日本では大型連休中の2025年5月1日、英国ロイヤル・オペラがアントニオ・パッパーノに桂冠指揮者の称号を贈ると発表しました。同オペラが桂冠指揮者の称号を贈るのは、これが史上初というのは意外なことかもしれません。
この任命は、22年間におよび英国ロイヤル・オペラの音楽監督を務めたパッパーノの功績を称えたもの。ちなみに在任期間も同オペラ史上最長を誇るものでした。2002年9月から2024年6月までの在任中の公演回数は700回以上とのこと。そこには、ほぼ1年前の日本公演で日本のファンを魅了した『リゴレット』と『トゥーランドット』も含まれているはずですね。
このニュースが発表されたのは、英国ロイヤル・オペラで新制作が進められている《ニーベルングの指環》の『ワルキューレ』プレミエの開演前のことでした。
英国ロイヤル・オペラのバリー・コスキー演出による《ニーベルングの指環》新制作は、2023年9月に『ラインの黄金』でスタートしました。パッパーノが音楽監督退任後は一体どうなるのか?と心配されましたが、今年の『ワルキューレ』に登場、さらに残る『ジークフリート』、『神々の黄昏』も、パッパーノの指揮でつくられることもあらためてはっきりと発表されたというわけです。
「この称号を授かることは大変光栄です。私にとって大切なこのオペラハウスとの関係を継続できることを大変嬉しく思います。オペラはドラマ、感情、そして現代社会への深い共感に満ちた類まれな芸術形式です。友人であり同僚でもある皆と共に、素晴らしい作品に再び携われることを楽しみにしています」とパッパーノ自身の声明。
昨年の日本公演『リゴレット』の演出家であり、英国ロイヤル・オペラのオペラ監督を務めるオリヴァー・ミアーズは、「トニーは誰よりもコヴェント・ガーデン(英国ロイヤル・オペラ)のアイデンティティを決定づける功績を残してきました。彼のオペラへの限りない愛情は、指揮、歌手の最高のパフォーマンスを引き出すこと、テキストを深く理解すること、オペラという芸術のより広い目的を伝えること、そして一体感と親しみやすさを醸成することなど、オペラ制作のあらゆる側面に最大限の厳しさとエネルギーを注ぐというたゆまぬ決意に通じています。在任中、彼は模範的な水準を育むだけでなく、あらゆる芸術活動の成功の核となる、気取らない仲間意識を育みました。今回、桂冠指揮者という称号によって、トニーの功績を称えることができるのは、大変素晴らしいことです」と述べています。
アントニオ・パッパーノと英国ロイヤル・オペラの強い絆は、今後も素晴らしい公演としてオペラ・ファンに届けられることでしょう。