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2020/01/30 2020:01:30:16:10:00

パリ・オペラ座バレエ団 マチュー・ガニオ(アルブレヒト役、オネーギン役)インタビュー

シリーズでお贈りしているパリ・オペラ座バレエ団2020年日本公演、出演者インタビュー。本日は現役の男性エトワールの中では最も長いキャリアを誇り、名実ともにバレエ団の"顔"として活躍しているマチュー・ガニオの登場です。ぜひご一読ください!


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前回のツアーには不参加だった エトワールのマチュー・ガニオ。今回は『ジゼル』『オネーギン』の両作品で主役を踊る。パリ・オペラ座、他国のツアーで踊り、キャリアの中でも舞台数が多い作品なのだが、意外や彼が日本でアルブレヒト役を全幕で踊るのはこれが初めてだという。


Q : 『ジゼル』を初めて見たのは母ドミニク・カルフーニ(オペラ座エトワール)の舞台でしたか?
A : 母のジゼルは写真、パ・ド・ドゥの一部を見ただけ。全幕はビデオですら見ていず、これは心から残念に思うことです。僕が舞台を初めてみたのは入学年、第二ディヴィジョンの時でエリザベット・モーランとカデル・ベラルビでした。この作品はダンサーなら一度は踊ってみたいと夢見る、『白鳥の湖』や『ラ・シルフィード』といった古典大作の1つですね。


Q : 初役で踊った14年前から今に至るまで、どのように役は進化しましたか。
A : 最初の頃、アルブレヒトはジゼルを深く愛し、心優しく、悪意はない、というように踊りたいと思っていました。でも最近はプレイボーイとまでは言わずとも、人物に少し利己的な面とかニュアンスをプラスして・・。進化というより、自分の人間的成長にあわせ人物像をより豊かにしていると感じます。回を重ねるごとに、意識せずとも役に複数の面をもたらすことができていると思います。


Mathieu Ganio 2015-16-GISEL-091 (c)Svetlana Loboff OnP.jpg



Q :4年前、マリンスキー劇場でディアナ・ヴィシニョーワと踊っていますね。
A :はい。ロシアのバージョンなので、オペラ座の踊りなれたパントマイムの意味が異なったり、反対だったり。決してしてはいけない仕草もあって、リハーサルではちょっと戸惑いましたけど、文化の違いに触れられて興味深い体験でした。



Q :今回のツアーでは『オネーギン』にも配役されています。結ばれない二人の悲劇。彼の不幸は何ゆえでしょうか。
A : オネーギンは人生で 多くを体験し、なんでも知っていると思い込んでいます。永続する愛、誠実な愛、確かな愛がこの世に存在することを知らないのです。オリガをダンスに誘うのも、レンスキーに人生教育として愛情は一過性のものと教えたいから。まさかレンスキーが決闘を決意するとは思いもよらず、彼のオリガへの愛の強さに驚かされます。そして最後はタチヤーナに驚かされるのですね。なぜなら情熱に押されて結婚したわけではない夫に彼女は愛情を抱くようになり、夫に忠実であろうとする。彼は若い日の彼女が愛した男性です。その彼でもタチヤーナの夫への心を変えさせることができないのです。


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Q :第二幕から第三幕、踊られない10年はどのような歳月なのでしょうか。
A :決闘はオネーギンにとって初体験ではなく、レンスキーを殺しても悔恨の念は生じません。そんな彼にタチヤーナが強い視線を向けますね。その瞬間、夢見がちで世間知らずだと見下していた若い娘が、彼の頭の中で自分と同等になります。''ご覧なさい、自分のしでかした愚かさ、悪気、過ちを !'' という彼女の視線の中に、大人の女性を見出すのです。ここで第二幕が終わります。その後彼は海外へと逃げ出すものの、後悔、悲しみはどこに行こうが付いて回って・・そんな10年間を送ってロシアに戻ってきた、というところから第三幕が始まるのです 。



Q :この作品によって成長できたと感じることは何でしょうか。
A : クランコの創るパ・ド・ドゥは難しさ、複雑さの面で格別なことで知られていて、『オネーギン』のそれは世界のバレエ作品の中でも難しいものの1つ。パ・ド・ドゥの技術を多く学べました。日本でのパートナーはこの作品で初めて組むアマンディーヌ・アルビッソンで、気が合う相手なのでリハーサルはとても快適です。彼女、これまでで最も背の高いタチヤーナなので僕にとっては技術面でチャレンジとなります。


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取材・文:大村真理子(在パリ、エディター)


マチュー・ガニオ出演日

パリ・オペラ座バレエ団2020年日本公演

『ジゼル』

2月27日(木)19:00、2月29日(土)18:00

『オネーギン』

3月5日(木)19:00、3月7日(土)13:00、3月8日(日)15:00


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