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NBS日本舞台芸術振興会
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2021/02/03(水)Vol.415

ミラノ・スカラ座便り
2021/02/03(水)
2021年02月03日号
世界の劇場を知ろう
特集

ミラノ・スカラ座便り

プログラムの発表は3カ月ごとに。
毎月1演目ずつ制作するオペラ、バレエ、各種コンサートの
ストリーミング配信を開始!

昨年10月26日に劇場、コンサートホール、映画館が閉鎖されたイタリア。閉鎖令が出された時には1カ月の予定だったが、3カ月経った今も観客動員は禁じられたままだ。イタリアは州ごとに赤、オレンジ、黄色と感染者数によって色分けされ、居住地の州から外には出られないロックダウンが続いている。ミラノがある北イタリアのロンバルディア州一番感染者の多いレッドゾーンだ。(※) 
2020/21年のシーズンオープニングでのオペラ上演を断念せざるを得なかったミラノ・スカラ座だが、劇場としての活動を休み続けるわけにはいかない。そこでオペラ、バレエ、オーケストラコンサート、室内楽コンサート、子供のための演目を月に1演目ずつ制作してストリーミング配信することに踏み切った。スカラ座のサイト、Facebook、YouTubeを通しての無料配信である。

先を見通すことが出来ない状況のため、プログラムは最大3カ月しか決定することが出来ないそうだ。オペラは合唱が少ない作品、舞台装置が大掛かりでない作品が選ばれる。出演者もスタッフもPCR検査を欠かさない慎重さだ。

ストリーミングは劇場からのライヴなので、劇場に行かなくても公演本番を観ることが出来るという訳だ。1月のオペラは『コジ・ファン・トゥッテ』で23日に上演された。バレエは『ジゼル』が30日、27日と28日はカルラ・フラッチによるバレエのマスタークラスも配信された。2月には20日にズービン・メータ指揮『サロメ』が上演される予定。メータは6日のコンサートでも指揮台に立つ。

マイヤー総裁は5月にはニュープロダクションの『セビリアの理髪師』を予定していて、たとえ少数に制限されても観客が劇場に戻って来ることを切に願っていると言う。来シーズンこそ12月7日にオペラシーズンが開幕して通常の公演ができるようになることを祈りつつ準備をしているそうだ。そこで気になるのはオープニングの演目だが、予定されているのは『マクベス』とのこと。ただし、あくまでも予定である。指揮は音楽監督でもあるリッカルド・シャイーだが、その他はまだ決まっていないそうだ。

ミラノ・スカラ座に続いて、ローマ歌劇場やトリノ歌劇場などイタリア各地の劇場でもストリーミング配信が始まっている。オーケストラ、合唱団、バレエ団、スタッフなど大人数を抱える歌劇場は新しい形での上演法という道を歩み始めたが、チケット収入を絶たれて経済的には逼迫している。観客にとっても、劇場の客席で生の演奏を聴くのと画面を通して聴くのとでは大きな違いがある。劇場閉鎖が解除になる日を誰もが願っている状況である。

(※)2月1日からロンバルディア州はイエローゾーンになった。このところ感染者が減ってきたとはいえ、東京と同様にまだまだ油断はできない状況とのこと。

文 田口道子

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