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2023/12/06(水)Vol.483

英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2023/24
2023/12/06(水)
2023年12月06日号
オペラ
関連情報

英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2023/24

英国ロイヤル・オペラ・ハウスで上演されたオペラとバレエの舞台が映画館のスクリーンで観られる「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン」はオペラ、バレエのファンから定評を獲得しています。2023/24シーズンはバレエ4作品、オペラ4作品の全8作品がラインナップされました。2002年から音楽監督を務めるアントニオ・パッパーノは「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン」をスタート時から牽引してきたといえます。彼にとってのラスト・シーズンの開幕です!

パッパーノ音楽監督ラスト・シーズン

英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2023/24のオープニングを飾るのは、アントニオ・パッパーノ指揮、パリー・コスキー新演出による『ラインの黄金』。英国ロイヤル・オペラで2023年から4年かけて上演するワーグナー畢生の大作《ニーベルングの指環》全4部作の幕開けとなる公演です。
オーストラリア出身のバリー・コスキーは現代演劇の考えと手法を大胆に持ち込むことで知られる演出家。この『ラインの黄金』でも、枯れ果てて残骸のようになったトネリコの大樹が横たえられた舞台に痩せ衰えた老婆の姿で表される大地の女神エルダの登場で始まります。大地の資源をもとにした富を人間のエゴが貪欲に求めた結果、地球の死が近づいていることを不気味に提示しているといいます。コスキーの大胆な解釈は、ときに物議を醸すこともありますが、この『ラインの黄金』は批評家からも観客からも絶賛されました。その好評を導いたのは、演出ばかりでなく、もちろんパッパーノの指揮による音楽面の充実も。さまざまな音楽テーマを丹念に浮き上がらせながら、エネルギッシュにワーグナーの真髄を表現したと評されています。

『ラインの黄金』より
©2023 ROH

アントニオ・パッパーノが、今シーズンで音楽監督を退くことはすでに知られており、シーズン終盤に開催される日本公演も、その集大成が示されるものと、期待が高まっています。日本公演ではヴェルディとプッチーニというイタリア・オペラを代表する二大作曲家の傑作2作を振るパッパーノ、ワーグナーでも並ならぬ指揮ぶりを目の当たりにすると、あらためてオペラ指揮者としての凄さを感じることになりそうです。

英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2023/24のラインナップ

2023年
オペラ『ラインの黄金』(2023年9月20日上演作品)12/15(金)より順次公開 

2024年
バレエ『ドン・キホーテ』 1/26(金)より順次公開
バレエ『くるみ割り人形 』 2/16(金)より順次公開
バレエ『マノン』4/5(金)より順次公開
オペラ『蝶々夫人』6/7(金)より順次公開 
バレエ『白鳥の湖 』 6/14(金)より順次公開
オペラ『カルメン』9/6(金)より順次公開
オペラ『アンドレア・シェニエ』 9/20(金)より順次公開

英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2023/24サイト
http://tohotowa.co.jp/roh/

『アンドレア・シェニエ』
©2015 ROH. Ph by Bill Cooper