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2019/01/30 2019:01:30:15:37:27

シカゴ交響楽団のヴァイオリニストたちが、目黒区の福祉施設で訪問演奏
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 日本ツアーの開幕を控えた1月29日午後、シカゴ交響楽団(CSO)のメンバーたちが目黒区の福祉施設で訪問演奏を行いました。この活動は、CSOからの申し出を、公益財団法人日本舞台芸術振興会がその趣旨に賛同して手配し、目黒区の協力を得て実現したものです。
 
 会場となった目黒区心身障害者センター あいアイ館の会議室には、20人余の車椅子の方を含めた50人ほどが集まり、CSOの3人ヴァイオリニストを拍手で迎えました。
 野田愛子さんが、同僚のメンバー、ミヘイラ・イオネスクさんとベアード・ドッヂさんを紹介し、さっそく演奏が始まります。「早春譜」「蘇州夜曲」「あかとんぼ」「川の流れのように」「ふるさと」「夕焼け小焼け」と、よく知られている日本のうたが奏された後、野田愛子さんのソロによるJ.S.バッハのパルティータ(第3番第1楽章)、さらにアンコールの「ユモレスク」で、およそ30分余の演奏が終了。会場のみなさんは、じっくりと聴き入る方や、まるで音をつかもうとするように手を伸ばす方、体を揺らす方などさまざまな反応を見せていました。

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 CSOは、本拠地シカゴで、またツアーに出た際にも、学校や病院、福祉施設でのこうした演奏活動を積極的に行っているとのことで、イオネスクさんとドッヂさんは、前回の日本公演の際にも訪問演奏を行いました。日本でのこの活動に初めて参加した野田さんは「演奏をしているうちにみなさんの顔が柔らかな表情になっていくのがわかった」と、演奏直後の感想を語ります。
 ドッチさんは「わたしたちにとって、音楽好きの方々にオーケストラの音楽を楽しんでもらうことはもちろん大切な使命ですが、コンサートに来ることができない人たちにも、音楽の素晴らしさや喜びを感じてほしいと思っています」と、活動の意義を話してくれました。

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 イオネスクさんは「音楽を通して、私の感情と彼らの感情がひとつになることが感じられるのが好きなんです。私たちが彼らに何かをしてあげるのではなく、彼らが何を必要としているのかをもっと知りたいと思うのです」と、すでに20年ほど、彼女がこうした活動に取り組み続けてきた原点がどこにあるのかを話してくれました。演奏後、退室のための介助スタッフを待っている車椅子の女の子たちに向かって、すかさず「きらきら星」を弾きはじめたイオネスクさん。目の前で、語りかけるように演奏された女の子が、大きな喜びを感じていたことは、その場にいた誰もがわかりました。
 「音楽はユニバーサル・ランゲージ」であることが、はっきりと感じられる場となりました。

 
photo: Todd Rosenberg