NBS News Web Magazine
毎月第1水曜日と第3水曜日更新
NBS日本舞台芸術振興会
毎月第1水曜日と第3水曜日更新
Photo: Ayano Tomozawa

2021/05/06(木)Vol.421

第16回世界バレエフェスティバル
特別インタビュー(1)マチュー・ガニオ
2021/05/06(木)
2021年05月06日号
バレエ
TOPニュース
インタビュー
第16回世界バレエフェスティバル

Photo: Ayano Tomozawa

第16回世界バレエフェスティバル
特別インタビュー(1)マチュー・ガニオ

今夏の〈世界バレエフェスティバル〉開催に向け、出演ダンサーのインタビューをお届けしていきます。トップ・バッターはパリ・オペラ座バレエ団のマチュー・ガニオ。大村真理子さんによる現地インタビューです。

「今年のフェスティバルはとりわけ感動的なものになりそう!」

今年のフェスティバルはとりわけ感動的なものになりそう!と、参加に胸をときめかすマチュー・ガニオ。昨年12月から始まったピエール・ラコットの『赤と黒』の創作のため、 劇場閉鎖中のこの時期、ステージの裏側で新しい作品の誕生に関わるという刺激的な時間を過ごしている。この作品は来シーズンに向けての創作だ。まずは近況を語ってもらおう。
「劇場再開時に公演の準備ができているようにと、僕たちダンサーは発表された今シーズンのプログラムに沿ってリハーサルを続けています。でも舞台で披露できるまでの稽古を重ねても、結局は劇場閉鎖のままで公演はなく。では、次のプログラムの準備をしましょう......と、この繰り返しなんです。誰にとっても心理的にとても厳しいといえますね。幸いにも僕は無観客とはいえ、3月に『ル・パルク』の映像化のためにステージで踊れました。僕にとって初のプレルジュカージュ作品だったけど、この振付はクラシック作品で求められる身体性と大きく異ならないので、自分はコンテンポラリー作品向きではないというコンプレックスなしに役に取り組めました。それに彼のスタイルをリスペクトしつつ、クラシックダンサーのエレガンス、アリュール(魅力)をこの役にもたらすことができる、とも思いました」
年金制度改革に対するストで2019年12月の公演が中止となった『ル・パルク』。それから今年の3月までの間に自分の頭の中で作品を熟成させる時間がとれたおかげで、フライング・キスで有名な"解放のパ・ド・ドゥ"も1年前ほど緊張せず、踊る喜びが得られたのは不幸中の幸いだったと振り返る。最近〈ローラン・プティへのオマージュ〉(5月30日初日)で踊る『若者と死』と『ランデヴー』の稽古も始まった。どちらも初役。それに加え、『ロミオとジュリエット』(6月10日初日))では、これも初役でティボルトに挑む。今シーズン中に劇場が再開されることを彼のためにも期待したい。

第15回世界バレエフェスティバル〈ガラ〉より
『ワールウィンド・パ・ド・ドゥ』(ドロテ・ジルベールと)
Photo: Kiyonori Hasegawa

この後、彼は〈世界バレエフェスティバル〉で来日する。これが5回目の参加となり思い出の数を増やし続けているが、他のダンサーと違い、彼にはフェスティバルに参加する親と一緒に来日していた子供時代の思い出も少なくない。例えば、
「パトリック・デュポンがすごいスターなんだ!!と知ったのも、フェスティバルでのことでした。彼を待つ大勢のファンを見て、びっくり仰天したんです。まだ10歳にもなっていず、ダンスもしていなかった頃のことです。母(ドミニク・カルフーニ、元パリ・オペラ座バレエ団エトワールでマルセイユ・バレエ団へ移籍)は 彼を高く評価していて、一緒に踊ることがよくありました。母を再びオペラ座のステージに、と提案してくれたのも彼なんです。そういう関係なので、僕も彼とは舞台裏で一緒に大笑いしたり、おしゃべりしたりと時間を共有していて......僕にとても優しくしてくれました。 一人の人間として接していたので、彼のダンサーとしての名声や国際性などは全然理解できてなかったんですね。彼は信じられない身体能力の持ち主で、舞台上で惜しみなくそれを発揮するダンサーでした。オペラ座の名を有名にした人物です。"オペラ座のエトワールの誰を知っていますか?"と街中で質問したら、答えは間違いなくパトリック・デュポンでしょう」
バレエ界における〈世界バレエフェスティバル〉の重要性を両親を介して知っていた彼は、初めて招かれた時に驚きとともに職業上の一つの成就であると誇らしく感じた。そして毎回、次もまたこの祭典に参加することができたら! という思いで日本を後にするという。
「今年は特殊な状況下での開催です。でも日本人は組織力に長けているし、他者へのリスペクトが大きいので、開催に際してはあらゆる危険防止策が講じられると信じています。人間の暮らしに欠かせない文化芸術の輝きのために、ダンサーにとっても観客にとっても、今回のフェスティバルの開催は大変期待されるものです。フェスティバルに参加する僕の大きな喜びの一つとして、ダンサーたちとの出会いです。回を重ねるごとに再会するのが楽しみなダンサーが増えていって......。今年は世界各地でそれぞれが厳しい時期を過ごした後での再会。それに僕だけでなくダンサーたちの誰もが観客を前に舞台で踊ることを待ち焦がれているはずです。分かち合うものもとても大きいでしょうから、ひときわ感動的なフェスティバルになるに違いありません」

大村真理子(在パリ、フリーエディター)

公式サイトへ チケット購入

第16回世界バレエフェスティバル

公演日

Aプログラム

8月13日(金)14:00
8月14日(土)14:00
8月15日(日)14:00
8月16日(月)14:00

Bプログラム

8月19日(木)14:00
8月20日(金)14:00
8月21日(土)14:00
8月22日(日)14:00

ガラ

8月25日(水)14:00

会場:東京文化会館(上野)

予定されるプログラム(順不同)

「海賊」
「ドン・キホーテ」
「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
「ジュエルズ」より“ダイヤモンド”
「グラン・パ・クラシック」
「マルグリットとアルマン」
「オネーギン」
「ロミオとジュリエット」
「3つのプレリュード」 ほか

※上記の演目はA・Bプロいずれかで上演されます。
プログラム内容の詳細は公式サイトをご覧ください。


指揮:ワレリー・オブジャニコフ、ロベルタス・セルヴェニカス
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
ピアノ:菊池洋子

入場料[税込]

Aプロ、Bプロ
S=¥27,000
A=¥24,000
B=¥21,000
C=¥17,000
D=¥13,000
E=¥ 9,000
U25シート ¥4,500
※2演目セット券あり(S,A,B席)
期間限定発売
※ペア割引あり(S,A,B席)
※親子割引あり(S,A,B席)


ガラ
S=¥33,000
A=¥30,000
B=¥27,000
C=¥22,000
D=¥18,000
E=¥13,000