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2023/11/15(水)Vol.482

NBSロンドンレポート(1)
プリティ・イェンデのジルダに沸いた、コヴェントガーデン
2023/11/15(水)
2023年11月15日号
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オペラ

Photo: NBS

NBSロンドンレポート(1)
プリティ・イェンデのジルダに沸いた、コヴェントガーデン

この10月、ロンドンのロイヤル・オペラハウスを訪れたNBSのスタッフによるレポートをシリーズでご紹介。第1回は、世界中のオペラ・ファンや歌劇場関係者から熱い視線を集めるまさに"今が旬"の歌手、プリティ・イェンデ。来年2月にフアン・ディエゴ・フローレスとのジョイントコンサートで日本デビューを果たす彼女は、現在、オペラやコンサートで世界中を飛び回っています。そんなイェンデが、10月~11月にかけ英国ロイヤル・オペラ『リゴレット』(演出:オリヴァー・ミアーズ)の舞台でヒロインのジルダを熱演し、ロンドンの観客から喝采を浴びた様子をお伝えします。

この日一番の拍手を贈られたイェンデ

2021年のシーズン・オープニングを飾ったオリヴァー・ミアーズ(英国ロイヤル・オペラ芸術監督)演出の『リゴレット』が再演された秋のロンドン。ジルダ役を演じるのはプリティ・イェンデ。すでに『椿姫』、『愛の妙薬』などの作品でロンドンの観客から高評を得ている彼女が歌うとあって、開演前の劇場ロビーは「今日のプリティはどうだろう?」「彼女のジルダが観られるのは嬉しいわね」など、期待に声を弾ませる現地のオペラ・ファンであふれていました。

開演前のポール・ハムリン・ホール
Photo: ROH

19:30、ほぼ満席の劇場の照明が落ちると、もの悲しく重厚な前奏曲が響き、『リゴレット』の幕が開きました。伝統と現代の要素が絶妙にミックスされた美しいデザインの装置、衣裳のもと、演劇の国に相応しく、合唱も演技力を発揮し、マントヴァ公爵(ステファン・ポップ)、リゴレット(アマルトゥブシン・エンクバート)の力強い歌が次々と展開していきます。そして場面はリゴレットの家へ。現代風のワンピースに身をつつんだジルダ(プリティ・イェンデ)の登場です。ジルダの有名なアリア「麗しい人の名は」で持ち前のクリスタルのように澄んだ明るい声と得意のコロラトゥーラ(装飾歌唱)を駆使し、純粋な乙女心をストレートに歌い上げるイェンデに、客席から盛大な拍手とブラボーが巻き起こり、オーケストラがすぐには音楽を続けられないほどでした。
ここからのイェンデはさらに調子をあげていきます。リゴレットとの二重唱「いつも日曜日に教会で」は、怒りと恥辱に燃えるリゴレットの激しい歌唱に対し、悲しみにくれながらも公爵への愛を捨てられないジルダの悲哀を、鮮やかに声の音色を変化させていくことで観客に説得力をもって聴かせます。そしてさらに終幕の有名な四重唱から死にいたる場面では、自らの命をかけるほどの公爵への愛、そして父リゴレットへの愛という2つの矛盾した愛の表現を渾身の力を込めた歌と演技で示しました。

イェンデ出演の『リゴレット』の成功を伝えるニュース

ジルダの生き方は現代の観客には必ずしも共感できるものではないかもしれません。しかしヴェルディの美しい音楽と、イェンデの魂の込められた表現は、自らの信じる愛に命を投じたジルダという人物の物語を、現代にも通じる悲劇として観客に訴える力に満ちていました。その証拠に、カーテンコールでは出演者たちが満場のスタンディングオベーションでむかえられ、何度も何度もコールが繰り返されました。特にイェンデにはこの日一番の大きな拍手が贈られ、客席からは大きなピンクのバラの花束が舞台に投げ込まれました。この花束のプレゼントはイェンデも予期していなかったように、大変驚いた様子で花束を何度も確かめ、嬉しそうに客席にかかげる姿が印象的でした。

終演後、楽屋口に現れたイェンデ
Photo: NBS

終演後に着替えをすませたイェンデは、先ほどの花束を抱えたまま楽屋口に登場。それを今か今かと待ちわびていた現地のファンから拍手と歓声でむかえられた彼女は、一人ひとり丁寧にサインに応じ、ファンの声にも真摯に耳を傾けていました。翌日には朝早い便でパリに行くとのことで、「もう次の舞台の準備をしなければならないの」と、売れっ子ならではのハード・スケジュール。「来年の2月、日本のお客さまにお会いできるのは本当に楽しみで光栄なことです」とメッセージをくれました。(田)

※英国ロイヤル・オペラ2024年日本公演『リゴレット』にプリティ・イェンデの出演はありません。

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NBS旬の名歌手シリーズ2024-ll
フアン・ディエゴ・フローレス&プリティ・イェンデ オペラ・デュオ・コンサート

公演日

2024年
2月4日(日)15:00

会場:東京文化会館

指揮:ミケーレ・スポッティ
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団

入場料[税込]

S=¥29,000 A=¥26,000 B=¥23,000
C=¥19,000 D=¥15,000
U25シート=¥6,000
*ペア割引[S,A,B席]

※プログラムについてはコチラをご覧ください。
https://www.nbs.or.jp/stages/2024/singer/02.html