2011年、東日本大震災という未曾有の災害が日本を見舞った年に、東京バレエ団はバレエ界の大スター シルヴィ・ギエムの「日本を応援し元気づけたい」という呼びかけに応えて、〈HOPE JAPAN〉と題した「ボレロ」(ベジャール振付)を含むツアーで、被災地東北を含む全国各地を巡演しました。
あれから10年。今度は新型コロナウィルス感染症という未知の疫病が世界中に蔓延し、私たちの暮らしと社会を、そして舞台芸術の存在そのものまでを脅かしています。
そのような中、東京バレエ団は、日本と東京バレエ団を心から愛してくれた巨匠振付家モーリス・ベジャールによる傑作プログラムを携えて再び立ち上がり、全国ツアーを展開します。
プログラムは、人々を鼓舞する象徴的な「ボレロ」と、地中海の青い空と海、晴れやかな空気が私たちを包む「ギリシャの踊り」という2大人気演目。また、ベジャールが1988年の初演で斎藤友佳理(現・東京バレエ団芸術監督)ほ か東京バレエ団とモーリス・ベジャール・バレエ団の5人のダンサーに振付け、のちに東京バレエ団のために改訂版が創作された「舞楽」(今回は初演版で上演)。そしてこのたび、ベジャールが反戦と愛を高らかに謳った幻の名作 「ロミオとジュリエット」の中のパ・ド・ドゥを、東京バレエ団として38年ぶりに復活上演することになりました。 輝かしい肉体の躍動が生み出す、マジカルでめくるめく幻惑的な瞬間が、ベジャールのダンスの真骨頂です。人々を癒し、鼓舞し、生きる活力を与えるダンスの力を今こそ存分に感じてください。
HOPE JAPANのイメージロゴ及びイメージヴィジュアルは、アーティスト・デザイナー髙田賢三氏によるものです。髙田賢三氏は2011年の東日本大震災の後、シルヴィ・ギエムが立ち上げた〈HOPE JAPAN〉公演のためにこのヴィジュアルを提供されました。髙田氏は昨年10月に逝去されましたが、今回の〈HOPE JAPAN 2021〉開催にあたり、“復興のシンボル”として再び使用することを髙田氏の事務所にご快諾いただきました。