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2018/07/19 2018:07:19:20:30:00

【第15回世界バレエフェスティバル】アンナ・ラウデール&エドウィン・レヴァツォフ 特別インタビューー

 第15回世界バレエフェスティバル、出演ダンサーの特別インタビュー、最終回は、ハンブルク・バレエ団のプリンシパル、アンナ・ラウデールとエドウィン・レヴァツォフの二人です。公私ともにベスト・パートナーともいうべき二人は、今回が世界バレエフェスティバル2度目の出演です。



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──今年2月のハンブルク・バレエ団日本公演で、お二人は『椿姫』に主演したほか、ガラ公演〈ジョン・ノイマイヤーの世界〉でも大活躍をされましたが、全体をとおして、ハンブルク・バレエ団のダンサーの層の厚さ、カンパニーとしての魅力が強く印象に残った日本公演でした。


レヴァツォフ ジョン(・ノイマイヤー芸術監督)のおかげで、ハンブルク・バレエ団は勢いよく前進しています。
 このカンパニーの勢いについていけず、諦めて別の道に進むという結論を下すことになる人もいます。ですから、コール・ド・バレエのメンバーたちは、比較的頻繁に若返ります。ここでは、ジョンの作品に深く関わることがとても重要で、逆に、彼の作品を踊ることが楽しめないとしたら、カンパニーの一員で居続けること自体、とても辛いことになってしまいますね。つまり、このカンパニーは、快適な生活をするための場ではなく、ジョンとともに「芸術作品を創り出す場」なのです。

ラウデール 私たちの職業について問われることがたまにありますが、いつも私は、「ダンサーは職業ではなく、ライフスタイルなんです」と答えています。何かのためにやっていることではなく、ダンスは私たちの人生そのものなのです。カンパニーがお休みのときに踊ることもあるけれど、誰かにやらされているわけではありません。ひたすら踊り続けることもあります。踊ることは私たちの一部で、愛しているから! ダンサー人生はとても短いけれど、それが終わったら、別のことをやるだけです。


──世界バレエフェスティバルへの出演は、今回が2回目。初参加は前回の2015年のことでしたね。


ラウデール 本当に素晴らしかったわ! 私にとっては初めての来日でもあったので、とにかく毎日、目を大きく見開いて、興味津々で過ごしていたの(笑)。皆さんとても親切だし、映像やイタビュー記事でしか見たことのないダンサーたちと直接会うことができたのは、素晴らしいことでした。

レヴァツォフ 再会したダンサーもいたね。ほかのガラとはまったく違う、本物の「フェスティバル」であり、「祭典」であると実感しました。普通は、現地に来て、「ハロー」とあいさつして、踊って、終われば去る、といった感じですが、このフェスティバルは東京に滞在する期間が長くなりますから、ダンサー仲間、友人たちとじっくり会うことができて、いいひと時を持つことができます。参加してみて、実にユニークなフェスティバルだと思いました。

ラウデール こんなにたくさんのバレエ・ファンの皆さんがいるということもわかって、とても嬉しかったわ。


──ハンブルク・バレエ団のダンサーたちは、毎回、選りすぐりのノイマイヤー作品を上演しています。


レヴァツォフ 前回の世界バレエフェスティバルも、僕たちはジョンの作品を踊りました。ジョンの作品はほぼすべて、とても人間的であり、特別です。だからこそ、観客の皆さんもより身近に、親近感をもって観ることができると思います。

ラウデール 賛成よ。その通りだと思うわ。たとえば、前回のガラで踊った『ハムレット』。あれは、誰かを愛しながらも、声に出して伝えていない、いつでも伝えることがでくると思っていたのに、突然その相手がいなくなってしまう。そしていま、それを言うべきなのか、あるいは胸に秘めておくべきなのか、という心の迷いを演じていました。

レヴァツォフ ジョンは僕たちの考えを信頼してくれているので、今回も、僕たちならではのパフォーマンスをお見せできると思います。今回もジョンの作品を踊れることができて、とても光栄です。

ラウデール このフェスティバルで踊れることを、とても楽しみにしています。


取材・文:加藤智子(フリーライター)


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