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Photo: Ayano Tomozawa

2024/06/19(水)Vol.496

英国ロイヤル・オペラ2024年日本公演
開幕直前! 記者会見レポート
2024/06/19(水)
2024年06月19日号
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オペラ

Photo: Ayano Tomozawa

英国ロイヤル・オペラ2024年日本公演
開幕直前! 記者会見レポート

前回からコロナ禍を挟んで5年ぶりとなる英国ロイヤル・オペラの日本公演。首都圏にも大雨警報が出された6月18日、開幕記者会見が行われました。
今回は、アントニオ・パッパーノが音楽監督として英国ロイヤル・オペラ(ROH)を率いる最後の機会。実に22年という劇場最長記録となる長期にわたり音楽監督を務めたアントニオ・パッパーノがヴェルディとプッチーニの傑作を指揮します。『リゴレット』は、ROHオペラ・ディレクターのオリヴァー・ミアーズ演出によるもので、コロナ禍真っ只中の2021年に初演された作品、一方の『トゥーランドット』は、パッパーノが就任する以前から愛され続けているROHの長寿プロダクションの一つ。21世紀のROHを牽引し、ともに歩んできたパッパーノは、最後のツアーにこの新旧のプロダクションを選びました。

この日の登壇者は、ROHオペラ・ディレクターのオリヴァー・ミアーズ、同音楽監督のアントニオ・パッパーノ、『リゴレット』のジルダ役ネイディーン・シエラとマントヴァ公爵役ハヴィエル・カマレナ、『トゥーランドット』のリュー役マサバネ・セシリア・ラングワナシャとカラフ役ブライアン・ジェイド。
NBSの髙橋専務理事から、『トゥーランドット』のタイトルロールが予定されていたソンドラ・ラドヴァノフスキーが副鼻腔炎と重度の中耳炎の発症により来日できなくなったことと、『リゴレット』のタイトルロールを演じるエティエンヌ・デュピュイはフライトの変更によりこの会見には出席できないことが告げられました。なお、ソンドラ・ラドヴァノフスキーに代わり、マイダ・フンデリングがトゥーランドット姫を歌うことも発表されました。

オリヴァー・ミアーズ
「2つの演目を、すべてが上質な上演で日本の皆さまに届けられることはとても嬉しいこと」

オリヴァー・ミアーズ
Photo: Ayano Tomozawa

「私が演出した『リゴレット』は2021年にロンドンで初演されたもの、今回日本で初めての上演となることをとても嬉しく思っています。『トゥーランドット』は、1984年の初演以来、ROHでは最も古いプロダクションで、プッチーニの音楽、セット、衣裳などすべてが素晴らしく、長く愛される理由をもっている作品です。この2つの演目を、すべてが上質な上演で日本の皆さまに届けられることはとても嬉しいことです。また、22年音楽監督を務めたアントニオ・パッパーノとの、最後の公演になると思うと、ちょっと甘酸っぱい感情も湧いてきます」
と、オリヴァー・ミアーズ。彼はこの日に到着し、空港から会場に直行で到着したので、「英国の天気まで持って来てしまったようで申し訳ない」とも。
ROHの特徴は?という質問では「世界最高のものを提供しているという自負をもっている」とし、あまたの劇場があるロンドンという街のなかにあるオペラハウスであることも特徴に挙げました。
「英国には"アート・フォー・エブリワン"という理念があります。そのために公的な支援が行われています。ただ、残念なことにオペラについては年々縮小されているという現実もありますが」

アントニオ・パッパーノ
「"日本の家族"のもとに帰って来た!と感じた」

アントニオ・パッパーノ
Photo: Ayano Tomozawa

「今回が私が指揮をする4度目の日本公演です。ROHは私にとって"家族"ですが、日本に到着した途端に、"日本の家族"のもとに帰って来た!と感じました。
『リゴレット』は構成、音楽、物語性などすべての完成度が高い作品、『トゥーランドット』はオラトリオのような、儀式的な面をもった作品で、プッチーニが新しいオペラのかたちを提示したと感じられます。ヴェルディとプッチーニのこの2作は最高のコンビネーションだと思います」
音楽監督としての22年を振り返っていま思うことは?という質問には
「何年ということではなく、ROHで行ってきた一つひとつのことに意味を見出しています。22年の間にさまざまな作品をやってきました。私は貪欲に、いろいろなものをたくさんやりたいと思っていました。ワーグナー、プロコフィエフ、ベルク、モーツァルト、ヴェルディ、プッチーニ、そしてシマノフスキ、ベルリオーズ.....次々に作品を取り上げることが可能でした。こうしたなかで、一つひとつを積み上げていくことで、私自身がその音楽や解釈をしっかりと固め、そしてオペラハウスのみならず劇場というものに対する考え方を確固としたものとしてもつことができました。素晴らしい演出家や出演者たちとの協力関係、ROHでの量というより体験の質の高さというものが、私が得たものだと考えています」

初来日、『リゴレット』のマントヴァ公爵役ハヴィエル・カマレナ
「"悪役"というのは少ないので、マントヴァ公爵役は楽しんでいます」

ハヴィエル・カマレナ
Photo: Ayano Tomozawa

「やっと来られた!と思っていて、日本の聴衆の皆さんの前で歌うことがとても楽しみです。私の声のパートでは、"悪役"というのは少ないので、マントヴァ公爵役は楽しんでいます。彼のキャラクターについてはミアーズと共通の解釈をもっていますし、音楽面ではマエストロと同じ考えを持っているということで、とてもやり甲斐を感じることができます。マントヴァ公爵の役は、過去に偉大なテノールがたくさん歌っています。〈女心の歌〉は誰でもが知っているというものでもあるでしょう。そうしたなかで、私は声のみならず、役作りにおいても自分独自の表現をしたいと思っています」

ジルダ役ネイディーン・シエラ
「『リゴレット』は特別な作品」

ネイディーン・シエラ
Photo: Ayano Tomozawa

「実は『リゴレット』は、マエストロ・パッパーノと初めて共演したオペラなのです。ジルダ役は、私がプロの歌手としてやっていく上での本当に大きな意味をもつものとなりました。ジルダは、希望と喜びとあらゆるものを私にもたらし、そして何よりも大きな勇気を与えてくれたのが、このジルダという役なのです。今回、ミアーズとパッパーノという、この作品についてとても深く考える方々のもとで演じられることをとても嬉しく思っています」

『トゥーランドット』のリュー役マサバネ・セシリア・ラングワナシャ
「出演している私たちも"ホント!? マジ?"と思うような壮大さがある」

マサバネ・セシリア・ラングワナシャ
Photo: Ayano Tomozawa

「日本は初めてです。昨日、美しい庭園を見ることができ、この滞在がとても素敵なものになることを確信しました。『トゥーランドット』のリュー役は、私がプロの歌手として正式に歌った初めての役です。最初にこの役を学んだのはROHのジェット・パーカー・ヤング・アーティスト・プログラムでのことでした。そのときに、"君はこの役を全部学ぶべきだ"と言われ、勉強を続けたことが、『トゥーランドット』の舞台に立つということにつながったのです。先日もワシントンで歌ってきましたが、歌うたびに、この役は私にとってとても特別な役だと感じます。リューには3つの素敵なアリアがあります。聴いている方にとっても印象に残るものだと思います。『トゥーランドット』は、舞台そのものが壮大で、出演している私たちも"ホント!? マジ?"と思うようなこともあります。最高のステージを、皆さまに楽しんでいただきたいと思っています」

カラフ役のブライアン・ジェイド
「最初から最後まで全力疾走でいかなければいけない、一瞬たりとも息が抜けない役」

ブライアン・ジェイド
Photo: Ayano Tomozawa

「日本ツアーへのオファーを受けたときには、迷うことなくすぐにOKしました。そして、最後のリハーサルが終わった後の最初の飛行機に飛び乗って、少しでも早く日本に着きたいと思いました。『トゥーランドット』のカラフ役は、テノールにとって素晴らしい、偉大な役の一つです。〈誰も寝てはならぬ〉は超のつく有名なアリアですが、カラフ役は最初から最後まで全力疾走でいかなければいけない、なぜなら彼は強い自信を持っていて、自分が勝利をおさめることを疑わない人物だからです。一瞬たりとも息が抜けない役なのです」

記者会見のフォト・セッションにて
左から、カマレナ、シエラ、パッパーノ、ランクワナシャ、ミアーズ、ジェイ
Photo: Ayano Tomozawa

オペラのストーリーで起こる理不尽なことについて、例えば今回の2つの作品ではリューが自害したり、ジルダが身代わりに殺されてしまうようなことについて、歌手の皆さんはどう考えますか? という質問に対して、マエストロが即座に両手を広げ「愛だよ、愛」と笑顔で声をあげました。もっとも、その後この質問に真面目に応えるシエラの言葉を、マエストロは一言も逃すまいといった表情で聞いていたのも印象的。その言葉とは
「ジルダが受けた唯一の教育は教会のものでした。だからイエス・キリストのように他者の魂を救うために自分が代わって死ぬということはすべての人の赦しを求めることでもあるのです。彼女は死ぬときに父に赦しを求めますが、これは父だけでなく、悪者である公爵も、人殺しのスパラフチーレも妹のマッダレーナも、すべての人の赦しを求めているということだと思うのです。こうしたことが、人の心に強いインパクトを与えます。それを自分の人生に反映させることができるかどうか.....。オペラがもつ重要な意味がここにあるのだと思っています」

6月22日『リゴレット』で英国ロイヤル・オペラ2024年日本公演は幕を開けます。
すでに始まっている仕込みの様子の一部もご紹介!

『トゥーランドット』の舞台仕込みスタート!

日本公演『トゥーランドット』の初日まで1週間となった6月16日、いよいよ本格的に舞台の仕込みがスタート。
このプロダクションでは、舞台両翼いっぱいに"城壁"が組まれ、ここに群衆が居並びます。何人もの人が乗ることの安全性を保つため、すべて鉄骨製。段上に上がるための階段は3機。1機ずつ鉄骨を組み、階段を設置していきます。

組みあげ途中の階段

組み上げるのも、組み上がったものをセットするのも重い重い。もしかしてその重量は舞台に乗せられる限界に近い?!

開始からまる2日をかけてここまで到達!
まだまだ作業は続きます。

スケールを使っての細かい作業も重要です。舞台上に所狭しと置かれた"鉄骨"の数々・・。

待機中の龍。第3幕でリューの亡骸を運びます。

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英国ロイヤル・オペラ2024年日本公演
『リゴレット』全3幕
『トゥーランドット』全3幕

公演日

ジュゼッぺ・ヴェルディ
『リゴレット』全3幕

指揮:アントニオ・パッパーノ
演出:オリヴァー・ミアーズ
6月22日(土)15:00 神奈川県民ホール
6月25日(火)13:00 神奈川県民ホール *横浜平日マチネ特別料金
6月28日(金)18:30 NHK ホール
6月30日(日)15:00 NHK ホール

[予定される主な出演者]
マントヴァ公爵:ハヴィエル・カマレナ
リゴレット:エティエンヌ・デュピュイ
ジルダ:ネイディーン・シエラ

ジャコモ・プッチーニ
『トゥーランドット』全3幕

指揮:アントニオ・パッパーノ
演出:アンドレイ・セルバン
6月23日(日)15:00 東京文化会館
6月26日(水)18:30 東京文化会館
6月29日(土)15:00 東京文化会館
7月2日(火)15:00 東京文化会館

[予定される主な出演者]
トゥーランドット姫:ソンドラ・ラドヴァノフスキー
カラフ:ブライアン・ジェイド
リュー:マサバネ・セシリア・ラングワナシャ

入場料[税込]

S=¥72,000 A=¥62,000 B=¥48,000
C=¥38,000 D=¥32,000 E=¥22,000
U29シート=¥10,000 [全公演対象]
U39シート=¥18,000 [6/22(土)『リゴレット』、6/26(水)『トゥーランドット』限定]
※サポーター席=¥122,000 [寄付金付きのS席 S席72,000円+寄付金50,000円]

横浜平日マチネ特別料金[6/25(火)限定]
S=¥49,000 A=¥42,000 B=¥35,000
C=¥30,000 D=¥25,000 E=¥20,000
U29シート=¥8,000 [全公演対象]
※サポーター席=¥99,000 [寄付金付きのS席 S席49,000円+寄付金50,000円]