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2018/06/23 2018:06:23:10:00:00

【第15回世界バレエフェスティバル 】フリーデマン・フォーゲル 特別インタビュー

 本年の世界バレエフェスティバルにも世界中から多数のスター・ダンサーが参加します。今回参加する男性ダンサーで最多出演回数を誇るのがフリーデマン・フォーゲル(シュツットガルト・バレエ団)です。

 フォーゲルは1998年にシュツットガルト・バレエ団に入団し、早くも4年後の2002年にプリンシパル(最高位ダンサー)に昇進。昇進した翌年、2003年に世界バレエフェスティバルに出演するという、文字どおりの"スター街道"を歩んできました。そんなフォーゲルに6回目の出演を前に特別インタビューを行いました!



バレエフェスティバルの舞台裏では、皆がひとつのチームになっているのです


fri4.jpg---- 2003年以来の〈常連〉になったフォーゲルさんにとって、世界バレエフェスティバルに出演する意義とは、何でしょうか。

 初めて参加した時、私はまだ駆け出しのダンサーで、周囲のダンサーに見惚れていました。テレビでしか見たことのなかったシルヴィ・ギエムが目の前で踊っているんですよ。マニュエル・ルグリからは、アドバイスをもらいました。そのコンビネーションでは、プリエをもう少し深くしたほうがいい、と。レッスンでも本番中でも、彼が他のダンサーを注意深く観察していることに感銘を受けました。ベテランから若手まで、誰もが助け合う。皆がひとつのチームになる、と言えばいいでしょうか。舞台裏は、いつもこんな雰囲気に包まれています。フェスティバルがきっかけで、他のバレエ団に招かれたこともありました。私だけでなく、多くのダンサーに新たな出会いをもたらし、インスピレーションを与えて、その後のキャリアを発展させる稀有な催しです。


----生え抜きプリンシパルとして、シュツットガルト・バレエ団を代表する存在となりました。
 確かにシュツットガルト・バレエ団は私の本拠地ですが、自分がバレエ団の代表だなんて、おこがましい! このバレエ団では誰もがユニークな個性を持っていて、自分なりの踊りを踊り、まるで違う言葉を話しているようです。ですから、バレエフェスティバルでも、今、この瞬間の自分の姿を見てもらえるよう、ベストを尽くします。


----これまでのバレエフェスティバルでは、シュツットガルト・バレエ団の根幹を支えるジョン・クランコ作品はもちろんのこと、フォーサイスやマクミラン、ベジャール他の振付作品を披露されています。
 観客に新鮮さを味わって欲しいし、私自身、踊ることを楽しみたいですから、毎回、演目選びには苦心します。伝統的な様式に則した古典作品を一つ、豊かな感情表現を織り込んだ作品を一つ、現代作品を一つというように、バラエティのある作品を選ぶことを心がけています。


----マルコ・ゲッケが振り付けた『モペイ』を始めとする、シュツットガルト・バレエ団の専属振付家の作品の上演にも積極的です。
 もちろんです。シュツットガルト・バレエ団には才能豊かな振付家がいて、彼らの作品はバレエ団のレパートリーの一翼を担っています。私達団員にとっても、新作のクリエーションに参加することは、とても重要です。この刺激的な経験がなくては、アーティストとして成長できません。幸い、日本の観客の皆さんは、馴染みのない作品でも貪欲に受け止めてくれるので、今回のバレエフェスティバルでも、ぜひ新作を踊りたいですね。


----ガラ公演のフィナーレを飾る特別演目は、どのように準備するのですか。
 "ファニー・ガラ"は、毎回、演目も配役も演出も、すべて本番の直前に皆で和気あいあいと決めます。衣装や美術は、東京バレエ団のスタッフが魔法のように集めてくれるので、事前に準備をしなくても、心配無用。ただし内容はファニーでも、失敗は許されません。リハーサルも本番も真剣勝負です。


----この10数年間、フォーゲルさんの目から見て、フェスティバルに何か変化はありましたか。
 バレエ界自体が変化したことを感じます。ひと握りの大スターに熱狂する時代は終わり、観客はより多彩なダンサー、より多彩な作品を求めるようになりました。ソーシャルメディアが浸透し、ダンサー自身が自分の情報を発信するし、観客も瞬時に様々な情報にアクセスできる。バレエがよりグローバルな芸術になった、と言えるでしょう。

取材・文:上野房子(ダンス評論家)


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