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Photo: Shoko Matsuhashi

2021/02/03(水)Vol.415

沖 香菜子インタビュー
初役のジゼルへの想いと意欲
2021/02/03(水)
2021年02月03日号
バレエ
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インタビュー
東京バレエ団

Photo: Shoko Matsuhashi

沖 香菜子インタビュー
初役のジゼルへの想いと意欲

私なりのジゼルを創り、今まで見てくださっている方にも「新しい沖香菜子だな」と思ってほしい。

村娘ジゼルは貴族のアルブレヒトと恋仲になるが、裏切られて絶命し、ウィリ(精霊)となる。そして夜の森で愛する人と再会するが......。東京バレエ団が2015年以来6年ぶりに『ジゼル』全2幕を上演する。ロマンティック・バレエ不朽の名作の初演180年記念となる舞台だ。今回初めてジゼル役を踊る沖香菜子に作品への思いや役作りについて聞いた。

ーー最初に『ジゼル』についての思い出をお聞かせください。

沖:一番印象に残っているのは、ボリショイ・バレエ学校に留学していた時、ボリショイ劇場でガリーナ・ステパネンコさん、ナターリャ・オシポワさんがジゼルを踊った舞台です。ステパネンコさんは、舞台に出てきた瞬間とアルブレヒトに裏切られて狂乱する場面が別人のよう。昔ながらのバレエの型がありながら演技が凄く自然で、感情面で伝わってくるものがありました。オシポワさんのジゼルは足音がしないし、軽やかで、こういう魅せ方もあるんだなと。ジゼルは演じるダンサーによって全然味が違うので、素敵だけれど難しい役だと感じましたが、踊りたいという憧れがありました。ウラジーミル・マラーホフさんが踊ったアルブレヒトも印象に残っています。最後に百合の花を落としていく場面で、落ちていく花の重力さえもコントロールしているのではないかと思いました。

ーー東京バレエ団入団後、『ジゼル』に何度も出演されています。コール・ド・バレエ(群舞)の見事さは東京バレエ団の伝統ですが、実際に踊られていかがでしたか?

沖:数あるコール・ド・バレエの中でも『ジゼル』第2幕が一番難しいと感じました。ウィリたちなので、死んでしまって居ないというのではなく"存在している何か"をそれぞれが出さなければいけません。動きを揃えるにしても、ただ並ぶのではなく菱形の隊形もあるので、前からも斜めからも並ばなければならないんです。手を伸ばす場合も、最後の指の動きの瞬間までを揃える難しさを痛感しました。でも、そこで創り上げた幻想的な雰囲気は、東京バレエ団のコール・ド・バレエにしか出せない美しさだと思います。

ーー今回初めてジゼル役を踊ります。役作りをどのようにしていますか?

沖:リハーサルを重ねるうちに自分の中に出てくる感情を膨らませていきたいです。細かい設定が決まっていない部分に関しては、アルブレヒト役の(柄本)弾さんと話し合い、すり合わせ、練り上げたいです。たとえばジゼルとアルブレヒトが何回目に会うシーンから始まるのか。それによってジゼルは家の扉を開けた時に「アルブレヒトが来たのかも」と期待して探しているのか、それとも運命の出会いに夢を抱いているのかの違いがあります。また初めのアルブレヒトへの態度は好きな人に対する恥じらいなのか、恋をしたのかもしれないという戸惑いなのか......などによっても、いろいろと演技も変わって来ると思います。リハーサルを重ねながら決めていきたいです。

ジゼル(沖香菜子)、アルブレヒト(柄本弾)
Photo: Shoko Matsuhashi

ーーアルブレヒト役の柄本弾さんとは2014年の『ロミオとジュリエット』(ジョン・ノイマイヤー版)以来の本格的な共演となりますね。

沖:リハーサルで弾さんとふと見つめ合った瞬間に「『ロミジュリ』を思い出すよね!」と笑い合いました。弾さんは前回アルブレヒトを踊っていますが、今回指導してくださる(斎藤)友佳理さんとコーリャさん(ニコライ・フョードロフ)は「今までとは違うものにしたい」とおっしゃっています。だから弾さんは「前回こうしたから」ということを余り出さないのだと思いますが、アダージョの時の体重のかけ方、タイミングなどをアドバイスしてくださります。

ーー芸術監督の斎藤友佳理さんにとってジゼル役は十八番でした。何を教わっていますか?

沖:友佳理さんは「絶対に私の真似をしないで!」とおっしゃりながら、「こういうやり方があるよ」という見本をいくつも見せてくださります。真似をしたくなるのですが、そうしないで、自分に合ったものを取り入れながら大切に役を創っていきたいです。

斎藤友佳理芸術監督とのリハーサル
Photo: Shoko Matsuhashi

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東京バレエ団
「ジゼル」全2幕

公演日

2月26日(金)19:00
2月27日(土)14:00
2月28日(日)14:00

会場:東京文化会館

予定される配役

ジゼル
沖 香菜子(2/26、28)
秋山 瑛(2/27)

アルブレヒト
柄本 弾(2/26、28)
秋元 康臣(2/27)

演奏:東京交響楽団

入場料[税込]

S=¥11,000 A=¥9,000 B=¥7,000
C=¥5,000 D=¥4,000 E=¥3,000
※ペア割引[S,A,B席]あり
※親子ペア割引[S,A,B席]あり

都フェスシート ¥2,000
※1/27(金)10:00より発売。

U25シート ¥1,000
※NBS WEBチケットのみで1/22(金)20:00から引換券を発売。