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2019/12/25 2019:12:25:12:00:00

パリ・オペラ座バレエ団 ナイス・デュボスク(『オネーギン』オリガ役)インタビュー

来る2020年3月の公演で『オネーギン』のオリガ役に抜擢されたナイス・デュボスク。エトワール級のダンサーが踊ることも多い重要な役を任されたことから、オペラ座が彼女にかける期待を感じさせます。先日の昇級試験も無事に合格し、勢いにのるデュボスクをパリ在住のライター、大村真理子さんに取材していただきました。ぜひご一読ください!


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来春のパリ・オペラ座来日公演で、2020年1月1日スジェに上がるナイス・デュボスクが初めて日本の舞台に立つ。正式入団したのは2017年秋で、その数ヶ月後、オペラ座で公演のあった『オネーギン』でカドリーユながらオリガ役に大抜擢された彼女。オペラ座の輝ける新星である。


Q : 『オネーギン』は多くのダンサーが好きな作品に挙げます。何がこの作品の魅力だと思いますか。
A : 登場人物それぞれに厚みがあり、バレエという以上に演劇的な作品だからでしょうね。物語を語ることにより、ダンサーは豊かに成長できます。オリガは私には初の大役、しかも悲劇への展開を担う役だったので、 この仕事で鍛えられ、自分のキャパシティに自信が持てるようになりました。私を信頼して配役してくれた芸術監督のオーレリーには感謝してもしきれません。リハーサルではコーチから手の表現が乏しいと指摘されて、指の先の先まで動きをもたらす稽古を何度も繰り返したのを覚えています。


Q : 相手役のポール・マルクとはどのように役作りを進めましたか。
A : リハーサルの間スタジオで一緒に過ごす時間がたっぷりあり、役について語りあいました。私たちは学校時代からの仲良しで、理解しあえる間柄です。これは愛情で結ばれている二人を演じることに役立ちました。舞台での関係にリアリティをもたらせたと思います。もっともキスは照れてしまってリハーサルでは避け気味に・・・一旦舞台でしてみたら'' なんだ、簡単なことだった !'''って二人で笑ってしまったんですよ。リハーサルから最後の公演まで、ずっと良い雰囲気で素晴らしい経験ができました。


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ナイス・デュボスク(オリガ役)とポール・マルク(レンスキー役)


Q : 作品中、最も好きなのはどのシーンですか。
A : 決闘の場。最も悲劇的なシーンです。頭の中に悲しみ、怒り・・・といった複雑な感情、さらに自分の幼さでレンスキーを嫉妬に駆り立て決闘に至らせた後悔もあります。引き起こすことの重大さを理解せず、火遊びをし、そして炎上させてしまったのですから。これにより彼女の人生は崩壊します。最後にオリガ役を踊った舞台では、こうした感情が増幅してしまって泣きそうになったことを覚えています。


Q : オリガから見たタチヤーナはどのような女性でしょうか。
A : オリガとは正反対。自分の想いにふけりがちで、おセンチです。生真面目で愉快な女性ではありません。でもオリガは姉のことを愛しているので、自分の殻に閉じこもりがちな彼女がオネーギンに視線を向けていることが察知できるのです。 第三幕ではタチヤーナは一転して強い意志の持ち主となりますね。


Q : ダンサーとしてオーレリー・デュポンに憧れているそうですが、なぜでしょうか。
A : 彼女の上半身の優雅さ。どこにも緊張を感じさせないけれど、その裏には膨大な仕事が隠されています。そして豊かな音楽性。彼女、よく言うんですよ。全ての動きが音楽を捉えることによって、ダンスが豊かなものになると。


Q :あなた自身は この先どのようなダンサーを目指していますか。
A : コンテンポラリーもクラシックも踊れるダンサーとして、自分を両者で発揮してゆきたいですね。常に前向きで、困難に出会っても諦めるようなことはしたくありません。技術的に進歩したいので、毎朝レッスンに励んでいます。確固としたテクニックを身につけることで、いつか、例えば『白鳥の湖』や『椿姫』のような作品で技術に気をとられることなく、芸術面に集中して観客の心を揺さぶるような舞台を見せられたら、と願っています。


取材・文:大村真理子(在パリ、エディター)


ナイス・デュボスク出演日

パリ・オペラ座バレエ団2020年日本公演『オネーギン』

3月6日(金)19:00

3月7日(土)18:00


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