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2019/06/10 2019:06:10:21:26:30

ヤスミン・ナグディ(英国ロイヤル・バレエ団)インタビュー

「キトリは100%の力を出し切って踊るので、解放感を感じます」

 今回日本での全幕初主演を飾るヤスミン・ナグディは、ロイヤル・バレエ学校から2010年にロイヤル・バレエ団に入団し、わずか7年でプリンシパルにスピード昇進した英国期待の若手プリンシパル。叙情的な表現とクリーンなライン、精緻な技術というロイヤル・スタイルを極めた踊りでコヴェント・ガーデンの観客を魅了するナグディに、日本公演への抱負を訊いた。


取材・テキスト:實川絢子(ライター、在ロンドン)



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photo:Andrej Uspenski


- 3月の『ドン・キホーテ」でのキトリ役デビュー、おめでとうございます。

「ありがとうございます。デビュー公演は上出来で、心から楽しんでキトリ役を踊ることができました。キトリは快活で、頑固な一面もある魅惑的な女性ですが、自然にスッと入り込める役です。常に100%の力を出し切って踊る役なので、舞台の上でこれ以上ない解放感を感じました。高度な技術とスタミナを必要とするだけでなく、頑固で情熱的な女性像をしっかりと描き出す芸術性が求められますが、私なりの感性でキトリを演じ、自分自身の足跡を刻むつもりで取り組んでいます」


- キトリ役は出ずっぱりでとても大変な役ですが、実際に踊ってみていかがでしたか。
「1幕はとても長い上に大きなジャンプも沢山あり、常にエネルギッシュでいなければならないので、スタミナと耐久力を試されますが、やはり一番大変なのは3幕です。1幕2幕と踊り続けて一番疲れている時に、パ・ド・ドゥ、ヴァリエーション、そしてあの有名なグラン・フェッテ32回転をしなければならないので、研ぎ澄まされた集中力と、疲れを物ともせず、作品を盛り上げて終わらせるんだという意気込みが必要になります」


- アコスタ版『ドン・キホーテ』の魅力はどんなところにありますか。
「燦々と輝く太陽のような、幸福感に満ちたバレエです。ユーモア溢れる物語も魅力的ですし、舞台上でジプシーたちが実際にギターを弾いて歌い、華やかな闘牛士が登場するなど、本物のスペイン情緒を肌で感じられると思います」


- ガラでは、『シンフォニー・イン・C』に出演されますね。
「バランシン作品を踊るには、私がロイヤル・バレエ学校で学んだスタイルとは全く異なるアプローチと身体の使い方を要求されます。これまでにも様々なバランシン作品を踊ってきましたが、毎回身体だけでなく知的な意味でもたいへん刺激的な体験になります」


- プリンシパルとなって2シーズン目となりますが、日々どのように取り組んでいますか。
「私は、どのような職業であっても、人生において夢を持ち続け野心的であることが何より大切だと思っています。野心的というのは、より良い踊りを目指して日々技術を磨き、努力を惜しまず、自分の中の基準を落としたり手を抜いたりすることなく、どんな困難にも立ち向かっていく姿勢のことです。もちろん、プリンシパルになることは私にとって最も大きなゴールの一つでしたが、プリンシパルであり続けるには、バレエ団のスタンダードを可能な限り高く保つ責任が伴います。私の人生における究極の目標は、キャリアの成功と幸せな私生活の両方を手に入れること。今まさに、その二つのバランスをうまく保とうと努力しています」


- 最後に日本の観客にメッセージをお願いします。
「目の肥えた日本の観客の皆さんに、私が踊るキトリを楽しんでいただけることを願っています。キトリ役は、バレエのあらゆるメニューをいっぺんにテーブルにサーヴするような盛り沢山の役。ダンサーとしての私の、いつもとは違った側面を観ていただけるはずです。皆さんにお会いできるのを楽しみにしています(出待ちも大歓迎です)!」




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