2021/06/02(水)Vol.423
2021/06/02(水) | |
2021年06月02日号 | |
バレエ TOPニュース インタビュー 第16回世界バレエフェスティバル |
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バレエ世界バレエフェスティバル |
Photo: James Bort
〈世界バレエフェスティバル〉出演ダンサーのインタビュー・シリーズ3回目はパリ・オペラ座バレエ団のドロテ・ジルベール。パートナーシップや、彼女が熱意を傾けることなどについて、パリ在住の大村真理子さんがインタビュー。
3年前、マチュー・ガニオのパートナーとして〈世界バレエフェスティバル〉に初参加を果たしたドロテ・ジルベール。最終日のガラでは予定になかったパ・ド・ドゥをマチアス・エイマンと踊るという挑戦を果たすことになって......と、前回の興奮は今も忘れていない。
「世界中の素晴らしいダンサーが一堂に会する〈世界バレエフェスティバル〉に参加することは、プロのダンサーとして夢の1つだったの。年齢を重ねるたびに、ああ、これを経験せずにキャリアを終えることになったら残念だわって思っていたくらい」
今回のフェスティバルでのパートナーはユーゴ・マルシャンである。昨年オペラ座来日公演の『オネーギン』で、大きな感動を舞台上に巻き起こした二人。劇場再開が決まったオペラ・バスティーユで6~7月に踊られる『ロミオとジュリエット』で舞台を共にする二人は、目下そのリハーサルの真っ最中だ。
「5年前の公演でも彼が私のロミオで、2回目の稽古日にその時の舞台のセンセーションがすでに戻ってきました。彼とは役作りなど、さまざまな面で意見が合い、よく理解し合える関係。それに加えて『マノン』に始まり、私がオペラ座のレパートリーの中でも演劇性の高い作品で組むのは、いつもユーゴなの。来季のピエール・ラコットの創作『赤と黒』でも、彼と一緒。口づけを何度も交わす、狂おしい愛の物語といった作品を幾つも共に作り上げる......ユーゴに限らず、こうしたことによって相手役のダンサーとのパートナーシップはより確かなものとなってゆくものでしょ。マニュエル・ルグリとモニク・ルディエール、アニエス・ルテステュとジョゼ・マルチネス......彼らと比べるつもりはないけれど、日本で『オネーギン』を踊った時、私とユーゴという組み合わせ、その二人が一緒に踊るのを観ることに観客が満足してくれているのだと感じられました」
その二人。この夏、どのような作品で日本のバレエファンを楽しませてくれるのだろう。フレンチスタイルということを基本に、演目を選ぼうと話しているそうだ。詳細はプログラム発表を待つとしよう。
『ロミオとジュリエット』の舞台に先立ち、『〈ローラン・プティへのオマージュ〉では『若者と死』に初役でとりくむドロテ。ジュリエットのような大役とほぼ同時の公演に配役されたことを意外に思ったが、女優魂を刺戟する役を踊れるのは喜びだと語る。このようにオペラ座の仕事がハードに続く一方で、彼女は昨年始めたオンラインの"バレエ・マスター・クラス"のコンテンツ作りにも熱意を傾けている。
「昨年フランスで最初の外出制限期間が長く続いた時に、このアイデアが生まれたの。プロのダンサーなら自宅で一人でレッスンできるけれど、若い生徒たちにとっては難しいことだろうと思って。 内容はクラシック・ダンスを学ぶ過程で不可欠だと私が思うことを盛り込んでいます。学校で教師は"柔軟性に欠ける!"と指摘しても、それを得る方法は教えてくれないでしょ。また、トウシューズの潰し方とかも説明するなど、プティット・メール(パリ・オペラ座バレエ団のダンサーがバレエ学校生徒の世話をする伝統的な慣習)のヴァーチャル版という面もあるのよ。ゲストを招いてのバーレッスンでは、マチューやミリアム(・ウルド=ブラーム)にゲスト出演してもらったり......。コンテンツは生徒向けばかりではなく、バレエの基礎のない成人のためのダンストレーニングやフィットネスもあり、これらも会員には好評のようです」
約2年前に半自叙伝『エトワール』を出版したのも、彼女のダンサーを目指す子どもたちを励ましたいという気持ちからだ。それゆえ、バレエ学校時代のあまり優秀とはいえない自身の成績表も掲載した。
「必要とされるクオリティが私にはなかったけれど、目標に至れました。自分の夢にしがみついて!!と伝えたかったの。勇気をもらった、希望が得られた、という反響があってうれしかったわ。日本語版が今年の1月に出版された際に来日できなかったのは残念だったけど......」
1年以上来日していず、ホカロンやシュウウエムラのメイクオフ・オイルなど常備品も不足してしまって、と笑うドロテ。東京滞在中の習慣となっているラクーアやセブンイレブン通いも恋しいようだ。
「この夏、愛する日本で久々にダンサー仲間に再会し、バレエの知識が豊富な日本の観客を前に踊る。文化芸術の存続への期待。こうしてフェスティバルへの参加を想像するだけで、とても明るい大きな希望を感じることができます」
大村真理子(在パリ フリーエディター)
8月13日(金)14:00
8月14日(土)14:00
8月15日(日)14:00
8月16日(月)14:00
8月19日(木)14:00
8月20日(金)14:00
8月21日(土)14:00
8月22日(日)14:00
8月25日(水)14:00
会場:東京文化会館(上野)
「海賊」
「ドン・キホーテ」
「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
「ジュエルズ」より“ダイヤモンド”
「グラン・パ・クラシック」
「マルグリットとアルマン」
「オネーギン」
「ロミオとジュリエット」
「3つのプレリュード」 ほか
※上記の演目はA・Bプロいずれかで上演されます。
プログラム内容の詳細は公式サイトをご覧ください。
指揮:ワレリー・オブジャニコフ、ロベルタス・セルヴェニカス
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
ピアノ:菊池洋子
Aプロ、Bプロ
S=¥27,000
A=¥24,000
B=¥21,000
C=¥17,000
D=¥13,000
E=¥ 9,000
U25シート ¥4,500
※2演目セット券あり(S,A,B席)
期間限定発売
※ペア割引あり(S,A,B席)
※親子割引あり(S,A,B席)
ガラ
S=¥33,000
A=¥30,000
B=¥27,000
C=¥22,000
D=¥18,000
E=¥13,000