斎藤友佳理の総指揮のもと、昨年じつに37年ぶりに新制作され、生まれ変わった東京バレエ団の『くるみ割り人形』。今年の公演でマーシャとくるみ割り王子を踊る3組のうち、ロールデビューとなる金子仁美と池本祥真に、作品の見どころや舞台に懸ける思いを聞いた。
ーー新制作版の『くるみ』について、昨年の思い出や見どころなどをお聞かせください。
金子:大きな見どころはやはり、本場ロシアで製作された装置と衣裳。すごく美しくて、お客様もそうだったと思いますが、まず私たちが感動していました。
池本:でも基本的には、今の時代には逆に珍しいくらいオーソドックスな『くるみ』ですね。ファンタジーのような世界観と普遍的な物語という、世界中で昔から人気の『くるみ』の魅力が詰まったヴァージョンだと思います。
金子:思い出といったら、みんなで意見を出し合いながら創れたことでしょうか。
池本:そうですね、友佳理さん(斎藤友佳理芸術監督)が僕たちダンサーにも意見を聞いてくださって。僕はスペインとロシアを踊ったのですが、「このテクニック、入れたい? 入れたかったら入れてもいいよ」みたいなことが結構ありました(笑)。
金子:私のコロンビーヌもそう。マーシャを導く存在にしたい、という友佳理さんのイメージのもと、どう動いたらそう見えるかを話し合いながら創っていきました。
池本:そのあたりはやはり、新制作ならではという感じでしたね。
ーーそんな『くるみ』に、今年は主役として出演されます。
金子:去年もマーシャのアンダーを務めていたので、本役の皆さんを近くで見ていたのですが、本当に三者三様で。それぞれの個性が出ているところが素敵だなと思ったので、私も自分にしかできない表現を探していきたいですね。
池本:僕は金子さん、マーシャに合ってる気がします。マーシャって、7歳の子どもと金平糖の精の両方を演じるじゃないですか。どっちにも説得力を持たせるってすごく大変で、できる人は多くないと思うんですけど、金子さんはできると思う。
金子:うれしい! 確かに私、演じることに対して照れがないというか、カラを破れるタイプではあると思います(笑)。
池本:演技力があるのもそうだけど、少女の要素も姫の要素も、金子さんのなかに元々あるものっていう気がするんですよね。
金子:そこまで言われるとプレッシャーが・・・(笑)。でもそうですね、第1幕と第2幕のマーシャをガラッと変えられたら、とは私も思っています。
池本:僕の役割は、そんな金子さんのマーシャに見合った王子になること。"自分の王子"を作ることより、パートナーとしてしっかり支えることが目標です。
金子:そこに関しては、何の不安もありません。今年3月の『ラ・シルフィード』で初めて組んで以来、すごく呼吸が合うなと感じているので、今回も本当に楽しみです。
ーー理想的なパートナーシップを築かれている様子が窺えますが、あえてお互いに"直してほしいところ"を挙げるなら・・・?
金子:ないですね! 舞台上でもリハーサル中も、本当に安心できるパートナーなので。
池本:僕は・・・変なお菓子を食べるのをやめてほしい(笑)。
金子:あははは! 私、ポン菓子が好きなんです。
池本:今から姫のリハなのにポン菓子食べるんですか⁉ って、ちょっと気になる時があるので、今回だけは我慢してほしいです(笑)。
金子:分かりました、じゃあ祥真さんの前では食べないようにしますね(笑)!
金子仁美と池本祥真が初めてパートナーを組んだ『ラ・シルフィード』
Photo: Kiyonori Hasegawa
12月11日(金)19:00
12月12日(土)14:00
12月13日(日)14:00
会場:東京文化会館
マーシャ:
沖 香菜子(12/11)
秋山 瑛(12/12)
金子 仁美(12/13)
くるみ割り王子:
秋元 康臣(12/11)
宮川 新大(12/12)
池本 祥真(12/13)
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
児童合唱:NHK東京児童合唱団
S=¥11,000 A=¥9,000 B=¥7,000
C=¥5,000 D=¥4,000 E=¥3,000
※ペア割引[S,A,B席]あり
※親子ペア割引[S,A,B席]あり
U25シート ¥1,000
※NBS WEBチケットのみで11/5(木)20:00から引換券を発売。