2020/01/20 2020:01:20:12:00:00[NBS最新情報]
本年3月に来日するパリ・オペラ座バレエ団。今回出演する主要キャストの中で、実は日本デビューとなるのが「オネーギン」でレンスキーを演じるポール・マルク。一体どんなダンサーなのかと楽しみにされているファンの方も多いのではないでしょうか?そんなマルクの素顔が垣間見える、フレッシュなインタビューをお贈りします。ぜひご一読ください。
来日公演『オネーギン』でレンスキー役を踊るポール・マルク。2009年春にバレエ学校公演で来日し、団員としてのツアー参加は今回が初めてである。2014年入団後、オペラ座のピラミッドを順調にあがり、スジェ時代に『ドン・キホーテ』のバジル、このレンスキーに配役されていることからも明らかなように彼はオペラ座の未来を託されている若手の一人だ。
Q : 2018年のオペラ座公演でレンスキーに配役された時の気持ちは ?
A : とても嬉しかったですね。『ボレロ』、『ジゼル』、『ジュエルズ』の''ダイヤモンド''などいつか踊りたいと願う作品リストが頭の中にあって、これもその1つでした。学校時代にレンスキーとオルガのパ・ド・ドゥのビデオを見て、すっかり惚れ込んでしまったんです。振付け、音楽、衣装の何もかもが素晴らしい。踊りたいと夢見ていました。でも実際に踊るとなったら 、技術的に難しくて絶対に無理だ !と思ってしまったほど。幸い舞台はうまく行きホッとしました。
Q : レンスキーをどのように役作りしましたか ?
A : 原作がある場合は必ずそれを読むようにしています。『オネーギン』はさらにオペラも映画もあり、レンスキー像についてのインスピレーションをいろいろ得ました。ロマンチスト、傷付きやすさ、短気、悲しみ、絶望・・シーンによって彼はいろいろな面をみせます。
オリガ役のナイス・デュボスクとレンスキー役のポール・マルク
Q : レンスキーからみてオリガはどのような女性でしょう ?
A :彼女はレンスキーを心から愛し、相思相愛のロマンチックな関係です。陽気で快活、あまり物事を深く考えない。だから自分の行動が招く結果に意識が及びません。若すぎて社会の規律、規範がわかってない・・でも当時の彼女に限らず、これは今の若い世代にもいえることですよね。
Q : レンスキーがオネーギンに決闘を申し込む行為をどう感じましたか ?
A : 原作を読んだとき、彼の行動は正当だとすんなり理解しました。プーシキンの視点では、当時の社会規範において彼のオネーギンへの反応は当然なのです。レンスキーを踊る僕は、彼が自分の選択、決定に責任を持つ毅然とした態度をとる必要があります。 衝動的、血気にかられがちな彼の気質を表現し、そこに至る流れを見せるようにしました。
Q :来日は11年ぶりですね。
A : はい。2年前に初役で踊った時に素晴らしい体験ができたので、日本で再び踊れるのは嬉しいです。リハーサルが始まり、音楽を耳にするや振付けが体に蘇りました。第一幕のパ・ド・ドゥでオリガ役のナイスと爪先をぶつけてしまう箇所があって、2年前稽古を重ねて問題を解決したはずなのに、今またリハーサルで同じ場所で同じことが。おかしいけど、苛立ってしまいます(笑)。来日は『オネーギン』ためだけなので、自由時間はなさそう。随分前に日本に引っ越した友達がいて、時間ができたらまずは彼に会うつもりです。パリでは見られない古い建築と高層ビルの共存に興味があるので街の見学もしたいけど・・・。
取材・文:大村真理子(在パリ、エディター)
ポール・マルク出演日
パリ・オペラ座バレエ団2020年日本公演『オネーギン』
3月6日(金)19:00
3月7日(土)18:00