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2021/10/29 2021:10:29:12:30:00

プレス向け公開リハーサル&記者会見レポート ー金森穣振付「かぐや姫」第1幕 世界初演

金森穣振付『かぐや姫』第1幕の世界初演を約一週間後に控え、東京バレエ団では、舞踊評論家、報道各社の記者に向けて通し稽古の公開と、金森氏の囲み取材を実施しました。

この日のリハーサルは、2日目に登場する足立真里亜(かぐや姫)と秋元康臣(道児)を中心としたキャストで展開。3月と8月、そしてこの10月中旬からと期間を分けて行ってきた創作が、いよいよ大詰めに入ったことを印象付けました。


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写真左より、足立真里亜、飯田宗孝、演出助手の井関佐和子、岡崎隼也、金森穣


プロローグから登場する翁役・飯田宗孝は、201712月のベジャール版『くるみ割り人形』以来の舞台出演です。彼が小さなかぐや姫と出会う竹やぶの正体は、海からやってきた緑の精たち。静けさの中から徐々にボルテージを上げ、雄大な海のイメージから竹やぶへと姿を変える様子は、ポワントの女性ならでは、ひいてはバレエならではの迫力ある場面。あっという間に成長し、おてんばな少女となったかぐや姫は、やがて村の童たちの兄貴分である道児と恋に落ち、物語バレエの一場面らしい、主役カップルによる情感あふれるパ・ド・ドゥを踊ります。いずれの場面も、金森氏の振付はドビュッシーの音楽と不思議なほどに調和し、響き合うのが印象的でした。


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かぐや姫(足立真里亜)と翁(飯田宗孝)


囲み取材で金森氏は、「真里亜と康臣については、通しで踊るのは今日が初めて。今日は自分でもびっくりするくらい、彼らがその中で生きてくれて嬉しかったですね!」と興奮気味。初日を踊る秋山瑛と柄本弾についても、「今日の彼らを見て、いい刺激になったはず。舞踊家の力によって、作品に新しい感情が加わったり、新しい視座が加わったりすることを期待している」と思いを明かしました。


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道児(秋元康臣)とかぐや姫(足立真里亜)


翁役・飯田に影のように寄り添って動く黒衣役(岡崎隼也)の存在について問われると、「飯田先生の経験値と、いまの存在感でなければ表現できないものが舞台には絶対にあるし、舞台はそういう場であってほしい。(2年後の全幕上演を目指す)グランド・バレエ全3幕の、バレエ団総出演となる中で、飯田先生にはどうしても出ていただきたかった。無理にお願いした中で、黒衣に、能でいう後見の役割(いざという時のサポート役)を担ってもらいつつ、翁にとってのある種の影、闇の部分、運命を司る謎の存在とするのも、演出的に面白いかと思っています」。


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緑の精の群舞


さらに、緑の精の女性たちがポワントで踊る理由については、「ポワントシューズは、自然を擬人化するとき、いわゆる俗世とかけ離れたものを表現するためにあるといってもいい。超常的な存在である緑の精がポワントで踊るのは必然ですし、振付家としてトライしたかった。ポワントなしでもできたかと思いますが、東京バレエ団の委嘱ですから、女性のポワントの群舞と男性の群舞は、絶対にやりたいと思った。これはNoismではできないので!」。


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会見で想いを語る金森穣


今回の公演では、金森氏が欧州で師事した二人の振付家の作品、ベジャールの『中国の不思議な役人』、キリアンの『ドリーム・タイム』も同時に上演しますが、この二人の巨匠から学んだことは?と尋ねられると、「今回の『かぐや姫』にはギュッと出てくると思う。このプログラムで、お客さまに"この感じを金森が受け継いだのかな"と観てもらえることが嬉しい──嬉しいと思える年齢になりました(笑)。20代の頃は背を向けた時期もありましたが、得たもののありがたさを感じる。こんなトリプル・ビル! こんな運命(笑)! ありがたく思っています」

 

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