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Photo: Fabrizio Sansoni-Teatro dell’Opera di Roma

2023/07/19(水)Vol.474

ローマ歌劇場2023年日本公演
ミケーレ・マリオッティ インタビュー(後編)
2023/07/19(水)
2023年07月19日号
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オペラ

Photo: Fabrizio Sansoni-Teatro dell’Opera di Roma

ローマ歌劇場2023年日本公演
ミケーレ・マリオッティ インタビュー(後編)

6月下旬に東京交響楽団の指揮者として来日したミケーレ・マリオッティのインタビュー。後編では、ヴェルディについて、『椿姫』ついて語ります。

「ヴェルディのすべてのオペラは人生を学ぶようなもの」

――日本公演でのもう一作は『椿姫』、マリオッティさんにとってヴェルディはどのような作曲家なのでしょう?

マリオッティ:(しばらく考え込んで)お答えするのがとても難しいです。ヴェルディの楽譜を勉強するのは、まるで一つの人生を学ぶようなものなんです。ヴェルディのすべてのオペラが、人生を学ぶようなものになっている。つまり、最初の作品から最後の作品まで、常に成長している......。オペラの一つひとつは鎖の輪で、それが連なっているのです。ヴェルディのすべてのオペラは、その連なりの「ここ」という場所にあることが重要で、意味をもっています。彼が生きた時代、社会背景とか彼の個人的な人間関係とかのすべてを含めて、ほかではない、そのときに書かれた、ということがね。

――そうしたなかでの『椿姫』とは?

マリオッティ:『椿姫』は、愛の物語です。ただ、その愛は表立って見える二人、つまりアルフレードとヴィオレッタの、ではありません。真の愛の物語はヴィオレッタとジョルジョ・ジェルモンの物語です。彼らは、本来なら出会うことの無い世界に生きていました。ジェルモンが生きていたのは、ある閉ざされた世界で、ある種の残虐性ももっています。ヴィオレッタの方は開放的な世界で、規則に反するような自由さで生きています。この二人が出会うのは第2幕で、デュエットはオペラの中心といえます。片方が黒で片方が白といえそうですが、ここで二人は互いに自分に欠けていること、自分に無いものを理解します。ヴィオレッタにとっては恐ろしいほどのジェルモンの頼みを、彼女は受け入れます。そのときジェルモンは、自分の前にいる女性が素晴らしい魂の持ち主であることを理解するのです。ヴィオレッタが、ジェルモンがいかに残酷なことを言おうとも、それを受け入れるのは彼がアルフレードの「家族」だから、です。彼女はそれを持っていないから......。

『椿姫』第2幕より
Photo: Yasuko Kageyama-Teatro dell'Opera di Roma

――オペラを指揮されるときに大切にされていることは?

マリオッティ:オペラにはストーリーがあります。舞台で演じられている登場人物の心の動きを音楽が助ける、ドラマ性が音楽によって支えられる、そういうふうにしたいと思っています。そして、指揮をするために最も基本となるのは作曲家が書いた楽譜です。指揮者によってそれぞれの解釈があるけれど、楽譜を研究することによって、自分自身も変わっていきます。同じオペラを指揮してもすべてが絶対同じということはないんです。

イタリア・オペラの巨匠の、それも傑作である2作『椿姫』と『トスカ』。ローマ歌劇場音楽監督として日本公演で発揮される、マリオッティ自身が言う「成熟した」指揮ぶりに、大いに期待が膨らみます!

[インタビュー 2023年6月23日]

[前編はこちらから]

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ローマ歌劇場2023年日本公演
「椿姫」全3幕
「トスカ」全3幕

公演日

ジュゼッぺ・ヴェルディ
「椿姫」全3幕

指揮:ミケーレ・マリオッティ
演出:ソフィア・コッポラ
9月13日(水)15:00 東京文化会館(上野)
9月16日(土)15:00 東京文化会館(上野)
9月18日(月・祝)15:00 東京文化会館(上野)

[予定される主な出演者]
アルフレード:フランチェスコ・メーリ
ヴィオレッタ:リセット・オロペサ
ジェルモン:アマルトゥブシン・エンクバート

ジャコモ・プッチーニ
「トスカ」全3幕

指揮:ミケーレ・マリオッティ
演出:フランコ・ゼッフィレッリ
9月17日(日)15:00 神奈川県民ホール(横浜)
9月21日(木)15:00 東京文化会館(上野)
9月24日(日)15:00 東京文化会館(上野)
9月26日(火)15:00 東京文化会館(上野)

[予定される主な出演者]
カヴァラドッシ:ヴィットリオ・グリゴーロ
トスカ:ソニア・ヨンチェヴァ
スカルピア:ロマン・ブルデンコ

入場料[税込]

S=¥59,000 A=¥52,000 B=¥45,000
C=¥37,000 D=¥30,000 E=¥20,000
U29シート=¥8,000
U39シート=¥15,000 ※U39シートは9/13(水)「椿姫」、9/21(木)「トスカ」限定での販売となります。

ローマ歌劇場2023年日本公演公式サイト
https://www.nbs.or.jp/stages/2023/roma/index.html

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