「ジゼル」

パリ・オペラ座で初演された、
ロマンティック・バレエの名作

「ジゼル」全2幕

音楽 :アドルフ・アダン
振付 :ジャン・コラーリ、ジュール・ペロー
演出 :パトリス・バール/ユージン・ポリャコフ
装置・衣裳 :アレクサンドル・ブノワ
装置(製作) :シルヴァノ・マッティ
衣裳(製作) :クローディ・ガスティーヌ
Photo: Svetlana Loboff / OnP

内気で病弱、でも踊ることが大好きな村娘のジゼルが恋に落ちたのは、じつは貴族の生活のしがらみから逃れてお忍びで村を訪れていた青年アルブレヒト。しかし青年の矛盾した背景が明らかになったとき、ジゼルの心は崩壊し、死を経て、彼女は異界の住人となってしまいます。そこでジゼルとアルブレヒトを待っていたのは、魔性の精霊ウィリたちとの激しい葛藤のさだめでした…。

バレエ史に燦然と輝く名作「ジゼル」の初演の誉れを担ったのは19世紀のパリ・オペラ座です。夢幻の輪舞を踊りながら、夜の森を支配する魔性のウィリたちと、その仲間となりながらも、なおも恋人を守るヒロインの至高の愛の物語は、ロマン主義作家ゴーティエの原案によります。

本作初演の名誉をになうパリ・オペラ座バレエ団では、長らく、“ジゼル”を踊ることができてこそ一人前のエトワールであるといわれたほど、彼らにとっては神聖な作品です。装置と衣裳はバレエ・リュス蘇演当時の伝統的でシンプルなもの。それゆえに踊り手の実力が明らかになる古典の舞台で、若きエトワールたちの競演をご堪能ください。

Photos: Svetlana Loboff / OnP、Sébastien Mathé

あらすじ

ぶどう栽培を営む村。母親とともに暮らす娘ジゼルは、ある若者──じつはシレジア公爵アルブレヒトと恋に落ちている。ジゼルは踊ることが何より好きだが、母親は心臓の弱いジゼルの体を心配し、「そんなに踊っていると、ウィリになってしまうよ」と言ってやめさせる。そんなとき、貴族の一行が狩の休息にやってくる。その中に婚約者バティルドの姿を見たアルブレヒトは身を隠すが、ジゼルを慕う森番ヒラリオンがアルブレヒトの正体をあばく。真実を知ったジゼルは正気を失って息絶える。

夜。妖気漂う森の中で、ウィリとなったジゼルが墓から現れる。深い悔恨の思いで墓を訪れたアルブレヒトは、いまやジゼルの仲間である、魔性のウィリたちに捕まるが…。