英国ロイヤル・オペラ 2010年日本公演
■ページ構成
オペラの若き巨匠パッパーノ率いる、いま絶好調のロイヤル・オペラが、定評ある「椿姫」と意欲作「マノン」を携えて、日本のオペラ・ファンを魅了する!
英国ロイヤル・オペラこそ、いま世界でもっとも輝いている歌劇場といって過言ではありません。1990年代、財政難から低迷していた時期がありましたが、BBCニュースの最高経営責任者をつとめていたトニー・ホールが2001年に総支配人になるや、ロイヤル・オペラの復活、そして快進撃が始まりました。2002年には劇場育ちでオペラに精通しているアントニオ・パッパーノを音楽監督に迎えました。トニー・ホールが劇場経営で辣腕ぶりを発揮する一方、オペラの若き巨匠パッパーノの活躍が、芸術面での躍進の大きな推進力になりました。 パッパーノは1980年代半ばから6年間、バレンボイムのアシスタントとしてバイロイトで研鑽を積みましたが、その間の87年にオペラ指揮者としてデビュー。ロイヤル・オペラへのデビューも90年のことでした。92年には弱冠32歳の若さで王立モネ劇場の音楽監督に迎えられ話題を呼びました。90年代にはウィーン国立歌劇場、メトロポリタン・オペラ、バイロイト音楽祭と次々にデビューを果たし、まさにオペラ指揮者パッパーノの実力が世界のトップ・クラスであることが認められました。 こうした実績をもとに、英国ロイヤル・オペラ音楽監督へと迎えられたパッパーノは、名門歌劇場の伝統に新しい感性を注ぎ込み、7シーズンを経たいま、オーケストラ、合唱団との深い信頼関係を築き上げ、最高の状態にあります。「彼は“劇場とは何か”を知る指揮者だ」とは、演出家キース・ウォーナーの言葉ですが、それはパッパーノが振るオペラに対する信頼にほかなりません。 総支配人のトニー・ホールはいまや、イギリスの文化を牽引する存在として広く認められていて、2012年のロンドン・オリンピックに付随して行われる、数々の文化イベントの最高責任者にも指名されていますが、そのホールによる経営面とパッパーノによる芸術面、その両方がうまく噛み合って、ロイヤル・オペラはかつての栄光を完全に取り戻したのです。それどころか、新しい全盛時代を迎えていると言われています。 日本のオペラ・ファンの間でも、「パッパーノが振るオペラが聴きたい」という声が年々高まっていました。待ち望んでいたその時が、ようやく到来します。18年ぶりの英国ロイヤル・オペラの日本公演は、まさに満を持して実現するもので、絶好調の現在の姿を日本のオペラ・ファンに強烈に印象づけることになるでしょう。