作品紹介


Aプロ

大プリマだけが踊ることを許される、
アシュトンの“椿姫”「マルグリットとアルマン」
Photo: Andrej Uspenski

「マルグリットとアルマン」全編

振付:フレデリック・アシュトン、音楽:フランツ・リスト  約30分
出演:アレッサンドラ・フェリ、ロベルト・ボッレ、ほか

フレデリック・アシュトンが、マーゴ・フォンテインとルドルフ・ヌレエフのために振付け、1963年に初演された1幕のバレエ。フォンテインとヌレエフの伝説的な名演ゆえに、彼らの引退後は上演が封印されてきたが、2000年にシルヴィ・ギエム主演により英国ロイヤル・バレエ団で復活上演された。

アレクサンドル・デュマ・フィスの「椿姫」の物語を、死の床にある椿姫(マルグリット・ゴーティエ)が彼女の悲劇的な人生に起きた出来事を回想する形で、5つの場面(“プロローグ”、“出会い”、“田舎で”、“侮辱”、“椿姫の死”)が描かれている。

Photo: Kiyonori Hasegawa

「カラヴァッジオ」

振付:マウロ・ビゴンゼッティ、音楽:ブルーノ・モレッティ
出演:ロベルト・ボッレ&メリッサ・ハミルトン

イタリア出身の振付家、マウロ・ビゴンンゼッティの代表作の一つ。2008年にウラジーミル・マラーホフ率いるベルリン国立バレエ団のために創作された全2幕のバレエ。作品の題材に選ばれたのは、バロック絵画の先駆者として知られるミケランジェロ・メリージダ・カラヴァッジオ(1573~1610)。美術史に名を残す巨匠のなかでも、際立って謎めいた雰囲気をまとう人物であるが、しかし、この作品でビゴンゼッティが目指したのは画家カラヴァッジオの伝説的バレエではなく、「トランプ詐欺師」や「聖マタイの召命」など、カラヴァッジオの遺した7つの絵画作品をモチーフとして舞踊作品を創り上げることであった。音楽はブルーノ・モレッティ。カラヴァッジオとほぼ同時代を生き、近代オペラの基礎を築いたとされるクラウディオ・モンテヴェルディの音楽を用い、画家の世界を生き生きと描き出す。

「クオリア」

振付:ウェイン・マクレガー、音楽:スキャナー
出演:ロベルト・ボッレ&メリッサ・ハミルトン

ウェイン・マクレガーは、モダンダンスの先鋭性とコンピュータ・グラフィックを組み合わせた作品で地歩を築いた振付家で、鋭利で高速かつ予想のつかないムーブメントを持ち味とする。その一方で、透明感のあるラインとダイナミックなボキャブラリーを兼ね備えた独特のスタイルは、厳格なクラシック・バレエと見事なまでの調和を見せる。2006年に英国ロイヤル・バレエ団の常任振付家となったマクレガーは、『クオリア』(2003年)――彼がロイヤル・オペラハウスで初めて創作した作品――において、バレエならではの軽快なフットワークと彼独自の鮮烈なダイナミズムを融合させ、クラシック・バレエのパ・ドゥ・ドゥの表現に新たな可能性をもたらした。

「フォーリング・フォー・ジ・アート・オブ・フライング」

振付:ナタリア・ホレチナ 音楽:ヨハン・セバスティアン・バッハ
出演:シルヴィア・アッツォーニ&アレクサンドル・リアブコ

「ボレロ」

振付:ローラン・プティ 音楽:モーリス・ラヴェル
出演:上野水香&マルセロ・ゴメス

「アミ」

振付:マルセロ・ゴメス 音楽:フレデリック・ショパン
出演:マルセロ・ゴメス&アレクサンドル・リアブコ

「アルルの女」

振付:ローラン・プティ 音楽:ジョルジュ・ビゼー
出演:シルヴィア・アッツォーニ&アレクサンドル・リアブコ

Bプロ

フェリの復帰作の一つ「フラトレス」を、
振付家ノイマイヤーが来日して指導!
Photo: Kiran West

「フラトレス」~「ドゥーゼ」より 

振付:ジョン・ノイマイヤー、音楽:アルヴォ・ペルト
出演:アレッサンドラ・フェリ、カレン・アザチャン、カーステン・ユング、アレクサンドル・トルーシュ、マルク・フベーテ

ジョン・ノイマイヤーによる「フラトレス」は最初、アルヴォ・ペルトの音楽を使い、マリシア・ハイデが演じる女性と4人の男性たちの精神的な相互作用が物語を紡いでいく小品として創作され、1986年にシュツットガルト・バレエ団で初演された。

のちにノイマイヤーは、20世紀初頭に活躍したイタリア人女優エレオノーラ・ドゥーゼを題材に、アレッサンドラ・フェリをタイトルロールに起用した「ドゥーゼ」を2015年12月に発表。「フラトレス」はこの「ドゥーゼ」の第2幕に、女優ドゥーゼと、彼女と関係のあった4人の男──3人の恋人である“女たらし”(ガブリエレ・ダヌンツィオ)、“軍人”(ルチアーノ・ニカストロ)、“メンター”(アッリゴ・ボーイト)、および観客を代表する男性──との死後の世界を描く場面として挿入された。

「作品100~モーリスのために

振付:ジョン・ノイマイヤー、音楽:サイモンとガーファンクル
出演:ロベルト・ボッレ、アレクサンドル・リアブコ

振付家ジョン・ノイマイヤーが、長年の盟友であるモーリス・ベジャールへのオマージュとして創作。サイモンとガーファンクルの曲にのせた、男性二人による美しいパ・ドゥ・ドゥ。

1996年12月、ベジャール70歳を記念してローザンヌで開催されたガラ公演において、ハンブルク・バレエのケヴィン・ヘイゲンとイヴァン・リスカによって初演された。本作はまた、ノイマイヤーの創作リストの100番目を飾る作品でもある。

「TWO」

振付:ラッセル・マリファント、音楽:アンディ・カウトン
出演:ロベルト・ボッレ

英国ロイヤル・バレエ団のダンサーであったラッセル・マリファントが、妻であるダナ・ファーラスのために創作。照明デザイナーであるマイケル・ハルズとの緊密な作業により創られたこのパワフルなソロ作品は、動作、照明および音楽間の関係を探究したものである。2004年秋、シルヴィ・ギエムのために特別に広範囲にわたり手直しされた。

照明で区切られた2メートル四方の空間で、ダンサーは跳躍と回転が封じられ、その空間から踏み出ることはない。ダンサーの手足の動きが光の壁をかすめたとき、手足、足先だけが一瞬きらめくのである。

「バーンスタイン組曲」

振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:レナード・バーンスタイン
出演:アレッサンドラ・フェリ、シルヴィア・アッツォーニ、アレクサンドル・リアブコ、カレン・アザチャン、アレクサンドル・トルーシュ、マルク・フベーテ

「リベルタンゴ」

振付:高岸直樹 音楽:アストル・ピアソラ
出演:上野水香&マルセロ・ゴメス

「オルフェウス」よりパ・ド・ドゥ

振付:ジョン・ノイマイヤー  音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキーほか
出演:ロベルト・ボッレ&シルヴィア・アッツォーニ

「アモローサ」

振付:リッカルド・グラツィアーノ 音楽:アントニオ・ヴィヴァルディ
出演:シルヴィア・アッツォーニ&マルセロ・ゴメス

※ 表記の演目は2019年6月17日現在の予定です。