2025/01/10 2025:01:10:15:09:01[NBS最新情報]
「ばらの騎士」稽古中のオットー・シェンク。(ウィーン国立歌劇場ホームページより)
オーストリアの演出家、俳優、芸術監督、作家で、ウィーン国立歌劇場のために『ばらの騎士』『こうもり』他、多くの名演出を行ったオットー・シェンク氏が2025年1月9日、94歳で逝去されました。
1964年の『イェヌーファ』を皮切りに、古典から現代作品まで幅広い作品で数々の伝説的なプロダクションを手掛け、『ばらの騎士』、『こうもり』、『アンドレア・シェニエ』、『フィデリオ』、『愛の妙薬』ほか、その多くが現在もウィーン国立歌劇場のレパートリーとなっています。2014年の『利口な女狐の物語』が最後の新演出の舞台になりました。
日本においてはウィーン国立歌劇場によって1986年に『ばらの騎士』『マノン・レスコー』、1989年に『魔笛』、1994年に『ばらの騎士』『こうもり』、2008年に『フィデリオ』がそれぞれシェンクの演出版で上演されており、ことに1994年の『ばらの騎士』はカルロス・クライバー指揮の名演奏ともあいまって大きな話題となり、観客の方々の胸に刻まれていることと思います。
ウィーン国立歌劇場総裁のボグダン・ロシチッチは、次のように追悼の辞を述べています。
「オットー・シェンクは、私たちの劇場の歴史に欠くことのできない、忘れ得ぬ一章です。彼はまた、半世紀にわたって演劇界を形作った、比類なき芸術家でした。彼にとって神聖なものであった劇場において、膨大な知識をもとに、自然かつ大胆不敵に作品に取り組まれました。妥協を許さない厳しくも、誠実なリハーサルは、彼の歌手への限りない愛情そのものでした。オットー・シェンクは要求し、同じだけ愛したのです。演劇史上のあらゆる知的・芸術的豊かさを引き出し、それを多くの聴衆に見事に伝えることのできた芸術家のご逝去に際し、ウィーン国立歌劇場は心より哀悼の意を表します」
オットー・シェンク氏のご冥福をお祈りするとともに、今年10月のウィーン国立歌劇場日本公演において、氏が残した名プロダクション『ばらの騎士』の舞台をふたたび日本の観客の方々にご堪能いただき、その業績を偲んでいただけることを心より願っております。
公益財団法人日本舞台芸術振興会
●ウィーン国立歌劇場2025年日本公演の情報はこちら