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2018/05/31 2018:05:31:18:00:00

ローマ歌劇場2018年日本公演 『椿姫』ジェルモン役変更のお知らせ

 この9月のローマ歌劇場『椿姫』公演の配役に変更が生じました。ジェルモン役で出演予定だったベテランのレオ・ヌッチは、今回の公演を"日本のファンへのさよなら公演"にしたいと意欲を見せておりました。ところが自身の体調の変化と気力の衰えから、しばらく逡巡の期間があったようですが、このたび正式に出演を断念したいとの連絡が入りました。主催者としては残念としか言いようがありませんが、76歳を迎えたヌッチ氏の心情に思いをいたすと、ヌッチ氏の決断を尊重せざるを得ません。ヌッチ本人から観客の皆様へのメッセージを託されましたので、下記を併せてお読みいただければ幸いです。
 ヌッチに代わりまして、ジェルモン役にはアンブロージョ・マエストリが出演いたします。マエストリはリッカルド・ムーティがミラノ・スカラ座の音楽監督だった時代、ヴェルディ歌手としての経歴の基礎を築き世界に羽ばたいたバリトンで、日本では2013年ミラノ・スカラ座日本公演の『ファルスタッフ』でタイトル・ロールを歌っています。
 レオ・ヌッチのジェルモン役を楽しみにされていた方々には大変申し訳ございませんが、ヌッチ氏の痛切な思いをお汲み取りいただき、このたびの変更に関し、なにとぞご理解を賜りますようお願い申し上げます。

公益財団法人日本舞台芸術振興会
 


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レオ・ヌッチから日本の観客の皆様へのメッセージ

人生もこうして老境に達したいま、私は、わが家から(そして家族から)離れるような長旅はあきらめざるをえないと考えるにいたりました。
 そこで、まことに後ろ髪を引かれる思いではありますが、今回の東京における、ローマ歌劇場日本公演『椿姫』への出演も断念するのをやむなきにいたった次第です。
 今回の公演の主催者であるNBS日本舞台芸術振興会とは、長年にわたり仕事をしてきましたが、そのすべての公演の出来栄えに私は心から満足しています。
 この場を借りて日本の方々への親愛の思いをお伝えするとともに、皆様から変わることなくお寄せいただき、私もまたこの上ない喜びをもって応え続けてきたご厚情に対して、心からの感謝の言葉を述べさせていただきます。
皆様への思いを胸に。


 レオ・ヌッチ



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アンブロージョ・マエストリ

 1970年イタリアのパヴィア生まれ。生地でピアノと声楽を学んだ。
 ヴェルディ没後100年に当たる2001年、ミラノ・スカラ座でのリッカルド・ムーティ指揮、ジョルジョ・ストレーレル演出の『ファルスタッフ』のタイトル・ロールでセンセーショナルにデビュー。以来、同役で世界中の歌劇場に迎えられ、デビューから12年後の2013年、ヴェルディ生誕200年のメモリアル・イヤーには、スカラ座はもとより、パリ、チューリッヒ、ザルツブルク、ミュンヘンと、世界中の歌劇場がマエストリのファルスタッフ争奪戦となった。これらの歌劇場では、ファルスタッフ以外にも、『オテロ』のヤーゴ、『仮面舞踏会』のレナート、『運命の力』のドン・カルロ、『椿姫』のジョルジョ・ジェルモンといったヴェルディの諸役で高い評価を得ている。世界最高のファルスタッフ歌いであり、屈指のヴェルディ・バリトンであることを大切にしながら、彼自身はプッチーニやヴェリズモ・オペラといった新しいレパートリーにも挑んでいる。2006年にパリ・オペラ座で『愛の妙薬』のドゥルカマーラを初めて歌い、メトロポリタン歌劇場では『カヴァレリア・ルスティカーナ』、ミラノ・スカラ座では『道化師』と、次々に成功をおさめている。