2026/10/07(水)Vol.551
| 2026/10/07(水) | |
| 2026年10月07日号 | |
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| バレエ英国ロイヤル・バレエ団 |
Photo: Maria-Helena Buckley
英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパル、マリアネラ・ヌニェスのキャリアと芸術性を一夜に凝縮した特別公演〈マリアネラ ― タイムレス(時を超えて)〉が、この夏ロイヤル・オペラハウスで上演されました。28年にわたり第一線で踊り続けてきた、彼女の「今」を映し出すこのプログラムは、評論家からも高い評価を得ました。現地レビューから、その一端をご紹介します。
〈マリアネラ ― タイムレス〉は、ヌニェスという英国ロイヤル・バレエ団の特別な存在を中心として、彼女の「不朽の芸術性と、彼女が愛するバレエ団および観客を称える公演」として企画されました。
過去28年間、彼女(ヌニェス)は舞台を観るすべての人々に、その超人的な才能を披露し続けてきた。並外れた自制心、非の打ち所のないテクニック、そして幅広い表現力を兼ね備えたダンサーとして、間違いなくバレエの殿堂入りを果たすにふさわしい。(Broadway World評:Matthew Paluch)
総勢20名の出演者のうち、マシュー・ボール、ウィリアム・ブレイスウェル、ワディム・ムンタギロフ、パトリシオ・レヴェがヌニェスと組み、女性陣もマヤラ・マグリ、高田茜、金子扶生、佐々木万璃子と、豪華な顔ぶれが集まりました。プログラムは、ロビンズの『イン・ザ・ナイト』で幕を開け、5つのディヴェルティスマンに続いて、アシュトンの『マルグリットとアルマン』で締めくくる7演目です。
このプログラムは、ヌニェスの多彩な才能と、彼女と親交の深いダンサーたちの才能の多様性を存分に引き出すよう、巧みに構成されていた。(中略)これは、アシュトン、バランシン、マクミラン、マクレガー、ロビンズ、ウィールドンといった大西洋の両岸にまたがる現代の巨匠たちの振付作品が並ぶ「プレイリスト」であり、そこに19世紀の定番作品も一編加えられていた。(Bachtrack評:Graham Watts)
彼女の芸術性のさまざまな側面を描き出し、キャリアの重要な瞬間や、これまでともに踊ってきた主要なパートナーたちを紹介するよう巧みに構成されたこのプログラムは、英国ロイヤル・バレエ団の全面的な支援を受け、上品で、完璧に制作され、息をのむような踊りが繰り広げられるショーとして観客を魅了した。(London Unattached評:Teresa Guerreiro)
ヌニェス自身の歩みを祝福すると同時に、彼女を育んできたバレエ団の歴史と現在を映し出す一夜、それが〈マリアネラ ― タイムレス〉の大きな特徴といえそうです。
中心となった二つの演目のうち、ロビンズ振付『イン・ザ・ナイト』において、3番目のカップルを演じたヌニェスは、成熟したダンサーだからこそ表現できる複雑な感情のニュアンスを、細やかな身体の使い方と音楽性で描き出して称賛されています。
これ(『イン・ザ・ナイト』)は3組のカップルによる、大人の感性に訴える作品で、シンプルでありながら息をのむような優雅さに満ちている。ヌニェスはボールと踊り、ジャンプやリフトへの踏み切りは極めて滑らかで、二人の関係性に対するもどかしい迷いを表現している。繊細で華麗な作品だ。(The Guardian評:Lyndsey Winship)
最後のパ・ド・ドゥは、関係が激動の結末を迎える場面に焦点を当てている。女性役のヌニェスは拒絶と渇望の間で揺れ動き、彼女が手放すことのできない男性役のマシュー・ボールは、狂おしいほどの回転の中で彼女を腕に絡め、一度は離れようとしても、懇願するように戻ってくる。(London Unattached評:Teresa Guerreiro)
一方、アシュトンの『マルグリットとアルマン』は、マーゴ・フォンテイン以来、選ばれたダンサーだけが踊り継いできた特別な演目です。結核に冒された高級娼婦マルグリットに扮するヌニェスの演技を、各媒体は次のように評しています。
この憧れの役を熱望してきた数多くのバレリーナたちの系譜を受け継ぐヌニェスは、情熱的でありながらも儚さを感じさせる演技を見せた。(London Unattached評:Teresa Guerreiro)
ヌニェスにはある種の抑制と自制があり、それによってこの踊りは情熱や炎というよりは、抵抗と降伏の舞となっている。(The Guardian評:Lyndsey Winship)
激しい感情を前面に押し出すのではなく、抑えた表現の中に「抗い」と「受け入れ」を同時に宿す。そのバランス感覚こそ、長年にわたりドラマティックな役柄を踊ってきたヌニェスならではの魅力といえるでしょう。
ヌニェスの入団28年というキャリアは、これまでの歴代プリマと比べても突出しています。そして驚かされるのは、これが彼女の引退公演ではなく、彼女が今なお全盛期にあると各媒体が認めている点です。
音楽と舞踊が織りなすこの忘れがたい夜は、非凡なダンサーである彼女と、その成長を育み、そして今後も長く支え続けてくれるであろうバレエ団の両方を称えるものだった。なぜなら、ここにはまだ全盛期にあるプリマ・バレリーナがいるのだから。(Bachtrack評:Graham Watts)
彼女が主役であり、レパートリーも彼女が選び、すべてを「完璧」にこなしている。16歳で入団した英国ロイヤル・バレエ団と、その振付家たちへのオマージュとなっている。また、彼女は同団のダンサーたちの素晴らしい才能を存分に披露し、惜しみなく彼らに輝く機会を与えている。(The Guardian評:Lyndsey Winship)
自らの芸術を高め続けると同時に、次の世代のダンサーたちと舞台を分かち合う──その姿勢こそ、〈マリアネラ ― タイムレス〉というタイトルにふさわしい、"時を超えて"受け継がれていくバレエの精神を体現しています。プリマ・バレリーナとしてなお全盛期にあるヌニェスが、英国ロイヤル・バレエ団とともに紡いだ特別なステージ。これらの公演評から伝わってくるのは、彼女のキャリアの集大成であると同時に、これからも続いていく物語の序章でもあるという期待感です。
文責:NBS
(2026年7月29日~8月2日、ロイヤル・オペラハウス)
7月29日、31日、8月2日
金子扶生―ワディム・ムンタギロフ
マヤラ・マグリ―ルーカス・B・ブレンツロド
マリアネラ・ヌニェス―マシュー・ボール
7月30日、8月1日
高田茜―カルヴィン・リチャードソン
佐々木万璃子―パトリシオ・ルヴェ
マリアネラ・ヌニェス―マシュー・ボール
『海賊』:マリアネラ・ヌニェス―ワディム・ムンタギロフ
『インフラ』:高田茜―カルヴィン・リチャードソン
『ロミオとジュリエット』:マヤラ・マグリ―マシュー・ボール
『アフター・ザ・レイン』:金子扶生―ルーカス・B・ブレンツロド
『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』:マリアネラ・ヌニェス―パトリシオ・ルヴェ
マルグリット:マリアネラ・ヌニェス
アルマン:ウィリアム・ブレイスウェル
アルマンの父:クリストファー・サンダース
公爵:エイデン・オブライエン
ほか