炎の女、シルヴィ・ギエムの「カルメン」
東京バレエ団50周年プレ企画 シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2013 CARMEN

誘惑の真紅のドレスと、愛を切り裂く鋭い足先。 やけどしそうなギエムのパフォーマンス!
東日本が大震災に見舞われた2年前、〈HOPE JAPAN〉の旗を掲げ、全国を駆け抜けてパフォーマンスを行ったシルヴィ・ギエム。このバレエ界の女神が、彼女にふさわしい新たな演目、「カルメン」で、この秋、日本のステージに降りたちます!
ダンサーたちが嬌声をあげながら弾けるように踊る冒頭から、舞台はエネルギッシュなダンスの洪水。そこに真紅のドレスに身を包んだギエム演じるカルメンが登場し、男たちを圧倒して辺りに君臨します。大胆に脚を開き、振り上げては空を切り裂くダンス。葉巻をくゆらせ、男たちに煙を吹きかける悠然とした演技。誘惑の時も死の時までも、情熱と誇りを失わずに生きる奔放なヒロインの魂が、稀代のスーパースターによって表現される舞台は必見です!
振付は現代バレエの鬼才、マッツ・エック。ギエムは「ウェット・ウーマン」「スモーク」、〈HOPE JAPAN〉での感動が記憶に新しい「アジュー」など、エックとのコラボレーションでいずれも高い評価を獲得し、本作は英国ロイヤル・バレエ団やリヨン国立バレエで主演して絶賛を浴びています。ホセ役を演じるのは、ギエムの信頼厚いパートナーであり、繊細な演技が好評を得たマッシモ・ムッル。そして東京バレエ団は新たなスタイルに挑戦し、現代最高峰の振付家の作品をまた一つレパートリーに加えます。
もう一つの「エチュード」は、ピアノ練習曲としておなじみのチェルニーの楽曲にのせてバレエ・クラスの情景をさまざまに展開する作品。息をのむテクニックの連続と壮麗な幾何学美が興奮を呼びます。バレエの醍醐味が味わえる2作で、芸術の秋をご堪能ください!


クルべり・バレエ団の公演より photo:Leslie-spinks
Mats Ek マッツ・エック スウェーデンのマルメに生まれる。父は舞台俳優のアンデッシュ・エック、母はクルベリ・バレエの芸術監督を務めたビルギット・クルベリ。1962 年、ストックホルムでドーニャ・フューアーに師事。1966年から1973 年にはスウェーデン王立劇場およびマリオネット劇場で舞台監督およびアシスタントを務めたのち、1973 年よりクルベリ・バレエで活躍。1974/75 年のシーズンより、デュッセルドルフのライン・ドイツ・オペラに加入、1976 年にはクルベリ・バレエで『士官の従者』を発表し、振付家デビューを飾る。初期の作品『ソウェト』(1977)、『ベルナルダの家』(1978)などで国際的に注目されるようになり、ハンブルク・バレエに振付けた『眠れる森の美女』(1996)でそれは揺るぎないものとなった。1993 年にクルベリ・バレエを離れたのちは、『シー・ワズ・ブラック』(1995)、テレビ用の作品『スモーク』(1995、のちに『ソロ・フォー・トゥー』として改作)など、数多くの振付作品を発表。 スウェーデン・ロイヤル・バレエ団、シュツットガルト・バレエ団、アメリカン・バレエ・シアター、ミラノ・スカラ座、メトロポリタン・オペラ、パリ・オペラ座バレエ団など、世界の数多くの主要カンパニーに作品を提供。2008年には、アナ・ラグナとミハイル・バリシニコフのためのパ・ド・ドゥを創作、またスウェーデン・ロイヤル・バレエ団のために『ブラック・ラディッシュ』を振付けた。舞台芸術の他の形にも興味を示し、マーロウの『マルタ島のユダヤ人』(1998)、モリエールの『ドン・ジュアン』(1999)、ラシーヌの『アンドロマック』(2002)、ストリンドベリ『夢の戯曲』(2006)などの演劇作品で演出を手がけている。2010 年にはモスクワで『桜の園』を演出した。