ローマ歌劇場日本公演で『トスカ』のタイトルロールを演じるソニア・ヨンチェヴァは、オペラ公演の後、ソプラノ・コンサートを開催します。昨年7月の〈旬の名歌手シリーズ〉で待望の日本デビューを果たしたヨンチェヴァが、いかに多彩な演目で素晴らしい歌唱を聴かせてくれるか、オペラ全幕での魅力とはまた異なる次元で魅了されるプログラムが組まれます。今回のコンサートの内容についてたずねたメール・インタビューをご紹介します。
今回の選曲についてお聞かせください。
昨年、ベッリーニの作曲した『ノルマ』の"清らかな女神"を日本で歌った時、お客さまから非常にご好評をいただきました。それで私はベッリーニの歌劇から、もう一つ別の傑作を披露したいと思いました。ベッリーニの歌劇『海賊』のイモジェーネ役は私のもっとも愛する役柄の一つです。光栄にもミラノ・スカラ座で歌うことができました。(※注: ミラノ・スカラ座での『海賊』は、1958年にマリア・カラスが主演後、ヨンチェヴァ主演で初めて再び舞台にかかった。) この役はマドリッドでも歌いました。
そしてもう一つあげるなら、マスカーニ作曲の『イリス』です。数年前にコンサートで歌いましたが、本当に素晴らしい音楽なのです。もっとお客さまには知っていただきたいと思っています。(注:『イリス』は日本を舞台としたオペラ)
レパートリーに関して、『トスカ』のようなポピュラーでスタンダードなものと並行して、ジョルダーノ作曲の『シベリア』や『フェドーラ』、ベッリーニの『海賊』、ケルビーニの『メデア』など、上演の稀な作品も現在のオペラ界に蘇らせていますね。どのようなお考えからなのでしょう?
もちろん、私は『トスカ』のような人気のあるオペラは好きですが、私が心から価値を信じている、あまり知られていないオペラ作品を観客に紹介することも私の義務であると考えています。特に『シベリア』の(蘇演の)場合に当てはまります。私はこの作品を熱心に支持しているのですが、ほとんど上演されていないことは残念です。
今後歌われたいオペラの役柄は? 海外からは、チレア作曲の『アドリアーナ・ルクヴルール』のデビューの話が近々あるそうだと、漏れ聞こえてきていますが。
はい、アドリアーナは来年の夏にバロセロナで初役として歌います。ずっと夢見ていた役柄です。歌と演技をしっかりと織り交ぜる必要があると強く信じている私のようなソプラノ歌手にとって、理想的な役なのです。叙情的でゴージャスな音楽、尊大な感情の噴出、明るい瞬間、悲劇的な瞬間、そして壮麗で美しい死の場面を備えた、とても素晴らしい役です。
最近、写真集「Fifteen Mirrors book」も出版されましたね。
写真集『Fifteen Mirrors book』が誕生したのは、多くの人から自伝を、と望まれたのですが、私の年齢で伝統的な意味での"回想録"を書くのは時期尚早だとシンプルに思いました。そこで、私がいまできる最良の方法は、私の性格の少なくともいくつかの側面を反映している、象徴的なオペラのヒロインたちの"印象"を通して私を知ってもらうことだと判断したのです。
写真集「Fifteen Mirrors book」
今回の来日ではどんなことを楽しみにされていますか?
次の日本滞在では、みなさんの美しい国をさらに探索したいと思っています。観光する時間もあればいいなと思っています。昨年はコンサートを 1 回行っただけだったので、たくさん見るのは難しかったですが、秋の滞在中には状況が変わることを心から願っています。昨年見たものはとても美しかったので、日本文化をもっと探求することを本当に楽しみにしています。
前回の日本のファンの印象は、音楽に対しての知識がとても豊富で熱心ということでした。また同じように温かく迎えてくれることを願っています。
2023年
9月30日(土)15:00
会場:東京文化会館(上野)
指揮:フランチェスコ・イヴァン・チャンパ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
S=¥18,000 A=¥16,000 B=¥14,000
C=¥11,000 D=¥8,000
U25シート=¥3,000
*ペア割引[S,A,B席]あり
ジュール・マスネ作曲
ヴィンチェンツォ・ベッリーニ作曲
ピエトロ・マスカーニ作曲
ルッジェーロ・レオンカヴァッロ作曲
ジャコモ・プッチーニ作曲
*オーケストラ演奏
※表記のプログラム、出演者は2023年5月31日現在の予定です。