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2020/08/19(水)Vol.404

〈バレエの祭典〉シーズン・ラインナップ(3)
2020/08/19(水)
2020年08月19日号
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バレエ

〈バレエの祭典〉シーズン・ラインナップ(3)

イングリッシュ・ナショナル・バレエが
4年ぶりに来日するのはビッグニュースだ!

2021年6月下旬~7月初旬、イングリッシュ・ナショナル・バレエ(ENB)が4年ぶりに来日するのはビッグニュースだ。ENBは2012年、英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルだったタマラ・ロホが芸術監督となってから意欲的な演目を次々に発表し、バレエ界の話題をさらっている。ダンサーも充実し、ロホ、アリーナ・コジョカルら実力派スターが揃う。今回はENBが誇る人気作品を披露する。

ルドルフ・ヌレエフ振付『ロミオとジュリエット』(1977年初演)は、ENBの前身ロンドン・フェスティバル・バレエ時代に端を発する演目。おなじみシェイクスピアの戯曲を原作とし、プロコフィエフの音楽を用いたドラマティック・バレエだが、ヌレエフ自身が初演したマクミラン版などに比べても独特の香りがただよう。中世の封建社会の因襲的な空気が充満するなかで、情熱的に生きて死んだ若い男女の一途な愛を描いて鮮烈だ。

「ロミオとジュリエット」
Photo: Laurent Liotardo


■動画はこちらから
https://youtu.be/0cMaRTTi5Xc

アクラム・カーン振付『ジゼル』(2016年初演)くらい近年来日が待ち望まれたバレエはないだろう。コンテンポラリーダンスの鬼才カーンがロマンティック・バレエの名作を新解釈した斬新かつ感動的なステージだ。近未来を舞台に、工場で働く移民たちと支配者の対立が描かれ、やがて女工たちがウィリとなって恨みをはらそうとする――。原作のアダンの楽曲も参照し新たに創り上げたヴィンチェンツォ・ラマーニャの音楽や米国アカデミー賞美術賞受賞者ティム・イップによるビジュアル&衣裳デザインにも注目したい。

「ジゼル」
Photo: Laurent Liotardo


■動画はこちらから
https://youtu.be/EHPT8IglL0s

今度のシュツットガルト・バレエ団は
ハイデ、マクミランの巨編二本!

ドイツの名門シュツットガルト・バレエ団が2022年3月上旬に登場するのも待ち遠しい。同バレエ団は『オネーギン』『じゃじゃ馬馴らし』といったジョン・クランコが遺した物語バレエの傑作によって知られ、日本公演でも定番として親しまれてきた。しかし、今回はクランコと縁が深い大物たちの巨編二本を携えて来日する点がポイントである。

マリシア・ハイデ振付『眠れる森の美女』(1987年初演)は、クランコの創造のミューズで後年シュツットガルト・バレエ団を率いたハイデが手がけた人気作品。悪の精カラボスを男性が演じ、白塗りで見栄を切って踊り演じる姿は、日本の歌舞伎の女形(女方)を参考にしたという。美術・衣裳はクランコの名作群と同じくユルゲン・ローゼの手によるもので、ドラマ性豊かな演出と結びついている。日本では14年ぶりの上演だけに見逃したくない。

「眠れる森の美女」
Photo: Bernhard Weis


ケネス・マクミラン振付『うたかたの恋』(1978年初演)は、1889年に起きたオーストリアのルドルフ皇太子と彼の愛人で男爵令嬢のマリー・ヴェッツェラによる心中事件に想を得た悲劇である。クランコの古巣である英国ロイヤル・バレエ団のお家芸がレパートリーに入ったのは2019年のこと。マクミラン特有の濃密な演劇的バレエの大作を、役者揃いの"ドラマティック・バレエの名門"が上演することに不足はあるまい。2018年に芸術監督に就いたタマシュ・デートリッヒ肝いりの自信作で重厚な舞踊ドラマを味わい尽くしたい。

「うたかたの恋」 Photo: Bernhard Weis


■動画はこちらから
https://youtu.be/xmd18VlOwjU

高橋森彦(舞踊評論家)

第31回〈バレエの祭典〉プレミアム・シーズン

世界最高峰のバレエ団、アーティストによるプレミアムな公演チケットを、発売前に確保してお届けする、バレエ好きのためのシリーズ会員券。

シーズンラインナップ

1ハンブルク・バレエ団(2演目)

公演:2021年3月中旬
ジョン・ノイマイヤー振付「アンナ・カレーニナ」
ジョン・ノイマイヤー振付「バーンスタイン・ダンス」

本公演は中止になりました

2ベジャール×ベートーヴェン「第九」

公演:2021年4月下旬〜5月初旬
モーリス・ベジャール振付「第九」

本公演は中止になりました

3イングリッシュ・ナショナル・バレエ(2演目)

公演:2021年6月下旬〜7月初旬
ルドルフ・ヌレエフ振付「ロミオとジュリエット」
アクラム・カーン振付「ジゼル」

4第16回世界バレエフェスティバル(2演目)

公演:2021年8月
Aプロ/Bプロ

5シュツットガルト・バレエ団(2演目)

公演:2022年3月上旬
マリシア・ハイデ振付「眠れる森の美女」
ケネス・マクミラン振付「うたかたの恋」

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