ジャコモ・プッチーニ

「トスカ」 全3幕

ゼッフィレッリ生誕100年を記念し、15年ぶりに復活!
神は細部に宿る! 巨匠が美にこだわった『トスカ』

ローマを舞台とし、ローマで初演された『トスカ』は、ローマ歌劇場にとっては特別な作品です。演出家ゼッフィレッリは2008年、ローマ歌劇場のためにこの『トスカ』をつくりましたが、今年はゼッフィレッリ生誕100年に当たりま す。荘厳な教会、重厚な内装の警視総監室、そして聖アンジェロ城での緊迫のフィナーレ。その根底にあるのは「演出家には作曲家から託された物語を伝える義務がある」というゼッフィレッリの信念。サラ・ベルナール演じる芝居 を見て、このオペラを書きたいと熱望したプッチーニの想いや描きたかった歌姫トスカのドラマが、ゼッフィレッリの演出と舞台美術によって、迫真の舞台となって繰り広げられます。まさに「神は細部に宿る」と言えます。
ローマ歌劇場はコロナ禍で1年延期を余儀なくされた日本公演のために現在望み得る最高のキャストを揃えました。 トスカ役を十八番とするソニア・ヨンチェヴァ、トスカが命をかけて愛するカヴァラドッシ役には力強い美声を誇るヴィットリオ・グロゴーロ、迫力の悪役スカルピアには傑出したバリトンと定評をもつロマン・ブルデンコです。今年、日本は時ならぬ「トスカ」の当たり年のようですが、1本選ぶなら迷うことなく本公演です。

演出

フランコ・ゼッフィレッリ

1923年フィレンツェ生まれ。生地の美術院およびフィレンツェ大学建築学部で学んだ後、ローマに移り、映画と演劇の俳優としてデビューする。ルキノ・ヴィスコンティと出会い、彼の演出助手を務め、舞台美術家として活動するとともに、ヴィスコンティから演劇、舞台の世界への情熱を受け継ぐ。
オペラ演出家としての開眼も早く、1953年にロッシーニの『チェネレントラ』をミラノ・スカラ座で手がけ、58年にはマリア・カラスとの『椿姫』をつくった。スカラ座、メトロポリタン・オペラ、英国ロイヤル・オペラ、ウィーン国立歌劇場など、世界の著名な歌劇場に作品を残しているが、そのいずれもが最大級の評価を得る名舞台と認められている。実際の舞台だけでなく、オペラ映画にも優れた手腕を発揮。『カヴァレリア・ルスティカーナ』『道化師』『椿姫』、プラシド・ドミンゴとカティア・リッチャレッリを擁した『オテロ』などがある。
「私のどの作品も、私にとってそれを現実化する必要があったからこそ発表したのだ。だからこそ、私は、この仕事を選んだ時から私の感動の全てをもって、この仕事を愛している」と、言葉を残している。2019年6月没。

Photo: Victor Santiago

指揮

ミケーレ・マリオッティ

ペーザロ生まれ。ロッシーニ音楽院で作曲と指揮、ペスカレーゼ音楽院でドナート・レンツェッティに管弦楽指揮を学んだ。オペラ指揮者としてのデビューは2005年サレルノでの『セビリャの理髪師』。2007年の『シモン・ボッカネグラ』の成功を機に2008年に就任したボローニャ歌劇場首席指揮者は2018年まで務めた。この間には、ボローニャをはじめ、ミラノ・スカラ座、ペーザロのロッシーニ・フェスティバルほかでの活躍におけるエレガントな音楽づくり、安定したテクニック、鋭い解釈による表現が認められ、第36回アッビアーティ賞の最優秀指揮者に選ばれた。パリ・オペラ座、ウィーン国立歌劇場、英国ロイヤル・オペラ、バイエルン国立歌劇場、ベルリン・ドイツ・オペラ、ザルツブルク音楽祭、メトロポリタン・オペラ、ナポリのサンカルロ劇場ほか、イタリア国内および海外の主要な劇場に招かれ、その実力は広く認められている。
2022/23シーズンよりローマ歌劇場音楽監督に就任。就任1年目のシーズンには4つの新制作作品を指揮。また、同シーズンのラインナップ発表時には2023/24に『メフィストフェレ』、2024/25に『シモン・ボッカネグラ』、2025/26に『ローエングリン』と、3シーズン先までの予定が発表された。ローマ歌劇場の果敢な挑戦は、マリオッティ音楽監督のもと繰り広げられる。

カヴァラドッシ

ヴィットリオ・グリゴーロ

イタリア・アレッツォ生まれ。少年時代にローマのシスティーナ礼拝堂合唱団でソリストを務め、早くからその才能を注目される。23歳でミラノ・スカラ座にデビュー。以降メトロポリタン・オペラ、ウィーン国立歌劇場、英国ロイヤル・オペラ、パリ・オペラ座をはじめとする世界最高峰の歌劇場で『椿姫』、『トスカ』、『ボエーム』、『ファウスト』、『ウェルテル』をはじめとするイタリア、フランスの両オペラにおいて主要な役を演じている現代最高峰テノールの一人。メトロポリタン・オペラでのソロ・コンサートは「魅力的で熱烈でしなやかか楽器のような彼の声は、情熱的な効果をもたらした」(ニューヨーク・タイムズ紙)と各紙に絶賛された。ブライアン・メイやスティングなど他ジャンルのアーティストとの共演にも積極的に取り組み、オペラ界への功績に対してオペラ・ニュース・アワード(2018年)をはじめとする数々の賞を受賞している。2022年、ローマ歌劇場『トス カ』(演出:アレッサンドロ・ダルヴィ)でカヴァラドッシを演じたグリゴーロには、アリア「星は光ぬ」のアンコールを要求する歓声が止まなかった。

Photo: Thomas Laisné

トスカ

ソニア・ヨンチェヴァ

生地のブルガリアのプロヴディフでピアノと声楽を学び、ジュネーブ音楽院で声楽の修士号を取得。2010年にプラシド・ドミンゴ主宰のオペラリアで第一位と文化賞を受賞したのをはじめ、数々の著名な国際コンクールで優勝を果たす。独特の美しい声とドラマティックな表現力、華のある舞台姿でメトロポリタン・オペラ、英国ロイヤル・オペラ、ミラノ・スカラ座、バイエルン国立歌劇場、ウィーン国立歌劇場、パリ・オペラ座など、世界の主要な歌劇場に欠かせない存在となっている。バロックからプッチーニ、ロシア・オペラに至るまで幅広いレパートリーを誇り、特にスカラ座においては1958年のマリア・カラスの伝説的な舞台以降上演の途絶えていたベッリーニ『海賊』の復活上演を果たしたことは特筆に値する。2021/22年シーズンはスカラ座『フェドーラ』、ハンブルク国立歌劇場『マノン・レスコー』、シャンゼリゼ劇場『アンナ・ボレーナ』でそれぞれロールデビュー。2021年にはドイツで最も権威ある賞のひとつ、オーパス・クラシック賞において年間最優秀歌手賞を受賞した。2022年7月のリサイタルは待望の初来日実現となった。

Photo: daniil-rabovsky

スカルピア

ロマン・ブルデンコ

1984年ロシアのバルナウル生まれ。ノボシビルスクとサンクトペテルブルクの音楽院で学んだ。2006年から2011年まで サンクトペテルブルクのミハイロフスキー劇場ソリストとして活躍。この間の2009年にはサンタ・チェチーリア国立アカデミーのヤング・オペラ・シンガーズで研鑽を積む。2011年にモスクワで開催された国際声楽コンクール、同年パリで開催されたロン・ティボー国際コンクール、2012年北京で開催されたプラシド・ドミンゴ主宰オペラリアをはじめとする数々の国際的なコンクールで才能を認められたことが、世界で活躍する契機となった。2013年にマリンスキー劇場に『愛の妙薬』のベルコーレ役でデビュー、以来、ジュネーブ大劇場、ベルリン・コーミッシェ・オパー、チリのサンティアゴ市立劇場、グラインドボーン・フェスティバルに定期的に出演するほか、チューリッヒ歌劇場、バイエルン国立歌劇場、アレーナ・ディ・ヴェローナ、ベルリン・ドイツ・オペラ、ザルツブルク音楽祭ほかで成功を重ねている。ロシア・オペラはもとより、ヴェルディやプッチーニなどのイタリア・オペラ、さらにはワーグナーをもレパートリーとするスーパー・バリトン。

第1幕

ローマの聖アンドレア・デッラ・ヴァッレ教会

サンタンジェロ城の牢獄から逃亡してきた政治犯チェーザレ・アンジェロッティは、親族の礼拝堂にやって来る。そこには、彼の妹が逃走用の衣服を隠していたのだった。アンジェロッティが礼拝堂に隠れると、堂守に続いて画家のマリオ・カヴァラドッシが教会に入って来る。カヴァラドッシは教会の注文でマグダラのマリアを描いているのだが、ここ数日間、祈りを捧げている金髪の女性の特徴を、その絵に映している。彼女こそ、アンジェロッティの妹、アッタヴァンティ夫人だ。絵のモデルが彼女だとわかった堂守は画家をからかい、帰っていく。一人になったカヴァラドッシは物音でアンジェロッティがいることに気づく。旧知の二人は再会を喜び合うが、そこに「マリオ!」とトスカの声。アンジェロッティは再び隠れ、トスカが入って来る。有名な歌手で画家の恋人であるトスカは、その夜の逢瀬を誘いに来たのだった。しかしそのとき、カヴァラドッシが描いている女性の肖像画が、アッタヴァンティ夫人であることに気づいたトスカは激しく嫉妬する。カヴァラドッシはなんとか彼女を落ち着かせ、安心させる。再び一人になったカヴァラドッシが、アンジェロッティに郊外の家に逃げるよう話しているそのとき、サンタンジェロ城からの逃亡が発覚したことを知らせる大砲が打ち鳴らされ、二人はともに郊外の家へと向かう。

一方、ナポレオンに対する教皇軍の勝利のニュースが広まり、教会では勝利を祝して歌われる「テ・デウム」の準備が始まる。そこに突然、アンジェロッティを追う教皇警察署長スカルピア男爵が乱入して来る。逃亡犯とカヴァラドッシとのつながりを見つけたスカルピアのもとに、トスカがやって来る。彼女は、勝利の祝賀会で歌うため、さっきカヴァラドッシに話した逢瀬を延期しなければならないと伝えに来たのだが、彼がいないことに妄想と疑惑を抱き、再び嫉妬に駆られる。その様子を捉えたスカルピアは、画家の郊外の家で逃亡犯を捕まえることができると確信。教会から飛び出して行くトスカの後をスカルピアの手下たちに追いかけさせる。 教会で荘厳な「テ・デウム」が祝われるなか、スカルピアはアンジェロッティとカヴァラドッシへの刑を宣言し、トスカを自分のものにすることへの欲望をあらわにする。

第2幕

ファルネーゼ宮殿最上階のスカルピアの部屋

窓から勝利の祝賀演奏が聞こえるなか、スカルピアは食事をしている。彼は恋人カヴァラドッシの運命について話し合うために招待したトスカの到着を待っている。スポレッタがやって来て、アンジェロッティを見つけることはできなかったが、カヴァラドッシは捕らえたと告げる。厳しい尋問にも、画家は友人の隠れ場所を教えることを拒否し、拷問を受けることに。スカルピアの招きに驚いてやって来たトスカは、ちょうど恋人が拷問へと連れて行かれるのを目の当たりにする。カヴァラドッシは、アンジェロッティが隠れている別荘で知ったことを明かさないでほしいとトスカに懇願する。トスカは、何も漏らさずいたが、恋人が拷問されているのを見て、知っているすべてを明かしてしまう。半ば意識を失ったカヴァラドッシはスカルピアの前に連れて来られる。スカルピアはトスカが話した内容を画家に話すと、カヴァラドッシはトスカを激しくなじる。そこにスカルピアの部下がマレンゴの戦場でのフランス軍勝利を伝える。カヴァラドッシはその知らせに大喜びし、元気を取り戻したが、夜明けの処刑のために連行されていく。必死で恋人を追いかけようとするトスカはスカルピアに阻まれる。スカルピアは、画家を救う代わりにトスカの肉体を要求する。スカルピアの申し出には嫌悪感をもって拒否するトスカだが、同時に他に選択肢がないことも理解している。そこにスポレッタが、アンジェロッティが自殺したことを告げに来た。もはや絶望的なトスカはスカルピアに屈服するしかないとさとるが、その見返りに恋人の釈放を、と訴える。スカルピアは、囚人を公然と赦免することは不可能だが、処刑の場で空砲を発砲するよう手配する、と答えた。そしてトスカは、最後の条件を切り出す。それは、彼女とカヴァラドッシが自由に教皇領から逃げるための許可証を書くことだ。スカルピアが書類を書いている間、トスカはテーブルの上にナイフが置かれていることに気づく。スカルピアが近づいてきたそのとき、トスカは彼にナイフを突き刺す。

第3幕

サンタンジェロ城の屋上

夜が明けようとしているなか、ローマの教会の鐘が朝の祈りのために鳴り響き、羊飼いの歌声が聞こえる。処刑を待つ身のカヴァラドッシは、見張りにトスカへの別れの手紙を書きたいと懇願する。カヴァラドッシは、トスカへの愛と想いに圧倒されながら手紙を綴る。そこに、トスカがやって来る。驚くカヴァラドッシにトスカは、スカルピアから恋人の助命と引き換えに身体を要求されたこと、信心深い彼女がスカルピアを刺殺したこと、そして処刑は見せかけのもので、終わったら二人で逃げられるのだと告げる。二人は互いの愛をたしかめあい、幸せな未来を感じる。いよいよ処刑の時間だ。銃殺隊がやって来て、カヴァラドッシは銃撃を受ける。トスカは物陰から兵士たちが立ち去るのを待ちわびていた。ようやく二人きりになり、起き上がるように合図をするが、なんと、カヴァラドッシは死んでいる! トスカはスカルピアに欺かれたことをさとり、絶望と悲嘆に暮れる。するとスカルピアの殺害に気づいた衛兵たちが、トスカを捕らえようとやって来る。トスカはスカルピアに神の裁きを! と願い、屋上から身を投げる。

Phptos: C.M.Falsini TOR

NBSチケットセンター 
(月-金 10:00~16:00 土日祝・休)

03-3791-8888

英国ロイヤル・オペラ 2024年日本公演  「リゴレット」
  • 2024/06 会場:神奈川県民ホール、NHKホール
東京バレエ団  Choreographic Project 2024
  • 2024/07 会場:東京バレエ団 Aスタジオ(東京・目黒)
東京バレエ団  子どものためのバレエ 「ねむれる森の美女」
  • 2024/8 会場:めぐろパーシモンホール 大ホール