2024/04/03(水)Vol.491
2024/04/03(水) | |
2024年04月03日号 | |
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オペラ英国ロイヤル・オペラ |
Photos: Ellie Kurttz, Helen Murray/ ROH
ヴェルディがそれまでの手法をより深め、登場人物たちを掘り下げ、心の動きを表現したいと心血を注いで書き上げた『リゴレット』。この作品を楽しむためには、しっかりとドラマの主題をつかむことがカギとなります。今回上演されるプロダクションの場面写真を追って、ストーリーをご紹介しましょう。カマレナ、シエラの声もリンクから!
"呪い"のテーマが不気味に響く暗く強烈な前奏曲。舞台上にはカラヴァッジオの「聖マタイの殉教」を思わせるような活人画が設定されている。聖マタイがヒルタコス王の刺客により殺される「聖マタイの殉教」は、マントヴァ公爵がモンテローネ伯爵を抹殺するのを暗示しているのか.....。
場面は公爵の館で開かれている夜会。弦のピッチカートにのってマントヴァ公爵が歌う〈あれかこれか〉は、女性を品定めする彼の信条。そこに恐ろしい形相で現れたモンテローネ伯爵は公爵に娘を弄ばれたと訴えるがリゴレットはそれをからかうので、伯爵から呪いの言葉を浴びせられる。
https://youtu.be/HtOB3U1i_0s?si=3Kul923FVBffbjpD
夜、家路につくリゴレットは殺し屋スパラフチーレと出会う。短い二重唱のあと、一人になったリゴレットは「あいつは剣で、俺は舌で人を殺す」と〈俺たちは同じ穴のむじな〉で歌う。
殺し屋スパラフチーレと出会い、リゴレットは「あいつは剣で、俺は舌で人を殺す」と歌う
Photo: Ellie Kurttz / ROH
音楽が軽やかに転じる。リゴレットの家でジルダがリゴレットを迎える。リゴレットは娘を愛し、護るために、母のことも自分のことも教えず、外出も許さない。二重唱〈娘よ、おまえは私の命〉では深い情愛が表される。
リゴレットは娘を愛し、護るためにジルダにはなにも教えない
Photo: Helen Murray / ROH
リゴレットは乳母のジョヴァンナにジルダのことを託して去る。
Photo: Ellie Kurttz / ROH
学生姿に変装したマントヴァはジョヴァンナを買収し、ジルダの元へやって来る。教会で会うこの学生に恋心を抱いていたジルダは、驚きながらも公爵の情熱的な告白で夢見心地となり、二人の愛の二重唱〈あなたは私の心の太陽だ〉が歌われる。
学生の姿に変装したマントヴァの情熱的な告白にジルダは夢見心地に
Photo: Helen Murray / ROH
公爵が立ち去ると、ジルダは愛しい人を思い〈麗しい人の名は〉と歌う。
ジルダは偽名とは知らず、愛しい人への想いを歌う
Photo: Helen Murray / ROH
https://youtu.be/I2pwbuCQqZM?si=qfUwOGnwyJfdcnVq
ジルダのコロラトゥーラの名アリアの後半から、舞台上にはジルダをリゴレットの愛人だと勘違いした廷臣たちが現れ、ついには合唱〈静かに、静かに〉とともに彼女をさらっていく。
リゴレットを懲らしめたい廷臣たちはリゴレットの"愛人"としてジルダを狙う
Photo: Helen Murray / ROH
ジルダがいない! リゴレットはショックを受ける。
ジルダがさらわれたことに気づいて驚くリゴレット。ベッドに残されたグロテスクな人形は人形作家ハンス・ベルメールの作品をモチーフとしている
Photo: Helen Murray / ROH
ジルダがさらわれたと知った公爵は〈あの女が誘拐された〜ほおの涙が〉と歌う。このシェーナとカヴァティーナは、公爵のジルダへの真実の愛が垣間見られるとされる場面。
https://youtu.be/HadGZv5YZ0Y?si=igyiuM_X6zSSQi0b
ジルダが手下たちによって連れて来られたことを知った公爵が喜んで彼女のもとへ去るのと入れ替わりに、心配顔のリゴレットが現れる。道化らしく装い〈ララ、ララ〉と鼻唄を歌いながらジルダの行方を案じる。
リゴレットは、道化らしく装いながらジルダの行方を案じる
Photo: Helen Murray / ROH
やがて廷臣たちの素振りからジルダが公爵の手にかかったことを嗅ぎつけたリゴレットは「俺の娘だ!」と叫び、廷臣たちを驚かせる。娘を取り戻そうと歌う〈悪魔め、鬼め〉は、憤怒から悲痛な訴え、やがて絶望までを表す劇的な名アリア。
怒り、悲しみ、懇願、絶望.....ジルダを取り戻そうとするリゴレットが歌う〈悪魔め、鬼め〉は劇的なアリア
Photo: Helen Murray / ROH
ジルダがやって来て、父に事情を訴える。二重唱〈いつも日曜日に教会で〜娘よ、お泣き〉。娘を慰めながら、リゴレットは公爵への復讐を決意する。
ジルダは自身の思いを告げるが、リゴレットは公爵への復讐を決意する
Photo: Ellie Kurttz / ROH
https://youtu.be/srJR3JuPSt4?si=cUN0oisPoBwa_x0a
スパラフチーレの営む居酒屋から、「風のなかの羽のように」と歌うマントヴァ公爵の明るい声が聞こえる。〈女心の歌〉として有名なアリア。建物の外にはリゴレットとジルダ。父はスパラフチーレの妹マッダレーナと公爵の情事を娘に見せ、恋をあきらめさせようとしている。苦悩する父娘、なかで情事をすすめる公爵とマッダレーナの四重唱〈あなたにはいつか会ったことがある〉は、それぞれの心情が吐露される四重唱の傑作。
4人それぞれの心情が吐露される四重唱は全オペラのなかでも最高の傑作とされる
Photo: Helen Murray / ROH
https://youtu.be/RxFCFlsH1A8?si=KT0EN4ZUgP3G9Zn
ジルダに男装してヴェローナへ行けと命じたリゴレットは、スパラフチーレにマントヴァ公爵の殺害を依頼する。
リゴレットはスパラフチーレにマントヴァ公爵の殺害を依頼する
Photo: Ellie Kurttz / ROH
マントヴァの身を案じて居酒屋に戻って来たジルダは、兄妹によるマントヴァ殺害計画を知り、自分が身代わりになることを決意する。三重唱〈嵐が来るな〉は、死を覚悟し、父の許しを願うジルダと、緊張する兄妹による緊迫感に満ちている。
マントヴァに惚れ込んだマッダレーナに身代わりを殺そうと懇願されたスパラフチーレは、しぶしぶ応じ、次に訪れた者を殺すことにする
Photo: Helen Murray / ROH
嵐が止み、リゴレットはスパラフチーレから死体の入った袋を受け取る。ところが、静寂のなか、公爵の歌う〈女心の歌〉が聞こえてくる。愕然としたリゴレットが袋を開けてみると、中には瀕死のジルダがいる。フィナーレの二重唱〈ついに復讐のときがきた〜おお、わたしのジルダ〉が始まり、父に許しを請いながら息絶えるジルダの傍らで、リゴレットは「あの呪い!」と悲痛な叫びを上げる。
受け取った袋を開けてみると、なんとそこには瀕死のジルダが!
Photo: Helen Murray / ROH
指揮:アントニオ・パッパーノ
演出:オリヴァー・ミアーズ
6月22日(土)15:00 神奈川県民ホール
6月25日(火)13:00 神奈川県民ホール *横浜平日マチネ特別料金
6月28日(金)18:30 NHK ホール
6月30日(日)15:00 NHK ホール
[予定される主な出演者]
マントヴァ公爵:ハヴィエル・カマレナ
リゴレット:エティエンヌ・デュピュイ
ジルダ:ネイディーン・シエラ
指揮:アントニオ・パッパーノ
演出:アンドレイ・セルバン
6月23日(日)15:00 東京文化会館
6月26日(水)18:30 東京文化会館
6月29日(土)15:00 東京文化会館
7月2日(火)15:00 東京文化会館
[予定される主な出演者]
トゥーランドット姫:ソンドラ・ラドヴァノフスキー
カラフ:ブライアン・ジェイド
リュー:マサバネ・セシリア・ラングワナシャ
S=¥72,000 A=¥62,000 B=¥48,000
C=¥38,000 D=¥32,000 E=¥22,000
U29シート=¥10,000 [全公演対象]
U39シート=¥18,000 [6/22(土)『リゴレット』、6/26(水)『トゥーランドット』限定]
※サポーター席=¥122,000 [寄付金付きのS席 S席72,000円+寄付金50,000円]
横浜平日マチネ特別料金[6/25(火)限定]
S=¥49,000 A=¥42,000 B=¥35,000
C=¥30,000 D=¥25,000 E=¥20,000
U29シート=¥8,000 [全公演対象]
※サポーター席=¥99,000 [寄付金付きのS席 S席49,000円+寄付金50,000円]