ストーリー
あらすじ

 時は古代、南インド。寺院の巫女ニキヤと戦士ソロルはひそかに愛し合い、神に結婚の誓いを立てる。しかしラジャ(国王)に王女ガムザッティとの結婚を命じられたソロルは、権力と彼女の美貌に抗いきれず承諾してしまう。一方、ニキヤに求愛を拒まれた大僧正は、ニキヤとソロルの関係をラジャに告げる。ガムザッティはニキヤにソロルと別れるよう詰め寄るが、ニキヤは拒否。ラジャたちはニキヤの毒殺を画策する。
 ガムザッティとソロルの婚約披露の宴。ソロルに裏切られ、悲しみに沈むニキヤ。祝いの舞を命じられた彼女に、追い討ちをかけるようにガムザッティの魔の手が迫る。踊りの最中、毒蛇に噛まれたニキヤは絶望の中で死んでいく。
 罪悪感に苦しむソロルは、幻覚の中で再びニキヤとめぐり逢う。ガムザッティとの結婚式が行われるが、神聖な誓いを破ったソロルと愚かな人間たちに怒れる神の制裁が下り、寺院は崩壊、人々は死に絶える。ニキヤとソロルの魂は天国で結ばれる。 



登場人物

詳しいStoryはこちら

第1幕

第1場:神殿の外、聖なる森の中


 大規模なトラ狩りから戻ってきた戦士たちのところへ、国で最も高潔な戦士ソロルが現れる。彼は聖なる火の前で、ひとり静かに祈らせてくれと頼むが、戦士たちが立ち去るとすぐに、ファキール(=行者、托鉢者)の首領マグダヴェーヤを呼びにやらせる。ソロルは、彼に踊り子ニキヤとの逢引の手はずを整えて欲しいと頼む。そこへ神殿の僧侶たちと大僧正が登場し、マグダヴェーヤに祭りのために聖火を準備させる行者ともを集めよ、と命じる。巫女たちが登場するが、その中には特に選ばれた神聖な巫女ニキヤがいた。大僧正は彼女の美しさに圧倒され、胸のうちを打ち明けるが、ニキヤは“神の人”だとして相手にしない。自分の愛の告白に対して彼女の反応はあまりにも冷たく、大僧正は深く傷つく。
 祭りが始まると、巫女たちはファキールたちに水を運んでくるが、その時マグダヴェーヤはニキヤにソロルからのことづけを伝える。ニキヤはその申し出を受けるが、そのやりとりを、大僧正に目撃されて邪推される。儀式も終わり、司祭たちは神殿に戻って行く。マグダヴェーヤはソロルを呼び、ニキヤが来るまで森の中に隠れているよう伝える。ほどなくして会ったふたりは、聖火の前で永遠の愛を誓いあう。が、まさにその時、大僧正が神殿の中からふたりを見ていた。マグダヴェーヤはあわててふたりを離すが、大僧正は嫉妬に狂い、ソロルを殺すための力を与えよ、と神々に祈願する。

第2場:宮殿内の一室


 ソロルを讃える席に、多くの戦士たちが招かれている。ラジャがその場でソロルの勇気と豪胆に対し、娘のガムザッティとの結婚を許すと発表。娘に引き合わされたソロルは、顔を覆ったヴェールを持ち上げるや、あまりの美しさに打ちのめされてしまう。ニキヤに永遠の愛を誓ったものの、彼にとってガムザッティの魅力とラジャの期待に応えたいという願望は、抵抗しがたいものだった。
 婚約したふたりのために、さまざまな余興が行われるが、大僧正の到着とともに静まる。彼はラジャと個別に話をしたいと申し出て、ニキヤとソロルが恋仲であることを告げる。大僧正はラジャがソロルを殺すことを期待していたのだが、王は逆にニキヤを消すべきだと判断し、大僧正を落胆させる。
 一方、この会話を聞いていたガムザッティは、ニキヤを自室に呼び出す。ソロルとの縁を切るように、宝石や贈り物でニキヤを買収しようと試みるが、彼女はまったく応じない。そればかりか、あまりの絶望からガムザッティに向かって刃物を突きたてようとするが、召使のアヤに押さえ込まれてします。ニキヤが部屋を走り去った後、ガムザッティは父ラジャと同じように、彼女を殺さなければ、と決意する。

第3場:宮殿の中の庭


 ガムザッティとソロルの婚約を祝い祝祭が催されている。大僧正は婚約の儀式のためにニキヤを連れて来たが、彼女はこの婚約を受け入れることができず、踊りで悲しみを表現する。召使アヤがソロルからの贈り物だといって花かごを渡し、ニキヤの心は慰められたが、この花かごは、ラジャとガムザッティが贈ったもので、花々の中には毒蛇が隠されていた。花の香りを嗅ごうと、かごを持ち上げた瞬間、ニキヤは蛇にかまれてしまう。大僧正が解毒剤を与えようとするが、ソロルがラジャとガムザッティに連れて行かれるのを見たニキヤは、このまま死んでしまおうと、心を閉じる。

第2幕

第1場:ソロルのテントの中


 ニキヤの死で絶望したソロルは、マグダヴェーヤから悲しみをやわらげるように渡されたアヘンを吸っている。

第2場:影の王国


 ソロルは幻覚で死んだニキヤの姿を見る。彼女は影の王国に現れ、その姿はコールド・ド・バレエの群舞によって幾重にも重なってゆく。ソロルは聖火の前で、ともに愛の踊りを踊ったニキヤを繰り返し思い起こす。

第3場:ソロルのテントの中


 戦士たちがテントに入って来てガムザッティとの結婚の儀式へと連れ出そうとする。が、その間にもソロルはニキヤの幻に惑わされ、取り憑かれている。

第3幕

神殿


 偉大なる仏陀の膝元で、ブロンズ像が舞う中を、大僧正と僧侶たちがガムザッティとソロルの婚礼の支度を整えている。婚約したふたりが入場し、踊り子たちが集まって来て、神殿の外で燃えている聖なる火を思わせるようなキャンドル・ダンスをふたりのまわりで舞う。ラジャ、ガムザッティ、ソロルも踊るが、彼だけに見えるニキヤの幻に取り憑かれたままだ。不思議なことに、踊りの最中に、以前ニキヤが贈られたものと同じ花かごが持ち込まれたため、ガムザッティは恐怖と罪悪感に駆られ、父に一刻も早く婚約の儀式を終えるようにせがむ。大僧正が祭壇に上がり、式を進めるが、ソロルはどうしても誓いの言葉を口にすることができない。これまでのいきさつに怒っていた神々は、ついに神殿を破壊し、その荒れ跡に人々を埋め殺してします。そんななかで、ニキヤとソロルの魂だけが再び出会い、永遠の愛で結ばれる。



to English Site

NBSについて | プライバシー・ポリシー | お問い合わせ