NBS創立30周年特別企画〈夢フェスト30〉
夢を求めて30年、さらに夢は続きます・・・。
NBS(財団法人日本舞台芸術振興会)はおかげさまで2011年に30周年を迎えます。NBSを設立したのは1981年のことですので、1980年のウィーン国立歌劇場、1981年のミラノ・スカラ座の初めて日本公演を実現した頃です。それから今日までのNBSの30年は、日本におけるオペラの引越し公演の歴史とともにあるといっても過言ではないと思います。振り返ってみれば、バブル経済と、その破綻、そして、その後の「失われた10年」、日本全体が良くも悪くも大きく変動した時代だったように思います。 オペラ・ブームの火付け役となった1987年のベルリン・ドイツ・オペラの《ニーベルングの指環》全曲初演、バブル絶頂期の1988年のクライバー指揮の『ボエーム』、ムーティ指揮の『ナブッコ』『カプレーティとモンテッキ』、マゼール指揮の『トゥーランドット』を揃えたスカラ座の2度目の来日、バブル経済が弾けてからの1994年のウィーン国立歌劇場の来日公演でのクライバー指揮の『ばらの騎士』などなど、思い返せば、その時々のさまざまな場面が思い出されます。私は幻の魚を追い求める漁師だと、ある人に評されたことがありますが、たしかにそういう面があるかもしれません。私が追いかけてきたものを一言で表せば、「夢」ということになるのだろうと思います。NBSは創立30周年の節目を迎えますが、私のまだ見ぬ「夢」は、この後もまちがいなくNBSの私の後継者たちによって引き継がれ、実現されていくものと信じています。 NBSが30周年を迎えるに際し、企画したのがこの《NBS夢フェスト30》です。3つのプロジェクトで構成されていますが、いずれもNBSの活動の柱をなすものです。まず、1本目は〈奇跡の響演〉。モーリス・ベジャールの作品を通じての兄弟カンパニーであるベジャール・バレエ団と東京バレエ団の合同公演を、ズービン・メータ指揮のイスラエル・フィルがオーケストラ・ピットに入って演奏するという空前絶後の、そしてNBSの活動を象徴する祝祭ガラです。2本目は2011年の春に同じくメータ指揮フィレンツェ歌劇場によってイタリア・オペラの醍醐味を。3本目は気鋭のケント・ナガノ率いるバイエルン国立歌劇場によるドイツ・オペラの粋を、秋に披露いたします。この1年を通してのビック・プロジェクトによって、これまでのNBSの30年の集大成というものをお見せできればと思っております。 この《NBS夢フェスト30》の3つのプロジェクトをご覧いただく会員を募集いたします。ご承知のとおり、NBSでは30年近くにわたって「オペラ・フェスティバル」や「バレエの祭典」といった会員組織を設けておりますが、舞台芸術を愛好する皆さまに支えられて、今日のNBSがあります。いくら感謝しても、感謝しきれるものではありません。 この《NBS夢フェスト30》には、30周年を機に皆さまのさらなるご支援を得て、微力ながらこれまで以上に日本の舞台芸術の分野に貢献できれば、という私の切なる願いを込めさせていただいたものです。これからもNBSはがむしゃらに「夢」を追いかけていきたいと思っております。 舞台芸術に対する皆さまの愛情に満ちたご支援をお願いするとともに、この《NBS夢フェスト30》特別鑑賞会に、一人でも多くの皆さまがご参加くださることを願っております。 佐々木忠次