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2022/10/05(水)Vol.455

フランコ・ゼッフィレッリ
生誕100年を迎える2023年
2022/10/05(水)
2022年10月05日号
世界の劇場を知ろう
特集

フランコ・ゼッフィレッリ
生誕100年を迎える2023年

オペラ演出や映画監督として一時代を築いたフランコ・ゼッフィレッリ。ゼッフィレッリ演出によるオペラは、日本でもNBSが招聘したミラノ・スカラ座による『オテロ』、2度の『ラ・ボエーム』、『アイーダ』、『トゥーランドット』、そしてウィーン国立歌劇場による『ドン・ジョヴァンニ』のほか、新国立劇場オープニングを飾った『アイーダ』が上演されました。いずれも緻密に練り上げられた演出と圧倒的な舞台美術で、オペラ・ファンにとっては忘れがたいものとなっていることでしょう。
近年、オペラのプロダクションは数年で新しくされることが多くなっているため、1960年代から1990年あたりまでを全盛期としたゼッフィレッリ演出は現在どのくらい残っているのか.....。
2023年はゼッフィレッリの生誕100年。メモリアル・イヤーとなる2022/2023シーズン、世界中の劇場でのゼッフィレッリ演出オペラはどのように?

ウィーン国立歌劇場では、『ラ・ボエーム』が2022/2023シーズン開幕を飾りました。1963年にカラヤン指揮でプレミエが行われて以来、ゼッフィレッリ演出はレパートリーとして上演が続いていて、この9月のオープニングが449回目の上演だったとのこと。ちなみに、9月のロドルフォ役には2023年1月に来日が予定されているヴィットリオ・グリゴーロが出演。ミミ役のエレオノーラ・ブラッドとの素晴らしい共演は"イタリア・オペラの黄金時代にタイムスリップしたよう"と評されています。なお、ウィーン国立歌劇場では年明けの1月にもゼッフィレッリ演出の『ラ・ボエーム』(キャストは異なる)の公演が予定されています。

500回近い上演が続いているという点では、メトロポリタン・オペラの『ラ・ボエーム』も! こちらは1981年以来なので、ウィーンよりも短い期間でのこと。それだけ頻繁に上演されていることを示していますが、これはメトで最も上演回数が多いということでもあります。2023年も4月と6月の公演が予定されています。

ウィーン国立歌劇場、メトロポリタン・オペラとくればミラノ・スカラ座も欠くことはできません。『ラ・ボエーム』はウィーン国立歌劇場と同年の1963年以来の上演が続いており、2023年3月も8回の公演が予定されています。

『ラ・ボエーム』ゼッフィレッリ演出
ミラノ・スカラ座1988年日本公演より

『ラ・ボエーム』以外では、『道化師』をローマ歌劇場が2023年3月、パルマ王立歌劇場が2023年5月に公演予定。パルマでは、ストラヴィンスキーのバレエ・カンタータ「結婚」の演奏会形式との2本だてという興味深いプログラムです。ローマ歌劇場は、"ゼッフィレッリ生誕100年に捧げる"と銘打っての公演。先頃発表された2023年日本公演の『トスカ』を楽しみにしているファンも多いことでしょう。

このほか、イタリアの夏のオペラを盛り上げるアレーナ・ディ・ヴェローナでは、『椿姫』と『蝶々夫人』の2作、日本では、新国立劇場で5年ごとに再演が繰り返されている『アイーダ』が、2023年は開場25周年記念として予定されています。

最後に一つ変わり種。リトアニア国立オペラ・バレエ劇場で2022年9月に上演された『リゴレット』は、ゼッフィレッリが最後に手がけたもの。オマーンのロイヤル・オペラハウス・マスカット、アレーナ・ディ・ヴェローナとの共同制作によるものです。ロイヤル・オペラハウス・マスカットはゼッフィレッリ演出『トゥーランドット』で2011年に開館、この『リゴレット』は10周年を祝すオープニングとして2022年1月に公演が行われました。

こうしてみると、ゼッフィレッリ演出のプロダクションの"長寿"ぶりにあらためて驚かされます。変える必要のない素晴らしさを証明している、ということかもしれません。