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Photo: TOWA

2026/07/01(水)Vol.545

芸術選奨文部科学大臣賞
宮川新大インタビュー
2026/07/01(水)
2026年07月01日号
バレエ
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インタビュー
バレエ
東京バレエ団

Photo: TOWA

芸術選奨文部科学大臣賞
宮川新大インタビュー

令和7年度(第76回)芸術選奨舞踊部門において文部科学大臣賞を受賞した東京バレエ団プリンシパルの宮川新大。受賞の感想とともに、今年後半に次々と予定されている大役について、舞台芸術ライターの高橋彩子さんによるインタビューをご紹介します。

ニュージーランド・バレエ団時代のボス、
イーサン・スティーフェルに憧れた『海賊』

――改めて、芸術選奨文部科学大臣賞、おめでとうございます。

宮川:有難うございます。バレエというのは賞のためのものではないですが、こういう形で自分の活動を認めていただき、やってきてよかったなという思いがあります。

――受賞理由を読んで特に印象深かったことは?

宮川:『ザ・カブキ』が受賞理由の一つになっていたことです。実は2024年の公演の前に最初に話をもらった時、即答はできなかったんです。歴代の由良之助の方々を考えても背が高くいかにもリーダーっぽい人が多いので、自分はタイプではないのではないか、と思って。僕はどちらかというと、バレエ団でいうと『ロミオとジュリエット』のマキューシオ、ベジャールの『くるみ割り人形』のフェリックスなど、明るくコミカルな役、あるいは『ラ・シルフィード』ジェイムズのような細かいテクニックが多い役を踊ることが多いけれど、由良之助はバーンとまっすぐいくイメージですし。
しかも、東京バレエ団しか上演していない作品だけに、他の作品とはまた違う重みがある。生半可な気持ちで受けるものではないですから。でも、一度きりのバレエ人生だし、自分の経験の為にも挑戦してみようと、2、3日考えた後に芸術監督の所にやらせてくださいと言いに行きました。

『ザ・カブキ』(東京バレエ団2024年公演より)
Photo: Shoko Matsuhashi

――実際に2024、2025年と踊ってみてどうでしたか?

宮川:僕は『ザ・カブキ』では勘平をずっと踊ってきましたが、由良之助は勘平、師直、直義などの役より所作が少なく、"バレエ"なんですよね。自分の身体がもつポテンシャルをいい形で出せたかなという手応えもあり、自分のキャリアの中でも大きなターニングポイントになりました。歴代の由良之助とは全く違う由良之助だったとは思いますが、そこを評価していただけたのは嬉しかったですね。

――次の『海賊』は「受賞記念公演」と銘打たれています。初演ではランケデムとアリ、再演でアリとコンラッドを踊られ、再再演の今回はコンラッドに専念されます。

宮川:アンナ=マリー・ホームズ版といえば、僕らが若かった頃、イーサン・スティーフェルさんとアンヘル・コレーラさんとウラジーミル・マラーホフさん、ホアキン・デ・ルースさんが主要な役を踊ったアメリカン・バレエ・シアター(ABT)の映像が出て、僕らの世代で観ていない人がいないくらいでした。
中でもコンラッドを踊っていたイーサンはもともと好きなダンサーでしたが、僕が2013年から2015年にかけてロイヤル・ニュージーランド・バレエ団に在籍していた際には彼が芸術監督で、有難いことにダンサーと監督という間柄を超えて仲良くさせてもらって。バレエ団でアメリカツアーをした際には、ツアーの終わりに5日間ほど休みがあり、すぐ帰ってもいいしアメリカに少し残ってもいいというオプションがあったんです。僕は本当は残りたかったけれどホテル代もかかるので帰ろうとしたら、イーサンが「うちに来い」と、奥様のジリアン・マーフィーさんと暮らすアメリカの家に居候させてくれました。

『海賊』(東京バレエ団2021年公演より)
Photo: Kiyonori Hasegawa

――高い技術と明るい雰囲気といったスティーフェルの魅力は、先程の宮川さんのイメージとも重なります。

宮川:あと、脚のラインがすごく綺麗なんです。バランシンを踊らせたらピカイチ。全然近づけないですけど、まさに自分が目標にしたいスタイルです。前回のコンラッドの時も、僕はそれこそイーサンのコンラッドを目指していたので、リハーサル動画を個人的に送って見てもらったんです。
最近は連絡を取っていませんが、また何かアドバイスをもらえたら嬉しいですね。前回はリハーサル期間が2週間しかなく、しかもアリと並行して稽古していたので、本番ではちょっと悔しいところなどもありました。今回は細かい演技やパートナーリングなど、しっかりと練り上げたいです。

モスクワ音楽劇場バレエで初めて観た
ブルメイステル版『白鳥の湖』

――その2週間後には『白鳥の湖』でジークフリート王子を踊られますね。第3幕で、悪の勢力が総力を上げて王子に襲いかかるブルメイステル版です。

宮川:このブルメイステル版を初演し、今もレパートリーにしているダンチェンコ(モスクワ音楽劇場バレエ)に、僕は2010年から13年まで所属していて、この作品への出演機会はなかったのですが、当時初めて見て面白いな、と。『白鳥の湖』の第3幕のディヴェルティスマンって、どうしても長く感じがちですが、踊りもスペインの女性のソロなど本当にカッコいいですし、全てが繋がっていて飽きさせないんですよね。
王子としては、他のバージョンと違って、第1幕の王子にはバリエーションがあったりその後すぐにアダージオがあったりと結構ハードなんです。その分、第3幕の最初の方はずっと座っていることが多いのですが、いい緊張感を保ったままグラン・パ・ド・ドゥに臨めます。

ブルメイステル版『白鳥の湖』(東京バレエ団2024年公演より)
Photo: Koujiro Yoshikawa

――改めて、『白鳥の湖』のジークフリート王子という人物をどう解釈していますか?

宮川:僕の中では、もちろん"王子"なんだけどどこか少し幼なさも残ってるおぼっちゃまって感じですかね。ブルメステル版では第3幕のグラン・パ・ド・ドゥでの男性のヴァリエーションの、ソ・ド・バスクして反る振りも情熱的でストレートな愛情表現なので、特別な家庭に生まれて王子らしい品格を備えつつも、どこかに男の子な気持ちが宿っているのかなと考えています。一方、第2幕では、白鳥の中に一人、王子がいるわけなので、王子としての存在感を大事にしていきたいですね。自分の今の経験値、そして、最初にやった時よりはもう少しおおらかなオーラも出ているはずなので、それを活かして踊りたいです。

ジョン・クランコ・バレエ学校で培ったものを
総動員して臨む『オネーギン』

――さらに、東京バレエ団で14年ぶりの『オネーギン』も、トライアウトでオネーギンに選ばれたとのこと。その時の状況を教えてください。

宮川:先生が来てくださって、リフトなどできないこともたくさんあったけれど、とりあえず一通りほぼ全部通して踊って、そこから選ばれたという形です。

――初演時のリハーサルを拝見しましたが、「アイロン台」など名前のついた難しいリフトに、皆さん苦戦していたことを思い出します。

宮川:トライアウトの時、僕らも腕がパンパンで、次の日上がらなかったですもん。トライアウトではわからないままフルでぶつかっていたので、リハーサルの中でコツをつかんでいけたらと思いますけど。

――さっきご自身もおっしゃっていた通り、宮川さんというと明るく温かいキャラクターのイメージがある中、今回はオネーギンという面倒くさい悩める男を演じるにことになりますね。

宮川:ジョン・クランコ・バレエ学校時代、寮生活で夜間の外出は禁止でしたから本番はそんなに多くはないけれど、何度か観ました。正直、10代の僕には、あの頃はまだ『オネーギン』という作品を奥深い所まではわかっていなかったと思いますが、今見ると、この作品の持つストーリー性や作品の偉大さがより一層わかります。シュツットガルト・バレエ団の団員でもなかなか踊らせてもらえないような大役ですから、この機会に感謝をして全力で取り組みたいと思います。

2026年11月公演東京バレエ団『オネーギン』キービジュアル

――やはりクランコ・バレエ学校で学んだ者として、「クランコ節」への自負はありますか?

宮川:「クランコ節」というより、バレエ学校の最後の2年間に習ったピョートル・ペストフ先生の影響が大きいですね。マラーホフ、ニコライ・ツィスカリーゼ、アレクセイ・ラトマンスキーといったダンサーたちをボリショイ・バレエ学校で育てた先生で、多分、僕の世代が最後の生徒だったんじゃないかな。その後、入退院を繰り返されてそのまま亡くなってしまったので。僕らは「ペストフ・メソッド」と呼んでいたのですが、先生のレッスンは、ワガノワ・メソッドがベースでありつつ、ワガノワともドイツのメソッドとも違っていました。シュツットガルト・バレエ団では、元プリンシパルのエヴァン・マッキーや、クランコ・バレエ学校の副校長になったミハイル・カニスキンも、彼の教え子です。

――ペスコフ先生のレッスンはどのようなものなのでしょう?

宮川:まず、クラスが4時間で、そのうち1時間はバーレッスン、その後はずっとジャンプしてヴァリエーションを踊って、基本、水は禁止です。今はダメでしょうけれども。「3時間の舞台に出ていたら、水なんて飲めないでしょ」と。

――袖に引っ込む時に飲めないのですか?

宮川:作品によっては、袖に入っても1分くらいしかないことって結構あるんです。水が飲みたくなると、皆、手を挙げてロシア語で「トイレに行っていいですか」と言って、トイレで水を飲む(笑)。ドイツだったのに先生はロシア語しか喋れなくて、「俺のことをわかりたければお前らがロシア語を覚えろ」と言われていたんです。ハードだったけれど、愛に溢れていて、受けているだけで上手くなる魔法のクラスでした。僕がよく着地の音がしないと言っていただくのも全部、先生のおかげです。

――こうして伺ってみると今年の下半期は、ジョン・クランコ・バレエ学校、モスクワ音楽劇場バレエ、ロイヤル・ニュージーランド・バレエ団と、宮川さんのバレエ遍歴と縁の深い作品が、相次いで上演されるのですね。

宮川:そうですね。特に『オネーギン』は踊るとは思わなかったですし、自分の中で一つ、集大成のようなものになる気がしています。まだ引退するわけではないんですけれども(笑)

取材・文:高橋彩子(舞台芸術ライター)

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東京バレエ団
「海賊」プロローグ付 全3幕

公演日

8月26日(水) 19:00
8月27日(木) 19:00
8月28日(金) 19:00
8月29日(土) 14:00
8月30日(日) 13:00

指揮:ギャヴィン・サザーランド
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
会場:新国立劇場 オペラパレス(初台)

入場料[税込]

S=¥18,000 A=¥14,000 B=¥11,000
C=¥8,000 D=¥6,000
U25シート=¥3,000
*ペア割引[S,A席]あり
*親子割引[S,A席]あり

予定される配役

メドーラ:伝田 陽美(8/26、8/28)、秋山 瑛(8/27、8/29)、中島 映理子(8/30)
コンラッド:柄本 弾(8/26、8/28)、宮川 新大(8/27、8/29)、生方 隆之介(8/30)
アリ:池本 祥真(8/26、8/30)、二山 治雄(8/27、8/29)、生方 隆之介(8/28)
ギュルナーラ:三雲 友里加(8/26、8/28)、金子 仁美(8/27、8/29)、長谷川 琴音(8/30)
ランケデム:樋口 祐輝(8/26、8/28)、池本 祥真(8/27、8/29)、本岡 直也(8/30)

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東京バレエ団
ブルメイステル版『白鳥の湖』全4幕

公演日 【東京公演】

9月9日(水)18:30
9月10日(木)18:30
9月11日(金)18:30
9月12日(土)12:30
9月12日(土)18:30
9月13日(日)13:00

会場:新国立劇場 オペラパレス
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

入場料[税込] ※東京公演

S=¥17,000 A=¥13,000 B=¥10,000
C=¥8,000 D=¥6,000
U25シート=¥3,000
*ペア割引[S,A席]あり
*割引[S,A席]あり

[予定される主な配役]
オデット/オディール:永久 メイ(ゲスト)(9/9、9/12夜)、秋山 瑛(9/10、9/12昼)、沖 香菜子(9/11、9/13)
ジークフリート王子:柄本 弾(9/9、9/12夜)、大塚 卓(9/10、9/12昼)、宮川 新大(9/11、9/13)
ロットバルト:安村 圭太(9/9、9/12夜)、柄本 弾(9/10)、岡﨑 司(9/11、9/13)、鳥海 創(9/12昼)
道化:池本 祥真(9/9、9/12夜)、二山 治雄(9/10、9/12昼)、井福 俊太郎(9/11)、山下 湧吾(9/13)


[そのほかの公演]

【京都公演】

9月17日(木)18:30

会場:ロームシアター京都 メインホール

演奏:大阪フィルハーモニー交響楽団

オデット/オディール:沖 香菜子
ジークフリート王子:宮川 新大
ロットバルト:鳥海 創
道化:井福 俊太郎

■入場料(税込)
S=¥13,000 A=¥10,000 B=¥7,000
C=¥5,000 D=¥3,000 
ユースS(29歳以下)=¥6,000
ユースA(29歳以下)=¥5,000

【西宮公演】

9月19日(土)14:00

会場:兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
演奏:大阪フィルハーモニー交響楽団

オデット/オディール:永久 メイ(ゲスト)
ジークフリート王子:柄本 弾
ロットバルト:安村 圭太
道化:池本 祥真

■入場料(税込)
S=¥13,000 A=¥10,000 B=¥7,000
C=¥5,000 D=¥3,000 

【堺公演】

9月21日(月・祝)14:00

会場:フェニーチェ堺 大ホール
演奏:大阪フィルハーモニー交響楽団

オデット/オディール:秋山 瑛
ジークフリート王子:大塚 卓
ロットバルト:柄本 弾
道化:二山 治雄

■入場料(税込)
S=¥13,000 A=¥10,000 B=¥7,000
C=¥5,000 D=¥3,000 

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東京バレエ団
『オネーギン』全3幕

公演日

11月6日(金) 19:00
11月7日(土) 13:00
11月7日(土) 18:30
11月8日(日) 13:00

会場:新国立劇場 オペラパレス
指揮:ベンジャミン・ポープ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

入場料[税込] ※東京公演

S=¥18,000 A=¥14,000 B=¥11,000
C=¥8,000 D=¥6,000 E=¥4,000
U35シート=¥4,000
*ペア割引[S,A席]あり
*割引[S,A席]あり

[予定される主な配役]
オネーギン:柄本 弾(11/6、11/7夜)、宮川 新大(11/7昼、11/8)
タチヤーナ:沖 香菜子(11/6、11/7夜)、秋山 瑛(11/7昼、11/8)
レンスキー:大塚 卓(11/6)、池本 祥真(11/7昼、11/8)、生方 隆之介(11/7夜)
オリガ:工 桃子(11/6)、足立 真里亜(11/7昼、11/8)、中島 映理子(11/7夜)
グレーミン公爵:安村 圭太(11/6、11/7夜)、樋口 祐輝(11/7昼、11/8)