[モーリス・ベジャール没後10年記念シリーズ2] [モーリス・ベジャール・バレエ団来日50周年記念] よみがえるベジャール、10年祭 モーリス・ベジャール・バレエ団、東京バレエ団、特別合同ガラ 〈ベジャール・セレブレーション〉

那須野圭右(BBLダンサー) インタビュー
没後10年、あらためて感じる“ベジャールの遺産”

 モーリス・ベジャール没後10年記念公演シリーズの一環として開催される、モーリス・ベジャール・バレエ団(BBL)4年ぶりの単独日本公演。その期間中に、BBLと東京バレエ団による特別合同ガラ〈ベジャール・セレブレーション〉が実現する。東京バレエ団で指導中の那須野圭右に、この公演のあらましをたずねた。
自らを「ベジャールっ子ですから!」という那須野。BBLでのダンサーとしてのキャリアに加え、指導者としても着実に実績を重ねている。
「ベジャールさんの死後、その作品を絶やさないようにしたい、という気持ちがだんだんと強まってきました。ベジャールさんはいなくても、作品は成長していく。若いダンサーたちがどう踊っていくべきか──。ジル・ロマン(BBL芸術監督)に協力しながらやっていきたい」と話す。
 〈ベジャール・セレブレーション〉は二部構成の舞台だというが、「現状、僕らが上演している舞台では、前半は、ベジャールさんへのオマージュとして、ジル・ロマンが今のBBLのダンサーたちに振付けた『テム・エ・ヴァリアシオン』。後半が、ベジャール作品のアンソロジー『ベジャール・セレブレーション』(原題は『Béjart fête Maurice』)という構成です(2016年12月初演)。今回は、この第2部に東京バレエ団のダンサーによるパートを加え、合同ガラとして上演する準備をしています」。東京バレエ団×BBL版のベジャール・アンソロジーが、こうして誕生するというわけだ。
 BBL、東京バレエ団の合同公演といえば、3年前の『第九交響曲』復活上演が記憶に新しいが、「ベジャール作品のスタイルが、少しでも身体に入っているダンサーたちとだからこそできること。東京バレエ団は第二のベジャール・カンパニーですから」。
 そこでは、どんなアンソロジーが生まれるのだろう──。那須野は、「上演作品のリストに、答えは出ている!」という。「現状のリストにあるのは1960年代から1990年代までの作品ですが、すべて、その時々の傑作ばかりを選んでいる。いろんな時代の、様々な色合いの名作が詰まっています」。
 オープニングとフィナーレには、BBLと東京バレエ団のダンサーたちが揃って出演する。
「冒頭は、ベートーヴェンの交響曲第1番。フィナーレにもベートーヴェン、交響曲第9番の第3楽章が使われますが、これは東京で3年前に上演したあの『第九交響曲』の振付とは別のもの。いずれもベジャールさん1989年の作、『1789…そして私たち 』からの抜粋です。僕も映像でしか見たことがないけれど、知られざる傑作だからこそ、上演すべきと思っています」
 さらに取り上げられるのは、みな、舞踊界に強いインパクトを与えた話題作ばかり。「たとえば、『ヘリオガバル』(1977)は、アフリカ民族系の音楽で踊られる、“アダムとイヴのパ・ド・ドゥ”、というのが僕の印象。まさに人類の“原点”の踊りです。『わが夢の都ウィーン』(1982)からの「シャンブル・セパレ」は、男女の愛の駆け引きをユーモアたっぷりに表現したパ・ド・ドゥ。『ライト』(1981)からはレジデンツの音楽で踊られる、若い男女の力強い踊り。『パトリス・シェローが、三島とエヴァ・ペロンの出会いを演出する』(1988)はユーグ・ル・バールの現代音楽が印象的だし、『ハムレット』(1990)はデューク・エリントン! カッコいいとしか言いようがないです」
 ベジャールといえば、世界各国の文化への興味と鋭い洞察力に基づく作品で知られるが、ここでもその一部が登場する。
 「ユダヤの男女の恋が描かれる『ディブク』(1988)、インドの神を題材にした『バクチIII』(1968)──、後者はガラでもしばしば上演される人気作ですし、『ロッシーニアーナ』(1993)からはイタリアの二人の道化の踊り……。国も趣向も、本当に様々でしょう! これは、天国のベジャールさんに“貴方はこういうものを創って、世界を騒がせたんだ!”とオマージュを捧げる、そんな舞台です」
 いまあらためて振り返るベジャールの世界。それがいかに多彩であるか、この目で確かめたい。

モーリス・ベジャール没後10年記念シリーズ2
ベジャール・セレブレーション

【公演日】

2017年
11月22日(水)7:00p.m.
11月23日(木・祝)2:00p.m.

会場:東京文化会館

【予定される演目】

第1部 『テム・エ・ヴァリアシオン』 振付:ジル・ロマン
第2部 『ベジャール・セレブレーション』 振付:モーリス・ベジャール 演出:ジル・ロマン

【入場料[税込]】

S=¥19,000 A=¥16,000 B=¥13,000 C=¥10,000 D=¥7,000 E=¥4,000
エコノミー券=¥3,000 学生券=¥2,000

*エコノミー券はイープラスのみで学生券はNBS WEBチケットのみで10/13(金)より発売。
★ペア割あり [S,A,B席]  ★親子ペア割あり [S,A,B席]

主催:公益財団法人日本舞台芸術振興会/日本経済新聞社/WOWOW
後援:スイス大使館/TOKYO FM