〈マラーホフの贈り物〉ファイナルへの想い ウラジーミル・マラーホフ インタビュー

 伸びざかりの若武者――。柄本弾は弱冠23歳ながら注目のホープだ。長身で甘いルックスに恵まれ、端正なテクニック、若さに似あわぬ堂々たる存在感も併せ持つ。
 昨年5月のパリ・オペラ座公演でも踊ったベジャールの『ザ・カブキ』由良之助によって一躍脚光を浴びた。現代の若者が“忠臣蔵”の世界にタイムスリップし四十七士の首領として主君の仇を討つ。力強くキレのよい跳躍や細やかな体使いからは義に殉じていく心の移り変わりや統率者の孤独が痛いほどに伝わってくる。
 得難いのは古典バレエの王子役を踊れる希少な存在だということ。『くるみ割り人形』の王子では、一挙手一投足から優雅な雰囲気、パートナーを思いやる誠実さが感じられる。いっぽう、『白鳥の湖』の悪役ロットバルト、『ペトルーシュカ』の魔術師シャルラタンでは達者な演技を披露するなど芸域は広い。
 凛々しさと繊細さを兼ね備えた大器。どこまで飛翔するのか楽しみでならない。

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