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「絢爛たるグランドセーヌ」イラスト <br>(主人公・奏) Cuvie(秋田書店)2014

2021/06/16(水)Vol.424

特別寄稿 〈世界バレエフェスティバル〉に寄せて(2) 
Cuvie(漫画家)
2021/06/16(水)
2021年06月16日号
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第16回世界バレエフェスティバル

「絢爛たるグランドセーヌ」イラスト
(主人公・奏) Cuvie(秋田書店)2014

特別寄稿 〈世界バレエフェスティバル〉に寄せて(2) 
Cuvie(漫画家)

今夏の開催に向けて、さまざまな方から〈世界バレエフェスティバル〉との関わりや思いを寄せていただくシリーズ2回目は、漫画家のCuvie(キュービー)さんです。クラシック・バレエを題材にし、絶大な人気を誇るバレエコミック『絢爛たるグランドセーヌ』と〈世界バレエフェスティバル〉の関係が明かされる!?

異なる世界観の優れた作品が、超一流のダンサーによって展開される4時間。感情がめちゃくちゃ忙しくて、強烈な経験でした。

〈世界バレエフェスティバル〉。
私が初めてこの目で目撃したのは、2015年の第14回のことです。

『絢爛たるグランドセーヌ』(秋田書店刊)というバレエ漫画を描き始めるまで、生でバレエに触れた経験は、子供時代の習い事を通してのみでした。執筆当時、鑑賞経験の圧倒的不足をなんとか埋めようと、休日にはできるだけバレエ公演の舞台に足を運んでいました。

子供の頃も、子供なりの視点でバレエを観ることを楽しんでいましたが、大人になって獲得した視点――歴史や美術・音楽などの知識を以って、古典バレエを観ることは私にとってとても楽しく、夢中になりました。そこをスタート地点に、ドラマティック・バレエに涙し、コンテンポラリー作品に震え、踊る身体の美しさに魅了されて......。

当初の目的は漫画執筆のための取材だったっけ?

今もそのつもりで観には行くのですが、まあ大体途中で忘れてます。

そんなこんなで、私が住んでいる関西地方でも、すばらしい公演をたくさん観る機会はあったのですが、3年に一度のなんだかすごいバレエのお祭りが東京であるぞと知った時には、我慢できずにその場で上京を決めた記憶があります。

出演ダンサーは皆バレエ界のスーパースター揃い。演目も古典の名作名シーンから、今観ておくべき話題のコンテンポラリー作品までがずらり。仕事のスケジュールが公演日程をかすめている気もしましたが、私の頭に行かない選択肢はありませんでした。

案の定、バレエフェス当日は仕事がなかなか終わらず、空港から上野へ慌てて直行した会場の東京文化会館。出演ダンサーの大きなパネルがいくつも掲げられて、華やいださまが目に飛び込んできました。

ここからはもう気持ちが高ぶりすぎて、肝心の開演後の記憶はすごいものをたくさん観た!というあやふやなものではあるのですが、強く印象に残っているのがイザベル・ゲランとマニュエル・ルグリによる『こうもり』、ウリヤーナ・ロパートキナの『瀕死の白鳥』。

どちらも方向性はまったく違うけれど絶品で、確か同じ日に観たのですが、一気に心が引き込まれて、瞬きも惜しいほどでした。この2作品はそのまま目に焼きついたように、今でも思い浮かべることができます。

ウリヤーナ・ロパートキナ
『瀕死の白鳥』
2015年 第14回世界バレエフェスティバル
photo: Kiyonori Hasegawa
イザベル・ゲラン&マニュエル・ルグリ
『こうもり』
2015年 第14回世界バレエフェスティバル
photo: Kiyonori Hasegawa

「絵が強かった」からだと思います。

漫画家として、こんなシーンを描けたらどんなにいいかと思わせる、すばらしい「絵」を観ました。ゲランの脚さばき、ルグリの送る目線、ロパートキナの腕の細やかな羽ばたき......。
まったく世界観の異なる、いずれも優れた作品が、超一流のダンサーによって次々と目の前に展開される姿を、たっぷり4時間ほど観る。感情がめちゃくちゃ忙しくて、強烈な経験でした。この時から、〈世界バレエフェスティバル〉は私の大好きな真夏のお祭りの一つです。

今年の開催には大変な困難が伴うとは思いますが、唯一無二のバレエの祝祭を楽しみに、この夏を迎えたいと思います。また公演に遅刻したら泣くに泣けないので、早めに原稿を終わらせなければ......。

「絢爛たるグランドセーヌ」より
(主人公・奏)
Cuvie(秋田書店)2014

Cuvie(漫画家)

Cuvie(キュービー)


名古屋出身。現在、京都在住の女性漫画家。同志社大学出身。幼児期から中学まで塚本洋子バレエスタジオに所属。同時期、荒井祐子(東京バレエ団、のちKバレエカンパニー)や、榊原弘子(欧米のバレエ団で活躍)も同バレエスタジオに所属。漫画歴は、大学在学中に同人誌即売会イベント(コミックマーケット)にて、編集者に声をかけられてデビュー。代表作は「絢爛たるグランドセーヌ」(秋田書店、連載中)、「エルジェーベト」全3巻(講談社)ほか。

公式サイトへ チケット購入

第16回世界バレエフェスティバル

公演日

Aプログラム

8月13日(金)14:00
8月14日(土)14:00
8月15日(日)14:00
8月16日(月)14:00

Bプログラム

8月19日(木)14:00
8月20日(金)14:00
8月21日(土)14:00
8月22日(日)14:00

ガラ

8月25日(水)14:00

会場:東京文化会館(上野)

予定されるプログラム(順不同)

「海賊」
「ドン・キホーテ」
「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
「ジュエルズ」より“ダイヤモンド”
「グラン・パ・クラシック」
「マルグリットとアルマン」
「オネーギン」
「ロミオとジュリエット」
「3つのプレリュード」 ほか

※上記の演目はA・Bプロいずれかで上演されます。
プログラム内容の詳細は公式サイトをご覧ください。


指揮:ワレリー・オブジャニコフ、ロベルタス・セルヴェニカス
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
ピアノ:菊池洋子

入場料[税込]

Aプロ、Bプロ
S=¥27,000
A=¥24,000
B=¥21,000
C=¥17,000
D=¥13,000
E=¥ 9,000
U25シート ¥4,500
※2演目セット券あり(S,A,B席)
期間限定発売
※ペア割引あり(S,A,B席)
※親子割引あり(S,A,B席)


ガラ
S=¥33,000
A=¥30,000
B=¥27,000
C=¥22,000
D=¥18,000
E=¥13,000