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Photo: Ayano Tomozawa

NEW2026/08/05(水)Vol.547

斎藤友佳理&柄本弾が語る
東京バレエ団『オネーギン』
2026/08/05(水)
2026年08月05日号
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バレエ
東京バレエ団

Photo: Ayano Tomozawa

斎藤友佳理&柄本弾が語る
東京バレエ団『オネーギン』

東京バレエ団は2026年11月、ジョン・クランコ振付『オネーギン』を2012年の再演以来、14年ぶりに上演します。経験を重ねたダンサーたちが、この名作に新たな息吹を吹き込みます。その背景には、長年同作と向き合ってきた団長・斎藤友佳理の歩みと、次代を担うダンサーたちの挑戦があります。7月半ばに行われた取材会で、斎藤と、オネーギン役に挑むプリンシパルの柄本弾が語った、作品を未来へつなぐ覚悟と、公演に向けた決意を、舞踊評論家の高橋森彦さんに紹介していただきます。

『オネーギン』との運命的な出会い

東京バレエ団は2010年5月に『オネーギン』全3幕を初演。2012年の再演を経て、今回は14年ぶりの上演となる。だが、斎藤とこの作品との縁は、さらに30年以上前にさかのぼる。
1989年、モーリス・ベジャールは自身の振付作品『舞楽』『火の鳥』、ジョン・ノイマイヤー振付『月に寄せる七つの俳句』を踊った斎藤に注目し、「友佳理は『オネーギン』のタチヤーナを踊るべきだ」と佐々木忠次(東京バレエ団創立者)に勧めた。2年後の〈世界バレエフェスティバル〉では抜粋を踊ることになり、ゲネプロまで終えたが、本番では舞台袖で待機したまま実際に舞台に立つことはかなわなかった。その経験は胸に残り続けた。
一度は届かなかった役への強い想いは、20年余りの時を経て、2010年の東京バレエ団初演で結実した。斎藤はタチヤーナ役として舞台に立ち、『オネーギン』は人生を象徴する特別な演目となった。
「『オネーギン』があったからこそ、今日の自分があると言っても過言ではありません。私にとって、本当に思いがけない出会いでした」

斎藤友佳理(東京バレエ団団長)
Photo: Ayano Tomozawa

今、『オネーギン』を上演する理由

2015年に東京バレエ団の芸術監督に就任した斎藤は、幅広いレパートリーを展開しながら、『オネーギン』を受け継ぐ次世代のダンサーたちを育ててきた。そこには、「人間が抱く感情を、言葉以上に振付と音楽で表現する」同作の奥深い世界を、若いダンサーたちにも体現してほしいという願いがあった。
「一緒に歩み、育ってきたダンサーたちに、その経験をさせてあげたい。この世界を知ってほしいという思いが、すごく強かったんです。だからこそ、『オネーギン』の上演を最大の目標としてきました」
そこを目指して2022年と2024年には、クランコ振付『ロミオとジュリエット』を上演。ダンサーたちは経験を積み重ね、「精神的にも大人になってきた」ことも大きな要素だった。
「何事にも旬というものがありますよね。今がその時なんだ、やっとそこを目指していい時が来たんだと感じました。だから、今なんです」

クランコ振付『ロミオとジュリエット』(東京バレエ団2024年公演より)
Photo: Shoko Matsuhashi

配役決定までの道のり

『オネーギン』は、シュツットガルト・バレエ団で生まれた20世紀を代表するバレエ作品だ。クランコ作品は財団の管理のもと上演され、キャスティングも承認を経て決定される。
4月には財団から派遣された振付指導者のジェーン・ボーンが来日し、配役を選ぶトライアウトを実施。その映像をリード・アンダーソン(前シュツットガルト・バレエ団芸術監督)が確認し、配役が決定した。
「私は『オネーギン』をどうしても今やりたい。本当に踊りたいという気持ちがあるダンサーは、いつトライアウトがあってもいいよう今から準備しておきなさいとダンサーたちに伝えました」

ミラノ・スカラ座の新たな装い

過去2回の上演と異なるのは、舞台美術と衣裳である。これまでは、日本の観客にもなじみ深いユルゲン・ローゼによる舞台美術・衣裳を使用していた。だが、海外からの借用には日程やサイズなどの制約があり、「物理的に無理だった」と斎藤は振り返る。
「大切なのは、この作品をやること。旬を迎えているダンサーたちのことを思うと、来年はどうなっているかもわからない。そう考えて、上演を決めました」
今回はミラノ・スカラ座のプロダクションで上演する。ローゼのデザインとは「表現も、色合いも違う」が、名門歌劇場であるスカラ座が手がけただけあって「クオリティが高い」と斎藤は信頼を置く。舞台を新国立劇場オペラパレスに移し、新たな表情を見せる。
「劇場に入ったときに受ける印象が全く違うでしょう。きっと良いものをお届けできると思っています。ビジュアル撮影時、スカラ座から届いた紺色の衣裳を実際に身につけたダンサーたちを見て、今の若い彼らにはむしろこちらの衣裳で良かったのかもしれないと感じました。『オネーギン』という作品そのものが、もっと浮かび上がってくるかもしれません」

柄本 弾&沖 香菜子
Photo: Shinji Hosono

舞台袖から見た夢

柄本は、斎藤が「内面を見せることにものすごくエネルギーを費やしている」と評するダンサーだ。2010年の『オネーギン』初演時にはレンスキー役の候補としてトライアウトに参加し、本番ではコール・ド・バレエの一員として舞台に立った。
かつて憧れを抱いたオネーギン役に、今度は柄本が挑む。
「初演のとき、舞台袖で主役の方々のパ・ド・ドゥを見て、あまりの美しさに感動して泣いてしまったんですね。僕自身もいつかこの作品でオネーギンを踊りたいという気持ちが芽生えました。その役にトライできる機会をいただけたことが、素直にうれしいです」
役作りについて問われた柄本は、次のように語った。
「不確定なものを先に決めようとするのではなく、できるだけ柔軟に対応できる幅を広く持っておくと、逆にスムーズに本番へ持っていけるのではないかと思います。『オネーギン』に限ったことではありませんが、始まる前に決めすぎず、分からないところは振付指導の先生に聞きながら、本番までに固めていきたい」

柄本 弾
Photo: Ayano Tomozawa

斎藤が30年以上抱き続けてきた『オネーギン』への情熱。かつて舞台袖から見つめた作品の中心に、今度は柄本が立つ。彼らが受け継ぐ『オネーギン』に期待が高まる。

取材・文:高橋森彦(舞踊評論家)

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東京バレエ団
「オネーギン」全3幕

公演日

11月6日(金) 19:00
11月7日(土) 13:00
11月7日(土) 18:30
11月8日(日) 13:00

指揮:ベンジャミン・ポープ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

会場:新国立劇場 オペラパレス

入場料[税込]

S=¥18,000 A=¥14,000 B=¥11,000 C=¥8,000
D=¥6,000 U35シート=¥4,000
*ペア割引[S,A席]あり
*親子割引[S,A席]あり

[予定される主な配役]
オネーギン:柄本 弾(11/6、11/7)、宮川 新大(11/7昼、11/8昼)
タチヤーナ:沖 香菜子(11/6、11/7)、秋山 瑛(11/7昼 、11/8昼)
レンスキー:大塚 卓(11/6)、池本 祥真(11/7昼、11/8昼)、生方 隆之介(11/7)
オリガ:工 桃子(11/6)、足立 真里亜(11/7昼、11/8昼)、中島 映理子(11/7)
グレーミン公爵:安村 圭太(11/6、11/7)、樋口 祐輝(11/7昼、 11/8昼)