レディ・ハリエット
：
アン女王の女官。ひょんなことから奉公人「マルタ」となる。
ナンシー
：
ハリエットの親友。ハリエットと共に奉公人「ユリア」となる。
トリスタン・ミクルフォード卿
：
ハリエットの従兄。
ライオネル
：
プランケットの義弟で、実はダービー侯爵の遺児。奉公人マルタを愛する。
プランケット
：
豊かな農家の主。奉公人ユリアを愛する。
レディ・ハリエット
（マルタ）
【第１幕】
アン女王の女官を務めるレディ・ハリエットは日々の生活に退屈しきっていた。従兄のトリスタン卿が訪れ、盛んに気を引こうとするがそれもうるさいばかり。そんなときに出稼ぎに行く娘たちの歌声が聞こえてくる。心を誘われたハリエットとナンシーはトリスタン卿を引き連れ、変装をしてリッチモンドの市場に出かける。
市場は出稼ぎにきた娘たちと雇い主たちで賑わっている。村の若者プランケットとライオネルも女中を探しに市場を訪れた。ライオネルの父親は不遇のままプランケット一家に看取られて亡くなり、ライオネルはプランケットの義弟として育てられた。父親は「窮地に陥ったときには女王様に見せるように」と告げ、ライオネルに指輪を残していた。
彼らはハリエットとナンシーの美しさに惹かれ、二人の娘はちょっとした遊び心から彼らと奉公人として契約する。
【第2幕】
プランケット家
プランケット家に連れてこられたハリエットとナンシーはそれぞれ「マルタ」「ユリア」と名乗る。奉公人として仕事を命じられるものの、何もできるはずもなく、プランネットとライオネルは二人の娘に糸つむぎを教えることに。ハリエットはライオネルに歌を聴かせ、その歌声に魅せられた彼はハリエットに求婚するが、ハリエットは彼の愛に応えることはできない。一日を終えたハリエットとナンシーはライオネル、プランケットに心を惹かれつつも、軽はずみな行動を嘆いている。そこにトリスタン卿がこっそり現れ、二人を助け出す。
【第3幕】
森の居酒屋
プランケットと村の人々が森の居酒屋で陽気に酒を飲んでいると女王一行が狩にやってくる。その中にナンシーを見つけ、プランケットは彼女を追いかけるが、逆に従者たちに追いかけられる羽目に。一方ライオネルは美しいマルタを忘れられない。森で物思いに沈むマルタ（＝ハリエット）に出会うが、彼女はあくまでも取り繕った態度をとり続ける。ハリエットの身分を知り、自分が弄ばれたのだと知ったライオネルは絶望し、父の形見の指輪をプランケットに託して去っていく。
【第4幕】
プランケット家の前
プランケットに託した指輪により、ライオネルはダービー伯爵の遺児であることが判明する。ライオネルを傷つけたことを悔い、何とかライオネルの心を解きほぐそうと懸命になるハリエットだが、彼は心を開こうとはしない。
ハリエットは一計を案じ、プランケット家の前に二人が出会った市場を再現して、心をこめて歌う。ライオネルはあの日のままの「マルタ」の姿に心を動かされ、二人は結ばれる。ナンシーもプランケットと結ばれ、全員が幸福な未来を歌う。
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