2020/08/05(水)Vol.403
2020/08/05(水) | |
2020年08月05日号 | |
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「第九」ハンブルク・バレエ団バレエの祭典モーリス・ベジャール・バレエ団 |
第31回〈バレエの祭典〉の第1弾は、2021年3月中旬のハンブルク・バレエ団公演。当代最高峰の振付家ジョン・ノイマイヤー率いる名門を抜きに、バレエの現在を語れまい。並外れた現代感覚と独自の審美眼、そして奥深い創造力によって生み出された数々の名作はバレエ界の宝といえるだろう。
7年ぶりの来日となった2016年の公演、それに続く2018年の日本公演では、毎回カーテンコール時に会場総立ちとなった。観れば観るほど深みにはまる"ノイマイヤーの世界"に魅了されるオーディエンスはいや増すばかりである。今回のラインナップに入っている2作品はもちろんノイマイヤーの評判作品なので見逃したくない。
『アンナ・カレーニナ』(2017年初演)では、『椿姫』や『人魚姫』などで人間の心理を鋭く繊細に描き出す巨匠ならではのドラマ造りが見もの。チャイコフスキー、シュニトケ、キャット・スティーヴンス/ユスフ・イスラムによる多彩な音楽、スイスのファッションブランド「アクリス」のアルベルト・クリームラーが手がけた衣裳にも注目したい。
『バーンスタイン・ダンス』(1998年初演)は、20世紀アメリカが生んだ巨星バーンスタインの音楽とその精神を扱う。「キャンディード序曲」などノイマイヤーが母国で少年時代から親しんできたバーンスタインの数々の名曲へのオマージュで、音楽性にあふれた自在な振付と躍動感豊かなダンスを堪能したい。なお衣裳を担ったのはジョルジオ・アルマーニ。
2021年4月下旬~5月上旬には、ベジャール×ベートーヴェン『第九』が登場する。20世紀バレエの巨匠モーリス・ベジャールがルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの「交響曲第九番」に振付した名作で、モーリス・ベジャール・バレエ団と東京バレエ団が共演し、オーケストラ、歌手、合唱団なども含めると総勢約350名が出演する一大巨編である。
ベジャールは4つの楽章を、それぞれ「地」「火」「水」「風」の象徴とした。ニーチェの「悲劇の誕生」の朗読に始まり、その後は楽聖がつむいだ曲調・曲想を汲みながら人間賛歌を力強く、高らかに謳い上げる。ベジャールの後継者ジル・ロマンは、2014年、東京で初演から50年を記念して蘇演された際、「ダンスによるコンサート」と称した。音楽と舞踊が分かち難く結びつき、疾風怒濤のごとく奏でるシンフォニーは比類なく、圧倒されざるを得ない。
モーリス・ベジャール・バレエ団×東京バレエ団の『第九』は、2014年秋の中国・上海公演を皮切りにスイス、ベルギー、モナコでも披露され話題を呼んだ。ベジャールが愛した二つの兄弟カンパニーが織りなす深い親愛の情は「歓喜の歌」で沸点に達し、観る者の心を激しく捉えて離さない。人類がいかなる苦難に陥ろうとも、手を携え、共に生きれば希望を見つけ出すことができると強く思わせる。日本では7年ぶりとなる祝祭の舞台が待ち遠しい!
高橋森彦(舞踊評論家)
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公演:2021年3月中旬
ジョン・ノイマイヤー振付「アンナ・カレーニナ」
ジョン・ノイマイヤー振付「バーンスタイン・ダンス」
本公演は中止になりました
公演:2021年4月下旬〜5月初旬
モーリス・ベジャール振付「第九」
本公演は中止になりました
公演:2021年6月下旬〜7月初旬
ルドルフ・ヌレエフ振付「ロミオとジュリエット」
アクラム・カーン振付「ジゼル」
公演:2021年8月
Aプロ/Bプロ
公演:2022年3月上旬
マリシア・ハイデ振付「眠れる森の美女」
ケネス・マクミラン振付「うたかたの恋」