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2022/08/03(水)Vol.451

ローマ歌劇場2022/2023シーズン
2022/08/03(水)
2022年08月03日号
世界の劇場を知ろう
特集

ローマ歌劇場2022/2023シーズン

7月下旬、ローマ歌劇場が2022/2023シーズンのラインナップを発表しました。シーズン開幕は、この劇場の前身であるコスタンツィ劇場が1880年に開場した11月27日。オープニングの演目は新制作のプーランク作曲『カルメル派修道女の対話』。指揮はこのシーズンから就任する新音楽監督ミケーレ・マリオッティ、演出は気鋭の演出家エマ・ダンテが手がけます。
マリオッティはこのシーズン、4つの新制作作品を指揮。開幕の『カルメル派修道女の対話』の後は、2023年1月『アイーダ』(ダヴィデ・リヴェルモア演出)、4月プッチーニ作曲『外套』とバルトーク作曲『青ひげ公の城』(ヨハネス・エラス演出)です。
『外套』、『修道女アンジェリカ』、『ジャンニ・スキッキ』はプッチーニの三部作。3つを一晩に連続して上演するというのは作曲家の意図だったとされますが、現代ではそれぞれが単独で、あるいは他の作曲家の作品と組み合わせて上演される機会もあります。ローマ歌劇場は、3つの作品を20世紀の別の作品と組み合わせることによって、音楽的およびドラマトゥルギー的な特徴が強化されること、プッチーニの傑作を別の角度から見ることを選択しました。今後3シーズンにわたっての三部作の上演は、2シーズン目では『修道女アンジェリカ』とダッラピッコラ作曲『囚われ人』を、3シーズン目では『ジャンニ・スキッキ』とラヴェル作曲『スペインの時』という組み合わせが予定されています。

また、興味深いことに、開幕演目も3シーズン先まで発表されました。2023/2024シーズンはボーイト作曲『メフィストフェレ』(サイモン・ストーン演出)、2024/2025シーズンはヴェルディ作曲『シモン・ボッカネグラ』(リチャード・ジョーンズ演出)、2025/2026シーズンはワーグナー作曲『ローエングリン』(ダミアーノ・ミケレット演出)で、指揮はいずれもマリオッティが振るとのこと。
歌劇場のシーズン公演発表でさらに先の予定が発表されることは稀なこと。ましてやいまだ完全な終息が見えないコロナ禍にあって、世界中の歌劇場では長期的なプランを立てることが容易ではないなかで、ローマ歌劇場は果敢な挑戦を表明した、ともいえるでしょう。

2022/2023シーズンのそのほかのオペラは、演出家フランコ・ゼッフィレッリの生誕100年に捧げるレオンカヴァッロ作曲『道化師』の再演(フランコ・ゼッフィレッリ演出、ダニエル・オーレン指揮)、アルヴォ・ペルト作曲『アダムの受難』の新制作(ロバート・ウィルソン演出、トヌ・カリュステ指揮)、ヤナーチェク作曲『死者の家から』の新制作(クリストフ・ワリコフスキ演出、ドミトリー・マトヴィエンコ指揮)、プッチーニ作曲『蝶々夫人』の再演(アレックス・オレ演出、ロベルト・アッバード指揮)、ヘンデル作曲『ジュリアス・シーザー』の新演出(ダミアーノ・ミケレット演出、ジャンルカ・カプアーノ指揮)

ローマ歌劇場バレエ団は、2015年よりエレオノーラ・アバニャートが芸術監督を務めています。就任当時はパリ・オペラ座にエトワールとして在籍していたアバニャートですが、2021年6月にパリ・オペラ座に別れを告げ、芸術監督としての活動も本格化しているようです。ローラン・イレール振付の「ドン・キホーテ」、バンジャマン・ペッシュによる新しい振付による「ラ・バヤデール」、フレデリック・アシュトン振付「リーズの結婚」、現代の振付家による「ボレロ」を含めた3作品によるプログラム、マウロ・ビゴンゼッティ振付「ロッシーニ・カーズ」などの公演が予定されています。

ローマ歌劇場2022/2023シーズンプログラムはこちらから(イタリア語・英語)
https://www.operaroma.it/news/stagione-2022-23/