともいえる展開を、彼らがどのように演じ切るか、心して見届けたい。
抜群の芸術性、安定感を誇るブルーエン・バティストーニとポール・マルクも、幅広い作品で活躍してくれるだろう。とりわけ超絶技巧満載のヌレエフ版の振付では、「これぞパリ・オペラ座のエトワール」という完成度を堪能できるに違いない。そして、ヌレエフ版『白鳥の湖』で彼らに絡む逸材、エンゾ・ソガールの存在も大いに気になる。スペインのグラン・カナリー島で幼い頃からバレエを始めた彼は、高度なテクニックと場を支配する存在感で、急速に頭角を表してきた。かつてヌレエフ自身が踊ったロットバルトは、個性派のソガールにはうってつけの役。今回の第3幕パ・ド・トロワでも、バティストーニとマルクを相手に悪の魅力が弾けることだろう。また、ベジャール振付『さすらう若者の歌』では、ディオップとソガールが共演。しなやかな動きと繊細な表情で魅了するディオップと、力強いソガールが繰り広げる世界に、興味をそそられる。
感性、テクニックともに素晴らしいイネス・マッキントッシュとフランチェスコ・ムーラのペア。新進のリュシアナ・サジオロと、パワーの塊のようなシェール・ワグマンの組み合わせ。また今回が日本初披露となるバール振付『ベルガマスク』や、世界初演のイゾアール振付『クラリネットとピアノのための幻想曲』など、魅力的なダンサーも作品も、尽きることがない。パリの香りあふれる舞台の開幕を、楽しみに待ちたい。
文:新藤弘子(舞踊評論家)
【Aプロ】
2026年
8月19日(水) 19:00
8月20日(木) 19:00
【Bプロ】
2026年
8月21日(金) 19:00
8月22日(土) 12:00
8月22日(土) 17:00
会場:昭和女子大学 人見記念講堂
S=¥20,000 A=¥17,000 B=¥15,000
C=¥13,000 D=¥11,000 E=¥9,000
U25シート=¥4,500
ブルーエン・バティストーニ(エトワール)
ギヨーム・ディオップ(エトワール)
ドロテ・ジルベール(エトワール)
ポール・マルク(エトワール)
カン・ホヒョン(プルミエール・ダンスーズ)
イネス・マッキントッシュ(プルミエール・ダンスーズ)
フランチェスコ・ムーラ(プルミエ・ダンスール)
ロレンツォ・レッリ(スジェ)
エンゾ・ソガール(スジェ)
リュシアナ・サジオロ(コリフェ)
シェール・ワグマン(コリフェ)
*プログラムについてはこちらをご覧ください。