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2021/08/04(水)Vol.427

希望を見出しながらの 2020/21 シーズン閉幕
バイエルン国立歌劇場と英国ロイヤル・オペラハウス
2021/08/04(水)
2021年08月04日号
世界の劇場を知ろう
特集

希望を見出しながらの 2020/21 シーズン閉幕
バイエルン国立歌劇場と英国ロイヤル・オペラハウス

バイエルン国立歌劇場シーズン・フィナーレを飾る
バッハラー総裁の送別

コロナ禍に見舞われた2020/21年シーズンですが、バイエルン国立歌劇場は慎重に上演を行い、ミュンヘン・オペラフェスティバルも規模を調整しながらの開催を果たしました。フィナーレを飾る7月30日の特別フェスティバル・コンサートと31日の『トリスタンとイゾルデ』の2公演は無料のライブ・ストリーミングやビデオ・オンデマンドでの視聴も可能だったので、楽しまれたオペラ・ファンもいることでしょう。

今シーズンは、2008年からバイエルン国立歌劇場総裁を務めたニコラウス・バッハラーの最後のシーズンということで、7月30日のコンサートは「POINT OF INFLECTION」と銘打たれた送別コンサートとなりました。バッハラー総裁とともに同劇場を牽引した指揮者たちキリル・ペトレンコ、アイヴォー・ボルトン、ケント・ナガノといった顔ぶれは、いずれも日本公演での活躍が思い出されます。バッハラー氏は、今後はザルツブルク復活祭音楽祭で手腕を奮うことに。すでに「毎年異なるオーケストラで」などという構想を語ったことが話題となりました。

2021/22シーズンは、新総裁セルジュ・ドルニー、と新音楽総監督ウラディーミル・ユロフスキと、体制が一新。バイエルン国立歌劇場の新時代がスタートします。

英国ロイヤル・オペラハウス
トウシューズのアップサイクリング・プロジェクト

英国では、7月にコロナ規制がほぼ解除されました。とはいえ、長期にわたったロック・ダウンや入場者制限などは、劇場には多大な影響を与えました。各国のオペラハウスやカンパニーでは、さまざまな試みが行われています。
英国ロイヤル・オペラハウスでは英国ロイヤル・バレエ団のダンサーたちが使用したトウシューズを英国のトップ・デザイナー、アーティストや職人たちが協力して生まれ変わらせる「トウシューズのアップサイクリング・プロジェクト」を行い、オペラハウスのための資金を集めました。劇場の通常再開のメドが立ったいま、このプロジェクトの特別企画が行われることに。デザイナーのROKSANDA、ERDEM、Simone Rocha、Rejina Pyo、Halpern、Libertyが、英国ロイヤル・バレエ団が提供するトウシューズを使用して、特注の限定版アートを作成。6足は現在ロイヤル・オペラハウスのピアッツァの入り口隣のコヴェントガーデンに展示されていて、入場券5ポンドで「リカバリー・キャンペーン」の抽選に応募できます。抽選に当たるとカスタム・デザイナー・トウシューズのほか、さまざまな賞品も用意されているようです。
残念ながら抽選に応募できるのは現地のみのようですが、ゴージャスな6足はウェブ上で見ることができます。

◾️ロイヤル・オペラハウス「トウシューズのアップサイクリング・プロジェクト」
https://roh.enthuse.com/cf/recovery