
熱愛で結ばれたはずの妻を放って、権威をカサに浮気心を起こしている主人アルマヴィーヴァ伯爵。召使フィガロとスザンナの機知によって最後には伯爵から夫人への謝罪の言葉が引き出され、物語は大団円。『フィガロの結婚』は、社会批判を込めたボーマルシェの戯曲をもとに書かれた喜劇オペラ。モーツァルトと台本作家ダ・ポンテが生きた18世紀、階級対立を風刺するなど大問題でしたが、二人は巧妙にテーマを隠しながら傑作を生み出しました。その隠されたテーマが、時代に則った設定や丹念に考証された美術によって自然に浮かび上がるのがジャン=ピエール・ポネル版。不朽の名演出といわれるゆえんです。 今回の日本公演では、この名演出の舞台にスター歌手が顔を揃えます。伯爵役のカルロス・アルバレスはバリトンとして異色な透明感が魅力。風格ある伯爵が期待されます。伯爵夫人には、気品と威厳を備え、この役を重要なレパートリーとするフリットリが登場! フィガロ役は目下モーツァルト・バリトンとして人気実力ともに世界トップのアーウィン・シュロットが本領発揮します。スザンナ役のアニタ・ハルティッヒは、1983年ルーマニア生まれの新鋭ながら、ウィーン国立歌劇場で『ドン・ジョヴァンニ』のツェルリーナ、『魔笛』のパミーナで成功を収めている注目株。ウィーン生まれの名指揮者ペーター・シュナイダーが豪華歌手陣とともに響かせるウィーンのモーツァルトは、天上世界から光とともに降り注いでくるかのようです。
『フィガロの結婚』ブルク劇場初演時のポスターと、エドアルト・エンゲルトによる「フィガロの結婚の7つの構図」から、“新郎新婦と敵”と“アルマヴィーヴァ伯爵の嫉妬”。
photo:Wiener Staatsoper / Axel Zeininger
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