



バイエルン国立歌劇場来日記念特別演奏会 ケント・ナガノ指揮 バイエルン国立管弦楽団
ワーグナー:「タンホイザー」より 序曲とヴェーヌスベルクの音楽(パリ版) R.シュトラウス:「4つの最後の歌」 ◆ソプラノ:アドリエンヌ・ピエチョンカ ブラームス:「交響曲第4番」ホ短調 op.98
Bayerisches Staatsorchester conducted by Kent Nagano
知的で明快、そして優雅な響き ケント・ナガノ3年ぶりの日本登場!
ケント・ナガノの指揮は知的で明快、そして優雅。その音楽づくりは、うわべの派手さに頼らず、冷静で作品の本質に分け入り、聴き手の情感に訴えて、しっかりとした聴き応えをもたらします。それゆえ、聴き手を納得させ深い感動を与えることができるのです。 ケント・ナガノのキャリアを見ると、バークレー交響楽団音楽監督をはじめ、リヨン国立歌劇場音楽監督、ハレ管弦楽団音楽監督、ベルリン・ドイツ交響楽団芸術監督、モントリオール交響楽団音楽監督と並びます。これらは、オペラ、オーケストラの両面において優れた手腕をもっていることを証明しているといえます。さらに、レパートリーにおいても、古典派、ロマン派はもとより、現代音楽ではいくつもの世界初演を果たすなど、あらゆる分野にわたって特筆される活動を行っています。ケント・ナガノがバイエルン国立歌劇場音楽監督に就任したのは2006年9月のこと。以来4シーズン、伝統を守りながらも進取の気象に富み、次々に話題作を発表して世界のオペラ界の注目を集めているケント・ナガノは、いま気力が漲った充実の時を迎えているといえるでしょう。 この劇場付きのオーケストラが、バイエルン国立管弦楽団。あのカルロス・クライバーとの共演で鳴らしたことでも有名です。今回のプログラムには、バイエルン国立歌劇場が誇るワーグナーとR.シュトラウスの作品とともに、ブラームスの交響曲が選ばれました。バイエルン国立歌劇場の『タンホイザー』は、2005年の日本公演でも上演されましたが、今回はケント・ナガノのタクトのもとに生み出される崇高さと官能美の響きにあらためて期待が高まります。R.シュトラウスの『4つの最後の歌』では、ワーグナーやR.シュトラウスを得意のレパートリーとするアドリエンヌ・ピエチョンカが登場し、その歌唱力と表現力でR.シュトラウスを聴く醍醐味を堪能させてくれることとなるでしょう。このコンサートのメイン・ディッシュとなるのはブラームスの第4交響曲。ケント・ナガノにとってブラームスは敬愛する作曲家。指揮者として活動をスタートさせたころ、ブラームスの作品に傾倒した時期があったのだそうです。なかでも第4交響曲を「特別な作品です。古典的な音楽の要素を取り入れながらも、新しいスタイルをつくり出した画期的な作品なのです」と語ります。伝統ある歌劇場とオーケストラのなかに、新しい風を吹き込み、成果を上げているケント・ナガノ自身の志向と相通ずるものがあるようです。 ワーグナー作品がもつ絢爛たる色彩感、R.シュトラウスが描いたロマン派の有終の美、ブラームスの交響曲がもつ骨太の構築感と哀愁・・・。日本には3年ぶりの登場となるケント・ナガノの自信に満ちたタクトによって、一夜かぎりの饗宴の幕が開きます。
カナダ、バーリントン出身。1988年にカナダ・オペラ・カンパニー『ムツェンスク郡のマクベス夫人』でオペラ・デビュー。91年ウィーン国立歌劇場『エフゲニー・オネーギン』のタチヤーナで世界的な注目を集める。以後、ミラノ・スカラ座、ウィーン国立歌劇場、英国ロイヤル・オペラ、ベルリン、ハンブルクほか、著名な歌劇場で活躍。2012年には『さまよえるオランダ人』のゼンタでバイロイト音楽祭への出演が予定されている。バイエルン国立歌劇場ではこれまでに、『フィガロの結婚』の伯爵夫人、『ニュルンベルクのマイスタージンガー』のエヴァ、『ローエングリン』のエルザ、『ファルスタッフ』のフォード夫人、『オテロ』のデズデモナ、『アラベラ』のタイトル・ロール、『ナクソス島のア リアドネ』のプリマドンナ/アリアドネを演じている。