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2018/07/30 2018:07:30:22:42:31

第15回世界バレエフェスティバル 記者会見レポート(前篇)

 本日(7/30)、東京文化会館の舞台上で第15回世界バレエフェスティバルの開幕記者会見を行いました。その様子を2回にわたってご紹介します!


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 全幕特別プロ『ドン・キホーテ』も盛況のうちに終演し、A・Bプロの開幕が間近に迫った3年に一度の"バレエのオリンピック"、世界バレエフェスティバル(以下WBF)。7月30日、Aプロの出演ダンサーがほぼ勢ぞろいしての記者会見が、なんと会場となる東京文化会館の舞台上で開催された。本来であればリハーサル真っ最中のところ、このために1時間だけ舞台を空けたとのことで、WBFらしい特別感があふれる中での会見だ。


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 まずはNBSの高橋典夫専務理事と、特別協賛の株式会社コーセー・小林一俊代表取締役社長が登壇し、「このところバレエに追い風が吹いているのを感じる。今回のWBFを機に、バレエブームに一気に火が付くことを期待している」「美の創造企業として、本物の美であるバレエを一人でも多くの方に届けたい」とそれぞれ挨拶。そしていよいよ34名の出演者が姿を現すと、全員が普段着――ダニール・シムキンに至っては浴衣姿――であるにもかかわらず、世界のトップダンサーたちのオーラで舞台上が一気に華やいだ。


WBFは新しい作品を発見する場


 口火を切ったのは、パリ・オペラ座バレエ団の芸術監督オレリー・デュポン。「WBFは新しい作品を発見する場であると同時に、友人たちとの再会の機会でもある」と語った通り、隣席のマリーヤ・アレクサンドロワと楽しそうに談笑する姿が印象的だ。同じくオペラ座から、WBF初参加にして全幕特別プロ『ドン・キホーテ』主演を任され、その大役を見事に果たしたミリアム・ウルド=ブラームは「皆さんと同じ舞台に立てて嬉しいです」と初々しくコメント。また、マチュー・ガニオとマチアス・エイマンは共に「佐々木さんに捧げます」と、2年に亡くなったWBFの創始者・佐々木忠次に思いを馳せた。


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佐々木さんを称えて戻ってこられることを幸せに思います


 佐々木への謝辞は、6年の引退期間を経て5年前に復帰後、今回が待望のWBFカムバックとなるアレッサンドラ・フェリからも聞かれた。「何度も出演してきたWBFに、佐々木さんを称えて戻ってこられることを幸せに思います」とした上で、今回パートナーを組むマルセロ・ゴメスとフェデリコ・ボネッリに柔らかな笑顔を向けたフェリ。復帰以降、精力的に活動する偉大なプリマとの共演は両名にとっても特別な体験のようで、特に自身初のWBFでも組んでいるゴメスは、「アレッサンドラ・フェリと一緒にまた日本の皆さんの前で踊れて非常に幸せ」と興奮を露わにしていた。


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 会見の場を大きく盛り上げたのは、ヨハン・コボーとロベルト・ボッレの二人だ。皆が所属バレエ団と名前を名乗ってからコメントをする中、コボーが「僕はフリーランスだから今は売り出し中です」と冗談を飛ばすと、妻のアリーナ・コジョカルをはじめあちこちから笑いが。それを受けてボッレが「僕は売ってません」とコメントすると、さらに大きな笑いが巻き起こった。世界のトップダンサーたちが、バレエ団の垣根を越えて友情を育む場ともなっているこのWBF。その貴重さが改めて感じられ、彼らが踊りを通じて刺激を与え合う、本番への期待がますます膨らむ会見となった。


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取材・文:町田麻子(フリーライター)

※後編では全ダンサーのコメントをご紹介します。