東日本が大震災に見舞われた2年前、〈HOPE JAPAN〉の旗を掲げ、全国を駆け抜けてパフォーマンスを行ったシルヴィ・ギエム。このバレエ界の女神が、彼女にふさわしい新たな演目、「カルメン」で、この秋、日本のステージに降りたちます!
 ダンサーたちが嬌声をあげながら弾けるように踊る冒頭から、舞台はエネルギッシュなダンスの洪水。そこに真紅のドレスに身を包んだギエム演じるカルメンが登場し、男たちを圧倒して辺りに君臨します。大胆に脚を開き、振り上げては空を切り裂くダンス。葉巻をくゆらせ、男たちに煙を吹きかける悠然とした演技。誘惑の時も死の時までも、情熱と誇りを失わずに生きる奔放なヒロインの魂が、稀代のスーパースターによって表現される舞台は必見です!
 振付は現代バレエの鬼才、マッツ・エック。ギエムは「ウェット・ウーマン」「スモーク」、〈HOPE JAPAN〉での感動が記憶に新しい「アジュー」など、エックとのコラボレーションでいずれも高い評価を獲得し、本作は英国ロイヤル・バレエ団やリヨン国立バレエで主演して絶賛を浴びています。ホセ役を演じるのは、ギエムの信頼厚いパートナーであり、繊細な演技が好評を得たマッシモ・ムッル。そして東京バレエ団は新たなスタイルに挑戦し、現代最高峰の振付家の作品をまた一つレパートリーに加えます。
 もう一つの「エチュード」は、ピアノ練習曲としておなじみのチェルニーの楽曲にのせてバレエ・クラスの情景をさまざまに展開する作品。息をのむテクニックの連続と壮麗な幾何学美が興奮を呼びます。バレエの醍醐味が味わえる2作で、芸術の秋をご堪能ください!

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