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2018/03/05 2018:03:05:20:30:00

第15回世界バレエフェスティバル 記者会見レポート

 本日行われた第15回世界バレエフェスティバル記者会見には多数のメディアが参加し、3年に1度のバレエ界最大規模の公演への関心と期待の高さをうかがわせました。そんな会見の様子をフリーライターの町田麻子さんにレポートしていただきました。ぜひご一読ください!


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第15回世界バレエフェスティバル 記者会見レポート


 平昌五輪の余韻がまだ残る3月5日、今夏開催される3年に一度の"バレエのオリンピック"、第15回世界バレエフェスティバル(以下WBF)の記者会見が行われた。創始者である佐々木忠次の没後初の開催であること、日本の文化に注目が集まる東京五輪を控えたタイミングであること、初の試みとして「コーセーU29シート」が設けられることなどを理由に、NBSの高橋典夫専務理事が「様々な意味で大きな節目になる」と位置付ける公演だ。


総勢33名+αが東京に集結!

 高橋の口から発表された現時点での出演ダンサーは、ドロテ・ジルベールやデヴィッド・ホールバーグら初参加の9名を含む、ベテランから若手まで総勢33名。公演はアリーナ・コジョカル&セザール・コラレス(初参加)、ミリアム・ウルド=ブラーム(初参加)&マチアス・エイマン主演による『ドン・キホーテ』で幕を開け、東京で各5回ずつ上演される「Aプロ」「Bプロ」、そして大阪公演へと続く。高橋からは、このほかにも調整中のダンサーがいること、バレエファン待望の「ガラ」の詳細は6月末に発表予定であることも明かされ、続報が待たれる状態だ。さらには、第16回が開催される2021年の前年、東京五輪イヤーにも特別公演を行うという驚きの発表もあり、気が早いがこちらにも期待が高まる。


 具体的な公演内容が言及されたことで、会場に"祭り"ムードが漂い始めるなか、それをさらに高めたのが中盤に披露された映像だ。まずは『眠れる森の美女』のアポテオーズにのせて、1976年の第1回から前回までの華やか極まりない全カーテンコール風景が映し出されたあと、今度は『戴冠式行進曲』にのせ、今年の出演ダンサーからのビデオメッセージのダイジェストが。第2回の開催を前に、故・佐々木忠次が夜通し様々な音楽を聴いて選んだというこのお馴染みの2曲を聴いて、胸が高鳴らないバレエファンはいないだろう。尚、ビデオメッセージの全編は順次、こちらの公式サイトで公開されるとのこと。メッセージ内容はもちろんのこと、劇場の前や稽古場、はたまた自宅らしき場所など、ロケーション選びにもそれぞれの個性が表れ、世界のトップダンサーたちの素顔が垣間見える貴重な映像だ。


バレエのさらなる普及のために

 「日本のバレエがいち早く国際化し、東京が世界のバレエの中心地となったことに、このWBFが果たした役割は大きいと自負している」という高橋の言葉通り、今や世界のバレエファンから熱い注目を集める存在となったWBF。そのためバレエファンのための祭りとみなされがちだが、世界のバレエシーンの"今"が手に取るように見渡せるこの公演はじつは、バレエ入門に相応しいものでもある。とはいえ、初めてのバレエ鑑賞にこのチケット代はハードルが高い、という声に応えるのが、前述の「コーセーU29シート」。株式会社コーセーの特別協賛のもと、満29歳までを対象にC席相当の席を1/4以下の価格で販売するもので、高橋も「制作コストが上がり、入場料も自ずと高くなってしまうなか、若い世代の観客を育てることは我々の重要な課題」とこのシートの可能性に期待を寄せる。


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 会見には、株式会社コーセーの執行役員、北川一也宣伝部長も登壇。特別協賛に至った理由について、「全ての企業活動において美を強く意識しており、流行りものを追いかけるのではなく、本物だという証左を持ったものを皆さんに知っていただきたい気持ちがある。WBFは世界中の研鑽された美が集う、本物の美しさが見られる機会」と説明した上で、「フィギュアスケートの支援などで培ってきたリソースを使って、バレエの"分かりやすさの間口"を作りたい」と、U29シートにとどまらないバレエ普及活動への意欲を示した。節目のWBFは、あの熱狂と興奮の虜になるバレエファンがさらに増える機会となりそうだ。


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取材/文  町田麻子