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2021/10/19 2021:10:19:12:49:36

追悼 エディタ・グルベローヴァ

エディタ・グルベローヴァが1018日、チューリヒにて逝去しました。NBS一同心より哀悼の意を捧げます。

 

エディタ・グルベローヴァは「コロラトゥーラの女王」と称され、その類まれな声と卓越した技術で世界中の檜舞台で活躍してきました。日本には1980年のウィーン国立歌劇場日本公演『ナクソス島のアリアドネ』のツェルビネッタ役でデビュー。その後もウィーン国立歌劇場、バイエルン国立歌劇場、フィレンツェ歌劇場などの日本公演に主演し、『ルチア』、『ロベルト・デヴェリュー』、『椿姫』をはじめとする数々の伝説的な舞台で日本のオペラ上演史に軌跡を刻みました。


オペラの舞台のほか、リサイタルでは埋もれた名作のアリアやリートなどにも積極的に取り組み、アンコールでは得意とする「こうもり」、「キャンディード」などの名曲を度々歌ってコメディエンヌぶりを発揮するなど、オペラの舞台とはまた違った魅力で客席を魅了し、聴衆の絶大な支持を集めてきました。

 

弊財団とは1980年の初来日以来30年以上にもわたって親交がありますが、特筆すべきは2003年にグルベローヴァ氏が初挑戦したベッリーニ作曲「ノルマ」(演奏会形式上演)です。「ノルマ」はたびたびマリア・カラスの名前と同列に語られる上演の至難なオペラのひとつですが、このようなベルカント・オペラの名作を復活させ、現在のオペラ界のレパートリー拡充に貢献したグルベローヴァ氏の功績ははかりしれません。

 

氏が舞台芸術に残された多大な功績を偲ぶとともに、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

 

公益財団法人日本舞台芸術振興会


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2003年「ノルマ」(演奏会形式上演)より