5月21日バイエルン国立歌劇場プレミエ公演より Photo: Wilfried Hösl

〈バレエホリデイ〉3万人が来場!

東京バレエ団ダンサーたちによる〈ダンス&クリエーション〉は、2日間に計4回を開催し、いずれも多くのお客さまに囲まれました。

ホワイエの真ん中に設けられたランウェイで繰り広げられたバレエウェア・コレクション。

 ゴールデンウィークがスタートした4月29日と30日、NBS主催による〈上野の森バレエホリデイ〉には、2日間で延べ3万人もの人が訪れました。
 この催しは、“バレエと出会おう、バレエで遊ぼう”というキャッチフレーズを掲げた通り、大ホールでのバレエ公演だけでなく、舞台裏の仕事を体験するプログラムや、レッスン見学、バレエストレッチやバックステージツアーといった体験型企画とともに、バレエウェア・コレクションと題してダンサーたちが登場するファッションショー、さらに東京文化会館のホワイエはバレエウェアやグッズなどを販売するお店が並ぶ“バレエ・マルシェ”を開催するなど、さまざまな企画を繰り広げました。

   
Photo:Kiyonori Hasegawa

上野公園の広場での〈フラッシュモブ〉。

ホワイエの真ん中に設けられたランウェイで繰り広げられたバレエウェア・コレクション。

 

 東京バレエ団のダンサーたちは、大ホールでの「ドン・キホーテの夢」公演だけでなく、上野公園内の広場での〈フラッシュモブ〉、東京文化会館入り口横の特設屋外ステージでの現役ダンサー振付による作品の上演など、大活躍。さまざまなアプローチでバレエの素晴らしさや楽しさを皆さんにお伝えすることに努めました。

東京文化会館のホワイエは、バレエ関連のグッズを売る“バレエ マルシェ”に。

 

 訪れたお客さまの中には、これまでバレエとは縁のなかった方も多くいらしゃったようです。初めて大ホールに足を踏み入れ、目をキラキラさせる子どもたち、また、ストリートパフォーマンスのような自由な創作をじっと見入るお父さん、マルシェでアクセサリーやウェアのショッピングを楽しむお母さん…‥。東京バレエ団は毎年夏にめぐろパーシモンホールにおいて〈めぐろバレエ祭り〉を開催していますが、この〈上野の森バレエホリデイ〉も若い人たちがバレエに親しむきっかけになることを願って、来年以降も継続して開催します。来年はさらにスケールアップし、小ホールも含めた東京文化会館の全館イベントになる予定です。


パリ・オペラ座バレエ団公演での義捐金を
あしなが育英会へ

 東日本大震災から6年。3月に行われたパリ・オペラ座バレエ団公演会場で行った募金活動およびチャリティ・オークションで集まりました義捐金は合計で3,377,520円となりました。5月9日に、「東日本大震災・津波遺児への支援活動に対する寄付」として、あしなが育英会にお送りいたしました。
 皆さまからのあたたかいご支援に感謝いたしますとともに、ここにご報告させていただきます。
 ありがとうございました。


速報 "Tannhäuser" Premiere report

バイエルン国立歌劇場
「タンホイザー」プレミエレポート

Photo:Wilfried Hösl

5月21日バイエルン国立歌劇場プレミエ公演より

 5月21日、ミュンヘンのバイエルン国立歌劇場で『タンホイザー』の新演出プレミエが幕を開けました。この日のチケットは早々に完売となっていましたが、それでもなお、当日は開場時間を前に、楽屋口や正面入り口に「チケット求む」と手書きのカードを持った人が何人も立っていました。
 開演1時間前の午後3時、重厚な扉が開き、待ち構えた人々が一斉に劇場へと入ります。ただし、まだ客席への扉は開いていません。客席に入る扉が開くまで、ホワイエではシャンパンを手に語り会う人、じっとプログラムを読みふける人など、過ごし方はそれぞれですが、人が増えるに従って、ホワイエは華やかになっていきます。
 いよいよ開演。張りつめた緊張の静寂は、オーケストラ・ピットにキリル・ペトレンコの姿が見えた途端に一気に破られます。 “われらのオペラの音楽総監督”への喝采といえますが、それが実力に裏付けられたものであることは序曲の始まりとともに明らかに! ホルンの静かな響きに導かれ、弦楽器、管楽器が加わる劇的なフレーズは、ペトレンコのタクトを持つ右手、そしてしなやかに動く左手から空間に解き放たれるよう。この、ペトレンコの指揮姿から受ける感覚は、幕あきから最後まで、変わることのないもの。特に、第2幕や第3幕の前奏曲のようなオーケストラ演奏や、巡礼の合唱などでは、演奏によって揺り動かされる空気に包まれるのです。実はプレミエ当日、合唱団の本番前最後のリハーサルに、ペトレンコも参加したとのこと。細部にまでこだわる音楽づくりは、たしかな成果を見せたわけです。
 もちろん、ロール・デビューを飾ったフォークト、圧倒的な存在感を示したハルテロスのエリーザベト、強烈なインパクトで圧倒するパンクラトヴァのヴェーヌス、切実な想いを深く歌いあげるゲルハーヘルのウォルフラムなど、ソリストたちも素晴らしく、カーテンコールでは大喝采! フォークトの後にペトレンコが登場すると、ブラボー!の嵐は頂点へ。その後、演出家カステルッチの登場でブーイングが起こりますが、これをかき消そうとばかりのブラボー!が高まり、劇場内は騒然となりました。観客同士の熱い反応は、このプロダクションが注目すべきものである証しです。カステルッチの演出は、設定の読み替えではなく、独自の世界観によるコンセプトを視覚的に表していくというもの。中でも、いつのまに?!というように変化する仕掛けには不思議な感覚が…‥。圧倒的な演奏に支えられた舞台からは、一瞬たりとも目を離すことができませんでした!