英国チューダー朝2代目エンリーコ8世の妻、王妃アンナ・ボレーナ。女官ジョヴァンナ・シーモアを次の王妃に迎えたい夫のエンリーコによって、元恋人パーシー卿との浮気の濡れ衣を着せられ断頭台の露と消えた悲劇の王妃を描くこの『アンナ・ボレーナ』は、1830年に初演されたドニゼッティの出世作。同じチューダー朝王家の事件を題材とした『マリア・ストゥアルダ』『ロベルト・デヴェリュー』とともに女王三部作と呼ばれています。しかし人気を誇りながらも、これらの上演が長く途絶え、いまだ上演の機会が少ない理由は、優れたベルカント歌唱によってのみしか実現できないからです。そして現在、この女王三部作を「完璧」に歌い演じられると認められているのは、“ベルカントの女王”エディタ・グルベローヴァただ一人! この秋、日本に登場するのは、2011年4月、ウィーン国立歌劇場で初演された話題の舞台です。丁寧な音楽づくりでベルカント・オペラの粋を味わわせたエヴェリーノ・ピドの指揮、フランスの演劇界出身の演出家エリック・ジェノヴェーゼによる洗練された演出とゴージャスな衣裳は目を奪う美しさ。 日本公演ではグルベローヴァの主演に加え、『ノルマ』や『ロベルト・デヴェリュー』でグルベローヴァと“女の対決”を果たして高評を得たソニア・ガナッシ、現在世界で熱い視線を集めているバリトン、ルカ・ピサローニ、ウィーンでも絶賛されたエリザベス・クールマンらによって、さらにパワーアップした至高のベルカント・オペラの世界をご堪能いただけます。
「ロンドン塔のアン・ブーリン」エドゥアール・シボ
photo:Wiener Staatsoper / Michael Pöhn
Copyright 2002-2012 by 公益財団法人日本舞台芸術振興会